3歳児保育士配置基準 経過措置2028義務化の3確認【2026】

「先生、うちはまだ20対1で大丈夫ですよね?」── 先月、認可保育所を運営するA理事長からそんな電話があった。一瞬、何と答えるか迷った。令和6年度からすでに3歳児の最低基準は15対1に変わっている。「経過措置があるから今はまだいい」という理解が広まりすぎていて、少し心配になった。今日はその電話の話から始めたい。

令和6年度に何が変わったのか

保育士の配置基準改正は、令和6年度に複数の変更を同時に含んでいる。整理すると次のとおり。
  • 3歳児:20対1 → 15対1(令和6年度から最低基準を改正)
  • 4・5歳児:30対1 → 25対1(令和6年度から最低基準を改正)
  • 1歳児:法定基準(6対1)は維持しつつ、5対1配置の加算を令和7年4月から新設
「いずれ変わる」という話ではない。令和6年度の時点でもう基準の数字は変わっている。 4・5歳児と3歳児については、それぞれ経過措置が設けられた。ここが混乱の元だ。

「経過措置」の正確な中身

4・5歳児の経過措置は現時点で終期が定まっていない。「当分の間は従前の30対1による運営を妨げない」という扱いで、こども家庭庁が実態調査の結果を踏まえて今後の対応を検討する段階にある。 3歳児は違う。 令和8年度の公定価格見直し事項(こども家庭庁、令和8年4月告示)で、3歳児の経過措置の終期が初めて明示された。附則第2項には次のように書かれている。
「保育士及び保育従事者の配置の状況に鑑み、保育の提供に支障を及ぼすおそれがあるときは、令和十年三月三十一日までの間当分の間、(中略)15対1の規定は、適用しない」
令和10年3月31日が経過措置の最終期限。2028年の春。 令和10年4月1日から、3歳児の15対1は完全義務化される。 同じ資料の中に、令和7年7月時点ですでに97.2%の施設が15対1以上を達成しているという調査結果も示されている。「まだみんな20対1」は今の現実じゃない。残り2.8%のうちに入っているなら、採用の話を急いだ方がいい。

加算を見落としている施設の共通点

配置基準の改正と同時に、いくつかの加算も整備されている。取りこぼしが出やすいのは、この部分だ。 令和6年度に新設された「4歳以上児配置改善加算」は、30対1配置と25対1配置の経費差額を補填する加算(こども家庭庁、令和7年1月)。25対1の配置をしているのに加算を届け出ていない施設が、うちのクライアントにも数件いた。 3歳児については、平成27年度から「3歳児配置改善加算」が既に存在している。令和4年度の取得率は約90%とかなり高い。それでも残り10%は届け出ていないまま来ている。 一番注意が必要なのは、令和7年4月から新設された「1歳児配置改善加算」(予算規模109億円)だ。取得できる施設の条件が厳しい。
  • 処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲをすべて取得していること
  • ICTの活用:登降園管理システムを含む2機能以上を導入・活用していること
  • 職員の平均経験年数が10年以上であること
この3条件がそろわないと対象にならない。「1歳児を5対1で配置しているのに加算が入ってこない」という相談を受けたことがある。確認したら、処遇改善等加算ⅢのICT要件(計画・記録機能)がまだ満たせていなかった。

令和10年4月に向けて、今週やること

残り1年9か月。余裕に見えて、採用や給与設計を見直すなら今から動き出さないと間に合わない施設は出てくる。 私がクライアントの施設と一緒に確認する手順は3点。
  1. 月別の配置比率を確認する:年間を通じた月次の3歳児対応保育士数と在籍児童数を並べる。4月の年度初めや夏の退職シーズンに一時的に20対1を超えないか確認する
  2. 未取得加算を1つずつ確認する:4歳以上児配置改善加算・3歳児配置改善加算・1歳児配置改善加算の3つ。1歳児加算は3条件を満たすまでのロードマップを立てる
  3. 令和10年4月を採用計画に組み込む:15対1を維持できる定員と保育士数を逆算する。新卒採用が今年間に合わないなら、来年度の養成校へのアプローチを今月中に始める
A理事長の施設は確認したら3歳児は既に15対1を達成していた。ただ、1歳児の平均経験年数が9.2年で、あと0.8年で1歳児加算の対象に入れる水準だと分かった。「あと少し」が見えたことで、理事長も採用よりもICT整備を先に動かす判断ができた。 「経過措置があるから大丈夫」ではなく、「どの加算をいつ取れるか」に視点を移すと、配置基準の話はとたんに経営の話になる。

出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。各種制度は改定される場合があります。最新情報は各省庁の公式サイトをご確認ください。


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