在宅管理料 施設基準確認:8月に失効後も再届出できる【令和8年】
「年4回確認、失格したら年内終了」という思い込みの正体
在宅時医学総合管理料(C002)を算定しているクリニックには、毎年2月・5月・8月・11月の年4回、施設基準を満たしているかどうかを届け出る確認の仕組みがある。令和8年6月1日施行の診療報酬改定でも、この仕組みは維持されている。
施設基準の要件を満たせなくなった場合、医療機関は「基準に該当しない」旨の届出を提出しなければならない。いわゆる届出の「取り下げ」だ。このとき、在宅時医学総合管理料には「注」が適用される状態になり、通常の算定とは異なる扱いになる。
ここで多くの院長に固定観念ができあがる。「取り下げたら、次の確認月(11月)まで待たないと再算定できない」というものだ。
なぜそう思うかというと、確認月が年4回しかないからだ。8月に問題が生じて届出を取り下げたとき、「次の正式な確認は11月だから、それまでは戻せない」と読んでしまう。実際、うちのある院長は8月・9月・10月の3ヶ月間、要件を再び満たしていたにもかかわらず、11月まで待ち続けていた。数ヶ月分の算定差が積み上がっていた。
この「年4回縛り」は、実は存在しない。令和8年7月17日の疑義解釈がそれを明文化した。
疑義解釈(令和8年7月17日)が示した答え
疑義解釈資料(その10)、別添1の問3には以下のQ&Aが掲載されている。
問:C002在宅時医学総合管理料の注について、毎年2月・5月・8月及び11月に当該基準の該当可否を確認することとなっているが、その確認月以外の月に当該基準に該当するようになった場合、その時点で「基準に該当しない」旨の届出を取り下げ、翌月から注を適用せずに算定することは可能か。
答:可能。
(出典:疑義解釈資料の送付について(その10)、厚生労働省保険局医療課、令和8年7月17日)
「可能」の一語で終わっている。この短さが、むしろ明快さの証拠だ。要件を取り戻した月に届け出れば、翌月から本来の算定に戻れる。年4回の確認月まで待つ必要はない。
疑義解釈は判例のようなものだ。条文に書かれていない運用上の取扱いを、厚生労働省が明示する。届出を取り下げた後の再算定のタイミングについては、これまで解釈が曖昧だったことになる。今回の疑義解釈でようやく公式に整理された。
8月確認を前にして、今月は実務上の分岐点になる。届出取り下げ済みのクリニックは「何月に要件を取り戻したか」を確認するところから動いてほしい。
8月確認月の前に今週やること
8月が施設基準確認月のひとつであることを踏まえ、在宅管理料を算定しているクリニックは今週中に以下を確認する。
1. 現時点で施設基準を満たしているか再確認する令和8年6月1日施行の診療報酬改定で、在宅時医学総合管理料の施設基準の内容が変更されている部分がある。旧来の様式やチェックリストをそのまま流用して確認すると、見落としが生じる可能性がある。令和8年度診療報酬改定関係通知(社会保険診療報酬支払基金)や所轄の地方厚生(支)局に最新の施設基準告示・通知を確認してから、自院の状況と照合する。
2. 届出取り下げ済みのクリニックは「回復月」を特定する過去に「基準に該当しない」として届出を提出しているなら、実際に要件を取り戻した月はいつかを確認する。今月(7月)または来月(8月)の時点で要件を満たしているなら、今月または8月中に届出を取り下げることで、来月(8月)または9月から通常の算定に戻れる。
「次の確認月(11月)まで様子を見よう」は、その3ヶ月分の算定機会を自ら手放すことと同じだ。
3. 届出様式は最新版を使う届出様式は改定ごとに改訂される場合がある。令和8年6月1日改定版の最新様式を、地方厚生(支)局のウェブサイトで確認してから提出する。旧様式を使い回すと差し戻しになるケースが実際にある。うちのクライアントでも数件経験した。
4. 様式提出後の控えを記録しておく届出の提出日と受理日は、次の確認月以降に問い合わせが来た場合に必要になる。郵送なら受付印、電子申請なら受理通知のスクリーンショットを残しておく。届出そのものより、証拠の管理を怠るクリニックの方が多い。
もう一点:院内掲示のデジタルサイネージ化が公式に認められた
同じ疑義解釈資料(その10)の別添5・問1に、もう一つ実務に影響する答えが出た。
健康保険法に基づき保険医療機関に義務付けられている院内掲示事項を、デジタルサイネージ(液晶ディスプレイ等の電子的表示)で行ってよいか、という問いだ。答えは「差し支えない」。
ただし条件がある。
- 利用者が容易に視認でき、内容を適切に確認できること
- 数分以内に一巡するなど、全内容を確認できる状態を確保すること
- 利用者から求めがあった場合に速やかに閲覧できるよう、紙媒体を院内に備え付けること
- 紙媒体で閲覧できる旨をデジタルサイネージ上に掲示すること
注意点として、医療法など健康保険法以外の法令に基づく掲示事項については、今回の答えの適用範囲外になる可能性がある。個人情報保護や院内感染対策に関する掲示は、各法令の規定を別途確認する必要がある。
待合室の壁を整理したい、紙の張り替えを減らしたいというクリニックには、今月の実務チェックに加えていいテーマだ。健康保険法ベースの掲示から順番に移行して、医療法系の掲示は慎重に確認する、という進め方が現実的だと思う。
疑義解釈は、読む人には武器になる。読まない人には何も起きない、ただそれだけの差だ。
出典・参考情報
- 疑義解釈資料の送付について(その10)(厚生労働省保険局医療課 事務連絡、確認日:2026年7月20日)
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省、確認日:2026年7月20日)
- 令和8年度診療報酬改定関係通知(関係通知 一覧)(社会保険診療報酬支払基金、確認日:2026年7月20日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。内容は改定・更新される場合があります。
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