保育施設の安全計画 未策定で月1,350円減算が始まった【2026年7月】

「先生、うちの安全計画、去年から更新できてないんですけど……大丈夫でしょうか」 先週の金曜日、認可保育所を運営するA理事長から電話がきた。声に、焦りがにじんでいた。 その「去年から更新できてない」が、今月から毎月お金に化けて消えていく。

7月から何が変わったのか

2026年7月から、こども家庭庁が公定価格の改定で新たな減算を導入した。

安全計画を策定していない、または計画に定めた安全に関する訓練を1年以上実施していない保育施設は、子ども1人あたり月1,350円が公定価格から減算される(保育園・認定こども園の給付費 2026年度改正まとめ、serve.jp、2026年6月11日)。

同じく7月から、もう一つ。経営情報を所管自治体に未提出の施設は基本分単価の5%が減算される仕組みも同時に始まっている。

2つの減算が同じタイミングで動き出した。A理事長の焦りは、そういうことだ。


月1,350円、定員60名の施設ではいくらになるか

1,350円と聞くと「1食分のランチ代くらい」と感じる人がいる。計算すれば印象が変わる。

定員60名の認可保育所を仮定すると、1ヶ月の減算額は次のようになる(試算値。実際の減算額は各施設の在籍児童数・地域単価により異なる)。

  • 60名 × 1,350円 = 月81,000円
  • 年間では 81,000円 × 12ヶ月 = 約97万円

年間97万円という数字は、保育士1名分のパート人件費に近い。

「安全計画を更新するのが面倒だから後回し」は、毎月8万円を払い続ける選択と同じだ。うちのクライアントでも、この計算を見せると大半の理事長が「今すぐやります」と動く。


「計画を作った」だけでは終わらない

ここが落とし穴で、A理事長に電話口で最初に確認したのもこの点だった。

減算の対象になるのは、

  • 安全計画を策定していない施設
  • 安全計画を策定していても、計画に定めた訓練を1年以上実施していない施設

の2パターンだ。

「計画書は去年作った、棚に入ってる」という施設が多い。問題は、その計画に書いた訓練(交通安全・不審者対応・AEDの使い方など)を、実際に実施して記録を残しているかどうか。

計画書の存在だけでは要件を満たさない。実施記録と日付が必要になる。

正直に書く。これを聞いた瞬間、A理事長は「記録……たぶんないです」と言った。計画書は存在するが、実施記録が1年以上途絶えている状態だった。

今から動けば間に合う部分もある。訓練を実施して記録を残し、速やかに自治体に報告する。ただし7月分の減算は避けられない可能性が高い。動くなら早いほどいい、という話だ。


同じ7月から「経営情報未提出5%減算」も始まった

安全計画の話をしていたら、A理事長から「あと、経営情報って何ですか」と聞かれた。

令和4年の児童福祉法改正で、保育所・認定こども園等に経営情報(収入・支出・職員数など)の行政への提出が義務付けられた。この提出を怠ると、2026年7月から基本分単価の5%が減算される(前掲 serve.jp 記事)。

基本分単価の5%は、施設の規模や地域によって異なるが、中規模の保育所であれば月数十万円単位の話になることもある。安全計画の減算とは比較にならない金額が動く。

A理事長は「経営情報は去年提出した」とのことだった。今年度分は自治体の指定期限を確認してもらった。昨年提出済みでも、今年度分の提出期限を過ぎていれば対象になるからだ。

電話が終わる頃には、A理事長の声から焦りが消えていた。「何をすればいいか分かりました」という言葉で切れた。


私がいまクライアントの保育施設に送っているチェックリスト

A理事長との電話の翌日、同じ内容をクライアント全施設に展開した。7月施行の2点減算を踏まえた確認事項だ。

  1. 安全計画の現物を出す。棚の中に入っていますか。年度は何年度ですか
  2. 訓練実施記録を出す。最後に実施・記録したのはいつですか。1年以内ですか
  3. 経営情報の提出記録を確認する。今年度の提出期限と提出状況を自治体に確認する
  4. ICT促進加算の申請状況を確認する。2026年4月から、4機能を備えたICTシステムを導入している施設には30万円の加算が新設されている(地域型保育は18万円)。申請しましたか

4番のICT加算は別の話に見えるが、「加算を取り逃がしている一方で減算を食らっている」施設を何件か見てきたので、ついでに確認するようにしている。

A理事長の電話から、うちで対応した件数は先週1週間で6施設になった。同じ状況が、いま全国の認可保育所で起きていると思う。

知っているか、知らないか。それだけの差だ。


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出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度改正により内容が変更となる場合があります。最新情報はこども家庭庁の公式情報をご確認ください。


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