放課後等デイサービス 処遇改善加算Ⅰロ16.1%を確実に取る3要件【2026年6月改定】
令和8年6月1日から、処遇改善加算の区分が変わっている
放課後等デイサービスの処遇改善加算は、令和8年度から大きく再編された。特に注意が必要なのが「4月・5月は旧制度のまま、6月1日から新制度に切り替わる」という点だ(児童発達支援・放デイ処遇改善加算 令和8年完全解説)。
年度開始から完全実施ではなかった理由は、国の方針決定と通知整備に時間がかかったから。4月から新制度を前提に計画書を提出していた事業所は、6月分から適用される仕組みになっている。
新制度での加算区分と放課後等デイサービスの加算率はこうなっている:
- 加算Ⅰロ:16.1%(最上位区分)
- 加算Ⅰイ:15.5%
- 加算Ⅱロ:15.8%
「ロ」と「イ」の差は0.6ポイント。わずかに見えるが、職員が複数いる施設では年間の総額に差が出てくる。では「ロ」を取るために何が必要か。(放課後等デイサービス 処遇改善加算【令和8年度】加算Ⅰロ16.1%・算定要件・届出ガイド)
「ロ」が「イ」より0.6%高い理由──3つの要件に集約される
加算Ⅰロを算定するには、以下3つの要件をすべて満たす必要がある。
① キャリアパス要件
職位・職責に応じた賃金体系の整備、研修機会の提供、昇給の仕組みを就業規則に明記すること。これは「イ」でも必要で、ロとイの差にはならない。
② 月額賃金改善要件
加算で得た原資の50%以上を月給(基本給・毎月の手当)で配分しなければならない。ここが「イ」との分かれ道のひとつ。「イ」でも賃金改善は求められるが、Ⅰロ・Ⅱロではこの50%以上配分が必須だ。実績報告時に配分不足があると、返戻・全額返還の対象になる(同上)。
③ 職場環境等要件
ここが「ロ」取得の核心だ。次のセクションで詳しく書く。
A理事長が迷っていたのは、この3つ目の要件の内容をよく理解していなかったから。「キャリアパスは整備してある。月給での配分も50%以上にできる。問題は職場環境等要件の中身だ」という話になった。
「ロ」の鍵は職場環境等要件──5項目以上で、必須2項目が外せない
令和8年度特例として、「ロ」を取得するには生産性向上に関する取組を5つ以上実施することが必須になっている(同上)。
しかも、その5つの中に必ず含めなければならない項目が2つある。
- 現場の課題の見える化
- 業務支援ソフト・情報端末の導入
この2つは必須。あとの3項目は、国が示す選択肢の中から施設の実情に合わせて選べる仕組みだ。
実際にA理事長の施設を確認したら、業務支援ソフトはすでに導入済みだった。課題の見える化は毎月のスタッフミーティングで議事録を取っているが、「それを文書として整備・保存しているか」という点があいまいだった。手を入れるのは、ここだけだ。
大事なのは「完璧にやっている必要はない」という点だ。令和8年度特例では誓約での対応が認められている。つまり、「実施する」と誓約して届出を出すことができる。ただし、実績報告時に未実施が判明した場合は返還対象になる。誓約で始めた施設は、今から実際の取組を整備しておかないといけない。
届出の実務──今から動くとどうなるか
処遇改善加算の届出スケジュールは以下が基本だ(同上):
- 新規で加算を算定する場合:算定したい月の前々月末日までに届出を提出
- 既に算定している事業所:原則毎年2月末日までに翌年度分を届出
今が7月の時点で「9月から加算Ⅰロを取りたい」と考えているなら、届出は7月末日までに提出する計算になる。つまり、今月中に動く必要がある。
届出先は都道府県または市区町村(指定権者)。提出書類は処遇改善計画書と各種添付書類で、細かい様式や添付要件は自治体によって差があるため、事前に確認しておく方がいい。
一方、実績報告書の提出期限は毎年度7月末日まで。令和8年度分の最終期限は令和9年3月31日だ(同上)。誓約で届出を出した施設は、この期限までに「実際に取り組んだ証拠」を揃えて報告しなければならない。
「誓約で届出した」施設が今すぐやること
6月の改定に合わせて「ひとまず誓約で加算Ⅰロの届出を出した」という施設は、うちのクライアントだけでなく多い。制度がスタートしてまだ1ヶ月強、夏の今こそ整備の時期だ。
具体的には3点。
- 「現場の課題の見える化」の文書化:スタッフ会議の議事録、ヒヤリハット記録、課題整理シートのいずれかを定型フォーマットで毎月保存する体制を作る。口頭でやっていたことを紙かデータで残すだけでいい
- 業務支援ソフトの活用証跡:導入しただけでは弱い。どの業務で使っているか、導入前後でどう変わったかを記録しておく
- 残りの取組3項目の選定と着手:選択肢一覧は指定権者や都道府県の手引きに載っている。年度内に実施できるものを今の段階で決めておく
A理事長には「今から動けば令和9年3月の実績報告に間に合います」と伝えた。書類の山に埋もれたままでいるより、この土曜に1時間だけ整理する方が確実だ。
出典・参考情報
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について(厚生労働省、確認日:2026年7月25日)
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について(こども家庭庁、確認日:2026年7月25日)
- 放課後等デイサービス 処遇改善加算【令和8年度】加算Ⅰロ16.1%・算定要件・届出ガイド 2026年6月改定対応(joseikin-insight.com、確認日:2026年7月25日)
- 【R8処遇改善加算】児童発達支援・放課後等デイサービスの処遇改善加算 令和8年完全解説(skip-child.com、確認日:2026年7月25日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度の詳細・最新情報は各省庁の公式サイトおよび指定権者(都道府県・市区町村)にご確認ください。
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