様式19を8月に出さないと在医総管が6月から減算【無床診療所】
令和8年8月。── これが、在宅時医学総合管理料を算定する全診療所に課された「様式19の報告期限」だ。
未提出のまま放置すると、令和8年6月分の請求から減算が確定する。
今日は、その期限に間に合わせるために、院長が今週中にやることを書いていく。
そもそも何の話か ── 在医総管・施医総管 注16という地雷
令和8年度の診療報酬改定で、在宅時医学総合管理料(在医総管)と施設入居時等医学総合管理料(施医総管)の施設基準に注16が新設された。 注16は「厚生労働大臣が定める基準に該当しない場合は所定点数の一定割合を減算する」という規定で、令和8年6月1日施行分から動いている。
厚労省保険局医療課が令和8年5月22日に出した疑義解釈資料の送付について(その6)の問15で、運用上のポイントが2つ示された。
- 注16の基準に 該当しない 場合のみ、施設基準を改めて届け出る
- 令和8年8月に、在医総管・施医総管を届け出る 全ての医療機関 が、注16基準に該当することを確認し、別添2の様式19で地方厚生(支)局長に報告する
つまり「該当します」と書いた様式19を、8月に出さなければならない。出さなかった機関、出したが基準を満たさない機関は、6月分から減算される。
これが地雷だと言うのは、改定通知(令和8年3月5日 保医発0305第8号)を真面目に読んだ院長の中に「該当する場合は届出不要」と読み取って様式19を作らずに6月を迎えた医療機関が一定数あるからだ。 うちのクライアントの一人、A院長(在宅専門の無床診療所)も「届出は不要だと事務長から聞いた」と6月初週に言っていた。 正確には「施設基準を改めて届け出る必要はない」だが「8月に様式19で報告する必要はある」。この2行の差で減算が刺さる。
では何点減るのか ── 数字を出してから慌てよう
注16の減算幅は、改定通知に基づき、該当基準を満たさない場合に所定点数の一定割合を減算する設計になっている。 具体的な減算率は届出区分(在医総管か施医総管か、月の訪問回数、単一建物診療患者数)と非該当の項目によって変わるため、ここでは「一律X%」と書ききらない。 減算率の詳細は令和8年度診療報酬改定 関連通知(九州厚生局)の留意事項通知別添を確認してほしい。
大事なのは「率」ではなく「何ヶ月分が消えるか」だ。8月の様式19提出が遅れれば、6月・7月・8月の3ヶ月分が減算の対象になる可能性がある。 在医総管を月に50件算定している無床診療所なら、3ヶ月で数十万円〜百万円単位で粗利が削れる。 減算が乗ったレセプトを返戻で取り直すには審査支払機関とのやり取りも必要になるから、現場の事務時間も追加で食われる。
「6月分のレセプトはもう請求してしまった」という院長へ。請求済みでも、8月に様式19を出して「該当」となれば、その後の請求は正常に戻る。 ただ、6月・7月の遡及調整が要るかどうかは、地方厚生局の運用に従う必要がある。判断が遅れるほど、レセコン側の修正と返戻処理で事務が二重に動く。今すぐ管轄の厚生局に電話で確認した方がいい。
今週やる3つのこと ── 院長が直接判断すべきライン
事務長や医事課長に丸投げしたい気持ちはわかる。私もうちのバックオフィスを回していて、書類仕事は人に頼みたくなる。 ただし注16は「厚生労働大臣が定める基準への該当性」を判断する話なので、最終署名は院長になる。 事務長レベルで「該当します」と判断して提出した結果、後から監査で外れたケースを過去に何件か見ている。だから院長が3つだけ確認してほしい。
- 令和8年8月までの提出スケジュールを今週中にカレンダーに入れる
8月中の最終提出日は厚生局ごとに運用が違う。8月の最終週に駆け込むのではなく、お盆前の8月10日前後を目標に置くと事務がパンクしない。 - 様式19の「届出医療機関の体制について」と「実績等について」の2項目を、現状の数値で空欄を埋めてみる
書いてみると、満たしていないと思っていた項目が満たしていたり、その逆だったりする。様式19のPDFをプリントして、月曜の朝会で15分だけ目を通す。 - 非該当の項目が見つかったら、6月の請求を一旦止める判断をする
請求自体は止めなくても、減算なしで請求してしまうと過誤調整が後で来る。レセコンの単価設定を変更するか、月遅れ請求にするか、選択肢は2つしかない。判断は院長の意思決定として今週中に決めた方がいい。
4つ目以降を書きたくなったが、3つで止める。 書類仕事で大事なのは「全部把握すること」ではなく「最初の動きを今週中に切ること」だ。
疑義解釈6には他にも経営判断ネタが2件ある
今回の疑義解釈6には、無床診療所の院長が押さえておくべき項目があと2つある。記事の柱からは外れるが、見出しだけ置いておく。
- 問1〜問4:電子的診療情報連携体制整備加算(A000)の認証電子カルテ要件
施設基準の「厚生労働省が認証する電子カルテ製品であること」について、認証制度は現在検討中で、厚労省医政局の議論がまとまり次第示される、と回答されている。つまり今は 誰も認証電子カルテを使えない。算定の準備をしている院長は、認証制度の発表を待つしかない。 - 問5:看護師等遠隔診療補助加算
診療時間内に医師が不在で、保険医が情報通信機器を用いた診療を行った場合、訪問看護遠隔診療補助料(C005-1-3)は算定不可だが、看護師等遠隔診療補助加算は要件を満たせば算定できる、と整理された。在宅とのハイブリッドで動いている診療所は要件の読み直しを。
5月8日付の疑義解釈5と合わせて読むと、6月施行に向けた取扱いが見えてくる。週末の事務整理で目を通しておくといい。
うちで起きた小さな笑い話 ── 8月の罠
余談を1つ。うちのクライアントで在宅専門の診療所をやっているB理事長、6月1日の朝に「在医総管の減算って、結局うちは関係ないですよね?」と電話してきた。 その時点で疑義解釈6はまだ出ていない。「条文を読む限り、注16非該当だと6月分から減算が乗ります。基準を確認してから8月に届出が要ります」と返した。 電話の向こうで一瞬の沈黙。「8月って、もうお盆ですよ」。そう、お盆だ。
診療報酬改定の事務スケジュールは、医療機関の盆暮れを一切考慮しない。8月10日を超えると事務長は実家に帰る。お盆明けに焦って様式19を作ると、9月の頭にずれ込んで、結局3ヶ月分の減算が確定する。 B理事長のところは、その日のうちに事務長を呼び戻して様式19の下書きを始めた。これは正解だったと思う。
院長がこの記事を見終わったら、まずカレンダーを開いて、8月10日に「様式19 厚生局提出」と書き込んでほしい。 記事を読んで「あとでやろう」が一番危ない。
出典・参考情報
- 疑義解釈資料の送付について(その6)(厚生労働省保険局医療課 令和8年5月22日 事務連絡、確認日:2026年6月15日)
- 様式19 在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の施設基準等届出書 添付書類(令和8年度改定版)(九州厚生局、確認日:2026年6月15日)
- 疑義解釈資料の送付について(その5)(厚生労働省保険局医療課 令和8年5月8日 事務連絡、確認日:2026年6月15日)
- 令和8年度診療報酬改定について(九州厚生局 医療指導課)(確認日:2026年6月15日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。最新情報は厚生労働省および地方厚生局の公式ページで確認してください。
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