社用パソコンのIT資産管理|会社のWindows台帳の作り方【2026】

1台あたり61ドル。Windows 10を使い続けるために、企業がいま払っている1年分の金額です。この単価は2年目、3年目と連続して倍になり、最長3年で打ち切られます。Microsoftが公式に案内している条件です。

払う対象は「社内に残っているWindows 10の台数」。ところが、その台数を即答できる会社がほとんどない。

社用パソコンのIT資産管理は、道具を選ぶ前に、数えるところで詰まります。


会社のWindowsが何台あるか、即答できますか

Windows 10のサポートは2025年10月14日に終了しました。それでも使い続ける場合、有料の拡張セキュリティ更新プログラム(ESU。サポート終了後もセキュリティ修正だけを受け取る仕組み)に登録する道が残されています。組織向けの価格はボリュームライセンス経由で1台あたり年61ドル、1年目は2025年11月から。登録できるのはバージョン22H2の端末に限られ、テクニカルサポートは含まれません。

ここで効いてくるのが台数です。ESUは台数と年数の掛け算なので、「使っていないのに生きている1台」がそのまま費用になります。すでにWindows 11へ入れ替え済みの会社には関係のない話。問題は、入れ替えた“つもり”の会社のほうです。

数え直すと、台帳より実機のほうが多い。たいてい、そうなります。更衣室にしまったままの予備機、送迎車に積みっぱなしのノート、修理から戻ってきて机の下に置かれた1台、退職者が返却したあと後任には別の端末が渡されて宙に浮いた分、それに「もう壊れているはず」と言われながら電源を入れたら普通に立ち上がった1台。どれも、いつのまにか誰の持ち物でもなくなっています。

逆に言うと、台数さえ正確につかめれば、ESUを買うのか、11へ入れ替えるのか、その1台は捨てるのかを、金額で比べられるようになります。判断材料が「たぶん20台くらい」では、見積もりも取れません。


社用PCの台帳に、最低限これだけは載せる

項目を増やすほど台帳は続きません。逆に、少なすぎると使えない。うちが実務で落ち着いたのは、この9項目です。

項目なぜ要るか
管理番号同じ機種が並んだとき、1台を特定できる唯一の手がかりになる
メーカー・機種名・シリアル番号修理と保証の問い合わせで、最初に聞かれる
OSとバージョンESUの対象は22H2のみ。ここが空欄だと費用の見積もりが立たない
利用者・部署・設置場所退職と異動のときに、回収漏れが出るのはここ
購入日・保証期限買い替えを「壊れてから」ではなく「切れる前」に回せる
暗号化の状態(BitLocker)持ち出した端末を失くしたとき、被害の大きさがここで決まる
ウイルス対策とWindows Updateの状態止まっている1台は、台帳に載っていないと永遠に気づけない
MACアドレスPC名を変えた端末を、同じ1台だと判定できる
状態(稼働・予備・修理中・廃棄済み)「数えたのに合わない」の原因は、ほとんどこの欄がないこと

リース契約番号や資産計上の区分など、自社の管理に必要な列は後から足せば足ります。最初に決めるべきは、上の9つが全台ぶん埋まる状態をどう作るか、です。


Excelの台帳が止まる場所は、だいたい3か所

Excelが悪いわけではありません。止まる場所が決まっているだけです。しかも、その3か所は業種にも規模にもあまり関係なく、10台の歯科医院でも、数十台を抱える介護法人でも、同じところで同じように止まります。

1つ目は、更新が1人に固定されること。Excelは同時編集と相性が悪く、結局「詳しい人」がファイルを抱えます。その人が休んだ週の異動は、反映されないまま流れていきます。

2つ目は、棚卸のたびに手で打ち直すこと。PC名、シリアル番号、メモリ、ディスク。1台10分で済んだとしても、30台で5時間です。年に2回やれば10時間。これを事務の合間にやると決めた時点で、翌年はもう回りません。

3つ目は、セキュリティの状態が載らないこと。BitLockerが有効か、ウイルス対策が生きているか、Windows Updateが何か月止まっているか。1台ずつ画面を開かないと分からない項目は、Excelの台帳に絶対に載りません。載っていないので、誰も見ない。見ないので、事故が起きるまで分からない。

台帳が続かない会社は、根性が足りないのではなく、手で埋める設計のまま始めています。


医療・介護では、台帳と定期棚卸は「遵守事項」

ここから先は、うちの本業の話に寄ります。医療機関と介護事業所にとって、機器の台帳は「あったら便利なもの」ではありません。

厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、2026年6月に第7.0版へ改定されました。そのシステム運用編は、医療情報が入った機器や可搬媒体の所在を台帳などで管理する手順を作り、それに基づいて持出しを扱うこと、あわせて定期的に棚卸を行う手順も作ることを、遵守事項として挙げています。

別の章では、情報機器やソフトウェアの棚卸手順を策定して定期的に実施すること、その際に機器の滅失状況もあわせて確認することを求めています。滅失、つまり「無くなった台」の確認です。数が合わないまま放置している状態は、それ自体が指摘の対象になり得ます。

運営指導や監査の場で「台帳を見せてください」と言われて、更新の止まったExcelを開くことになる。この絵が想像できるなら、優先順位は勝手に上がるはずです。


30台までなら、この順番で始まる

専任のIT担当がいない職場を前提にした、現実的な手順です。

  1. 管理する1台を先に登録する。まず自分のPC1台だけを台帳に入れて、項目の並びと使い勝手を確かめます。ここで違和感があれば、30台に広げる前に直せます。
  2. 項目を確定させる。リース契約番号、資産の区分、貸出先。自社の列を足すのはこのタイミングです。全台入れたあとで列を足すと、埋まらない欄が量産されます。
  3. 残りを一気に集める。1日で回りきる台数なら、日を分けないほうがきれいに揃います。人が使っている時間帯を避けて、昼休みと終業後に分けるのが現実的です。
  4. 部署別に照合する。集めた一覧を部署ごとに切って、各部署の責任者に見てもらいます。ここで「この1台、誰のですか」が必ず出ます。出たら成功です。
  5. 月次では差分だけ見る。全台の再確認は年1〜2回で十分。ふだんは「増えた台・減った台・保証が切れる台」だけを見ます。

最初から全台をきれいに埋めようとすると、3日目あたりで止まります。粗くていい。1台目を今日入れて、残りは来週。そのくらいの雑さで始めたほうが、結果的に最後まで届きます。


うちが使っている道具の話

手で埋める設計をやめるために、うちは自社用のツールを作って、そのまま製品にしました。Windows用のIT資産管理ツールです。ボタンひとつでそのPCの情報を集め、他のPCはUSBメモリに書き出した収集キットを挿して回るだけ。社員のPCへのインストールは要りません。集めた情報は自社のPCの中に残り、開発元のサーバーへ送られることはありません。

税込7,800円の買い切りで、管理台数の制限はなし。インストールから30日間はすべての機能を無料で試せます。月額のクラウド型と、無料だけれど構築にIT知識が要るオープンソース型、その中間を埋める位置づけです。3タイプの違いはクラウド不要のIT資産管理ツール|社内にデータを置いたままPC台帳を作る方法で表にまとめてあります。

道具は何でも構いません。BitLockerとWindows Updateの状態が自動で入る仕組みであれば、台帳は続きます。手で打つ設計のままなら、何を買っても半年で止まります。


まとめ

社用パソコンのIT資産管理でやることは、順番で言えば3つです。会社のWindowsを1台残らず数える。次に9項目を全台ぶん埋めておく。あとは月次で差分だけ見れば、台帳は勝手に生き続けます。

ESUの単価が倍になる前に台数を確定できるかどうかで、来年の見積もりは変わります。医療と介護であれば、そもそも台帳と定期棚卸は求められている側です。

いま、あなたの会社のWindowsは何台ありますか。その数字、机の上で言えますか。


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出典・参考情報


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