保育士処遇改善等加算 一本化後の区分と配分ルール【2026】
処遇改善等加算 I・II・III は消えた。区分①②③で何が変わったか
令和8年度(2026年4月)から、処遇改善等加算I・処遇改善等加算II・処遇改善等加算IIIという3本の加算が廃止された。代わりに登場したのが、処遇改善等加算(1本)の中に区分①②③を設ける仕組みだ。 対象施設は変わっていない。認可保育所、認定こども園、幼稚園(施設型給付費の対象)、小規模保育などの地域型保育事業所が引き続き対象だ(こども家庭庁 保育ページ)。 3つの区分の中身を整理する。- 区分①(基礎分):全職員を対象とした賃金改善。旧来の処遇改善等加算Iに相当する部分が含まれる。この区分を取得するには、キャリアパス要件が必須になった(後述)。
- 区分②(賃金改善分):ベースアップ等に相当。旧加算IIに近い内容だが、新制度では区分②と③を合算した上で配分ルールが適用される。
- 区分③(質の向上分):副主任・専門リーダー・分野別リーダーといったリーダー層への処遇改善。月額4万円(人数A対象)または月額5千円(人数B対象)を上限に、施設の判断で柔軟に配分できる(こども家庭庁 令和7年度以降の処遇改善等加算について)。
2分の1は毎月払え ── 区分②③の配分義務が甘く見られている
「処遇改善加算の額を賞与でまとめて支払ってきた」という施設は、今年度から対応が必要になっている。 新ルールでは、区分②と区分③の合計改善額のうち、2分の1以上を「基本給」または「決まって毎月支払われる手当」として支払うことが義務づけられた。残りの2分の1以下は、賞与や一時金での支払いでも構わない(マイナビ保育 令和7年度から変更の処遇改善加算解説)。 うちがコンサルで支援している認可保育所のA理事長も、4月の実績報告の準備をしていてこれに気づいた。「毎月の手当として明細に出ていなかった分が、2分の1に届いていなかった」という話だった。 この「2分の1ルール」は、旧制度にも似た考え方はあったが、今回の一本化で適用範囲が整理・明確化された。曖昧にできないラインが引かれた、と見ていい。 具体的に言うと、4月の給与明細で処遇改善加算の原資分が「基本給」または「処遇改善手当」等の名目で支給されているかどうかを確認すること。年2回の賞与の中だけに入っているなら、2分の1の義務を満たせていない可能性がある。 実績報告書を提出する前に、給与台帳と突き合わせて確認する必要がある。 配分ルールだけでも大変なのに、もう一つ落とし穴がある。キャリアパス要件が必須になった日、事務長は気づいていたか
旧制度では、キャリアパス要件(職位・職責・職務内容に応じた勤務条件の明確化・研修の機会確保など)は加算I取得の要件の一部として位置づけられていた。 新制度では、これが区分①の「必須要件」に格上げされた。必須なので、満たしていなければ区分①が取得できない。区分①は全職員対象の基礎的な処遇改善の財源になる部分だ。ここが取れないと、全体の処遇改善額が下がる。 保育士等キャリアアップ研修のガイドラインも、令和8年3月に一部改正されている(こども家庭庁 保育士等キャリアアップ研修ガイドライン(令和8年3月改正))。4月の完全施行に向けて、要件の整合性を確認している施設は確認できているが、まだ動いていない施設も少なくない。 もう一点。今年度から賃金改善の見える化が義務化された。処遇改善加算で賃金を改善した内容を職員に開示しなければならない。これを「義務なのか努力義務なのか」と聞いてくる事業者がいるが、義務だ。 4月以降、給与明細に処遇改善加算の内訳がわかる形で記載されているか、または別紙で職員に説明しているか。確認できているなら問題ない。できていないなら今月中に整理する。 書類は減った。でも確認事項は増えた、という感覚が正直なところだ。書類は減ったか。そして、今すぐやること1つ
「一本化で書類が簡素化された」と聞いていた、という事業者は多い。実際、旧制度では加算I・II・IIIそれぞれに計画書・実績報告書が必要だったが、新制度では実績報告書が最大3枚に削減された(バスキャッチ 2026年最新 保育士処遇改善加算一本化解説)。 ただし、中身が簡単になったわけではない。キャリアパス要件の確認、2分の1ルールの証明、見える化の対応、これらがすべて1本の書類の中に集約されたというだけだ。整理された分、抜け漏れの言い訳が利かなくなった、とも言える。 今すぐできることは1つだ。 4月から今月分の給与台帳を引っ張り出して、処遇改善加算原資の月次支払い分が2分の1以上になっているかを確認する。 もし満たしていないなら、翌月以降の給与体系を見直す必要がある。実績報告の時期に慌てて気づくより、今の段階で手を入れる方がずっとコストが低い。 令和8年度の実績報告の締め切りは自治体によって異なるが、年度内(令和9年3月末前後)が多い。半年ある。だからこそ今やっておく。 うちが支援する施設では、処遇改善加算まわりの実績報告と給与体系の整合チェックを年2回のルーティンに入れている。4月と10月に一度見直す流れだ。それでも毎年1〜2件は「気づかなかった」という話が出てくる。制度は変わり続けるし、職員の構成も変わる。年1回だけのチェックでは足りない。出典・参考情報
- こども家庭庁 保育ページ(こども家庭庁、確認日:2026年7月10日)
- 令和7年度以降の処遇改善等加算について(PDF)(こども家庭庁、2025年10月)
- 施設型給付費等に係る処遇改善等加算について(令和7年度以降)(PDF)(こども家庭庁、2025年10月)
- 【令和7年度から変更】一本化された保育士の処遇改善加算とは?新ルールを解説(マイナビ保育、2026年1月)
- 【2026年最新】保育士の処遇改善加算をわかりやすく解説!幼稚園・保育園・こども園での一本化とは?(バスキャッチ、2026年1月)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度の詳細については、必ずこども家庭庁の公式サイトおよびお住まいの自治体窓口でご確認ください。
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