保育所 経営情報等の報告 未報告で5%減算【2026年8月末】

経営情報等の報告は、出し忘れても後から出せば済む書類。その常識は令和8年7月で終わりました。未報告のまま3か月が過ぎた施設は、基本分単価の5%を引かれます。指導や督促が先に来るわけではありません。公定価格そのものが減ります。

3月末が事業年度の終わりなら、令和7年度分の報告期限は今月末です。

Relief 代表の阪本です。この減算、うちに相談が来るときはたいてい「引かれた金額の内訳が分からない」という入口から始まります。加算の話ではないので、加算届のチェックリストにも載っていない。だから気づくのが遅れる。


7月の請求分から、もう動いています

まず根拠から確認します。こども家庭庁の資料には、「子ども・子育て支援法第58条第2項により経営情報等の報告が義務化されたことに伴い、特定教育・保育施設の設置者及び特定地域型保育事業者は、毎事業年度終了後5か月以内に当該報告を行う必要がある」と書かれています。そのうえで、報告を行っていない施設・事業所については基本分単価の減算を行うこととし、令和8年7月から適用すると明記されました(こども家庭庁 令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項)。

減算額は基本分単価に5%を乗じた額です。加算のように上乗せ分が消えるのではなく、単価の土台が削られます。

対象は幼稚園、保育所、認定こども園、家庭的保育事業所、小規模保育事業所、事業所内保育事業所、居宅訪問型保育事業所。公定価格で運営している施設は、ほぼ全部です。

そして経過措置がひとつあります。令和7年度報告分が未報告で報告期限から3か月以上経過している場合、令和8年7月の請求分から減算を適用する、と書かれています。7月分の請求はもう終わっている法人が多いはずです。


スイッチが入る条件は2つしかありません

減算はいきなり発動するわけではありません。大前提として報告期限から3か月以上経過していることが必要です。そのうえで、次の2つのどちらかに当たると適用されます。

  • 経営情報の報告が行われていない場合
  • 誤りのある報告が含まれていることが判明し、都道府県または市町村が指摘を行ったにもかかわらず、概ね1か月以内に特段の事情なく適切な報告がなされない場合

2つめが厄介です。出しさえすれば安全、ではありません。自治体から修正依頼が届いたのに、担当者の受信箱で止まっていた。それだけで条件を満たしてしまいます。

資料にはもう一段の記述があります。再度の報告が明らかに虚偽と確認できる場合や、繰り返し指摘をしても適切な修正がされない場合について、「再度指摘を行い1か月の修正期限を設けることなく、最後の指摘から概ね1か月が超過した翌月から、減算を適用することができる」と書かれています。修正の猶予が毎回もらえる前提は、通用しません。

逆に、災害その他のやむを得ない事情により報告等ができなかった場合は、市町村が認める期間について減算を適用しないとされています。これは保険ではなく、資料に明記された取扱いです。

では、いったん入ってしまったスイッチは、いつ切れるのでしょうか。


止まるのは「報告した月」です

減算の期間は、期限の属する日の翌月から報告等がなされる日の属する月までの間と定められています。報告を出した月で終わりです。翌月まで引きずるわけではない代わりに、放置した月数はそのまま積み上がります。

3月末決算の施設で時系列を整理します。

  • 令和6年度分(令和6年4月1日〜令和7年3月末日)の報告期限は令和7年8月末日
  • 令和7年度分(令和7年4月1日〜令和8年3月末日)の報告期限は令和8年8月末日、つまり今月末

制度の施行期日は令和7年4月1日で、令和6年4月1日以降に始まる事業年度が報告対象です。報告期限は事業年度終了後5月以内と定められています(こども家庭庁 幼児教育・保育における継続的な経営情報の見える化について)。

見直し事項の資料には適用イメージの図があり、令和7年度中に期限が来た報告分を令和8年9月10日に出した施設の例では、令和7年度分の減算が適用されると図示されています。1年前の期限を落とした施設が、いま減算を受けている構図です。

なお、5%は定率なので、引かれる金額は施設類型・定員・地域区分で変わります。ここで具体的な円の金額を出すことはできません。自園の基本分単価に5%を掛けて、ご自身で試算してください。


1,350円のほうと混ぜると、判断を間違えます

令和8年7月から始まった減算は、実はもう1本あります。安全計画の策定等をしていない場合の減算で、こちらの減算額は1,350円/月です。同じ資料に並んで載っているため、現場では混同されがちです。

整理すると、安全計画は定額、経営情報等の報告は定率5%。前者は計画を作れば止まり、後者は報告を出せば止まる。止め方も違います。

同じタイミングで、年齢別配置基準を下回る場合の減算についても取扱いが変わりました。「月の15日以降に職員が退職等をしたことで年齢別配置基準を満たさなくなる場合、その翌々月から減算が生じることとする」とされ、月後半の退職には1か月の猶予が生まれています。こちらは施設側に有利な見直しです。

減算が3種類、同じ月から動いている。ここまでくると、加算届の管理表とは別に減算の管理表が要ります。


今週やることは3つです

期限まで3週間を切りました。優先順位はこうなります。

  1. 令和6年度分が報告済みか確認する。報告の入力と公表には「ここdeサーチ」が使われています。まず入力状態を開いて、送信まで完了しているかを目で見る。ここで未送信が見つかったら、7月請求分の減算が始まっている可能性があります
  2. 自治体からの修正依頼を掘り起こす。指摘を受けたのに1か月以内に適切な報告をしていないと、報告済みでも減算対象です。園長・事務長・法人本部のうち誰の受信箱に届くのか、宛先を確認しておく
  3. 令和7年度分の担当と締切を今日決める。報告項目は人員配置、職員給与、収支の状況などです。決算書と給与データを行ったり来たりする作業なので、8月最終週に着手すると間に合いません

うちが名古屋市内の保育所でバックオフィスに入るときも、この手の報告は決算担当と労務担当の間で宙に浮きがちでした。私が見てきた限り、誰の仕事でもない書類がいちばん高くつきます。

自園の8月末、担当者の名前まで決まっていますか。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度の詳細や適用の可否は、必ず所管の市区町村・都道府県にご確認ください。


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