紹介手数料の相場 看護21.4% 介護22.3%【2026】

「うちの紹介手数料って、結局何パーセントなんですかね」

先週、一宮市の訪問看護ステーション。事務室のキャビネットから契約書のファイルを引き抜きながら、管理者のDさんがそう言いました。率はちゃんと書いてある。書いてあるのに、3年間、誰も見ていなかった。

その率が高いのか安いのかを判断する物差しが、去年から国の側に用意されています。


あなたの法人が払っている率は、何%か

職業安定法施行規則の改正で、令和7年4月1日から職業紹介事業者は、徴収した紹介手数料の実績を「人材サービス総合サイト」に掲載する義務を負っています。今まで各社が「相場です」と口頭で言っていた数字が、事業所名つきで並ぶようになった、ということです。

掲載の対象は各社の取扱いが多い上位5職種に限られ、常用就職の年間件数が10件以下なら掲載は不要とされています。常用就職とは4か月以上の有期または無期で雇用されること。それでも令和7年10月末時点で、全職種の合計は5,659件が載っています。

ここで先に押さえたいのが、率の計算式です。厚生労働省の資料によれば、平均手数料率は求人者から徴収した手数料の総額を、求職者の予定年収の総額で割って算出します。月給でも日給でもなく、年収が分母。

予定年収500万円の看護師を1人採ったとして、21.4%なら約107万円(この実額は率から計算した試算値で、実際の額は年収と契約条件により変わります)。パーセントの見た目より、現金の重さで考えたほうがいい数字です。


高い手数料を払っても、定着はよくならない

厚生労働省が令和7年10月末時点の掲載データを集計した資料に、職種別の分布が出ています。手数料率実績の平均は次のとおり。

  • 看護:21.4%(対象事業所 n=319)
  • 介護:22.3%(n=453)
  • 保育:27.2%(n=99)
  • 医師:21.5%(n=91)

同じ資料には、就職後6か月以内の離職率(無期雇用のみ)の平均も並んでいます。看護10.2%、介護13.1%、保育13.9%、医師5.3%。保育の手数料率が4職種でいちばん高く、離職率もいちばん高い。

そして資料は、こう言い切っています。「手数料率実績の高低で離職率に大きな差は見られなかった」

つまり、率の高い紹介会社に払えば長く働いてくれる人が来る、という関係は数字の上で確認できていません。うちのクライアントでも「高いところのほうが人材の質がいいはずだから」という理由で1社に集約していた法人がありましたが、根拠は担当者の営業トークだけでした。率の高さを質の証明として読み替えるのは、そろそろやめたほうがいい。

では、自分の地域の相場をどう調べるか。


7つの操作で、県内の紹介会社を率の順に並べられる

人材サービス総合サイトは検索の入口が少し深いところにあります。厚生労働省のリーフレットが手順を7段階で図示しているので、そのとおりに触ってみてください。

  1. トップページの「職業紹介事業」をクリック
  2. 都道府県を選ぶ(必須)。業界全体の傾向を見たいなら「全国」
  3. 「詳細検索条件」をクリック
  4. 職業紹介事業の運営「法第32条の16第3項に関する事項(情報提供)その②」の「取扱業務の職種」から職種を選ぶ
  5. 「手数料実績率・額」を選択し、率なら「%」、額なら「円」を選ぶ
  6. 一番下の「OK」をクリック
  7. 前の画面に戻って「検索」

職種の選び方には決まったコードがあります。看護師は「023看護師、准看護師」、施設介護員は「050施設介護の職業」、訪問介護員は「051訪問介護の職業」、保育士は「h保育士」、医師は「g医師」。訪問看護と施設介護でコードが分かれているので、事業所の実態に合わせて選びます。

検索結果は一覧で出て、手数料実績率の昇順・降順に並べ替えができます。各社をクリックすれば詳細情報が開き、過去5年分の就職者数と離職者数まで見える。同じリーフレットには、このサイトで確認できるものとしてあっせんした就職者数、採用後6か月以内の離職者数、紹介手数料の実績、返戻金制度の有無と内容が挙げられています。

私がクライアントに勧めているのは、新しく紹介会社と契約する前に、県内の同職種を率で並べた画面をスクリーンショットで残しておくこと。交渉のときに「御社は県内で上から何番目です」と言えるかどうかで、話の進み方がまるで違います。


契約書で本当に危ないのは、手数料率ではない

率だけ見て安心した法人が、あとで揉めるポイントがあります。違約金です。

同じ令和7年4月1日から、職業紹介事業者は違約金規約を設けている場合、求人の申込みがあった際に違約金の額、違約金が発生する条件、解除方法を含む契約の内容を、書面または電子メールなどの適切な方法であらかじめ明示することになりました。口頭では足りません。

厚生労働省のQ&Aはさらに踏み込んでいて、ホームページの該当箇所を教えるだけ、あるいはサイト上で規約をスクロールさせて同意ボタンを押させるだけの方法は、求人者が同じ文面を再読できないため適切な明示とはいえない、としています。手元に残る形になっているかどうか。ここが判定基準です。

今日やることは1つ。契約中の紹介会社について、違約金の条件が書かれた書面かメールが法人の手元にあるか、キャビネットとメールボックスを確認してください。無ければ、次の求人申込みのタイミングで出してもらう。返戻金制度の有無も同じ場で確認しておくと、早期退職が起きたときの回収可能額が読めます。


紹介会社を切る前に、順番を1つ変える

ここまで書いておいて何ですが、紹介会社を全部やめろという話ではありません。訪問看護のように有資格者の母集団が小さい業態で、明日から自力採用に切り替えるのは無理がある。

順番の話をしています。募集を出す順番です。

厚生労働省は全国の主要なハローワークに人材確保対策コーナーを設置し、求人充足に向けたコンサルティングや職場見学会、就職面接会などを開いています。費用はかかりません。それから、医療・介護・保育の団体の協力を得て国が定めた基準を満たす事業者を「適正な有料職業紹介事業者」として認定・公表する制度があり、特設サイトで確認できます。無料の窓口を先に回し、有料は認定と手数料率で絞る。この順番に組み替えるだけで、年間の採用費は変わります。

契約や利用条件でトラブルになった場合は、都道府県労働局に置かれている「医療・介護・保育」求人者向け特別相談窓口が相談を受け付けています。愛知の場合は愛知労働局の需給調整事業第二課(052-685-2555)。うちのクライアントにも、揉めてから弁護士を探すより先にここへ電話してもらっています。

最後に、経営者の方に1つだけお願いがあります。この1年で紹介会社に払った金額を、事業所別・職種別に1枚の表にしてみてください。うちで支援に入るときも、最初にやるのはこの集計です。何百万円という数字が1枚に乗った瞬間、次の一手の優先順位は勝手に決まります。

その表、あなたの法人にはもうありますか。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度の詳細は必ず一次情報をご確認ください。


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