ケアマネ更新制 廃止はいつから 従事届と新研修の全体像【2026】
ケアマネの更新制がなくなれば現場が楽になる。そう受け止められがちですが、実は半分しか当たっていません。
研修を受ける義務は残り、その受講を見届ける責任が、ケアマネを雇う事業所の側に移るからです。
施行日、届出、研修の中身、報酬改定の案、費用。本部が年内に決めておくことまで、この順で並べます。
施行は2027年12月1日。それまでに期限が来る人は、今までどおり更新です
2026年10月26日の第137回社会保障審議会介護保険部会で、厚生労働省が資料3「介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)」を出しました。根拠になる法律は、社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)です。
更新制の廃止は「改正法公布日より1年6月以内に政令で定める日」とされていました。資料3で、日付が決まっています。
早期の制度施行と都道府県による準備期間の双方を考慮した上で、「令和9年12月1日」を施行日とする。
この日から、一度交付を受けた資格は期限で失効しなくなります。4月ではなく、12月。年度の途中で切り替わります。
危ないのは施行日より前です。介護ニュースJointは、施行日前に介護支援専門員証の有効期限を迎える人は、従来どおり期限までに更新研修を受ける必要があると報じました。2027年の夏に期限が来るケアマネがいたとして、その人のところに「もう更新はいらないらしい」という話だけが先に届いたらどうなるか。現行ルールでは、有効期限内に更新研修を修了できなければ証が失効し、直ちに業務停止です。廃止が決まったことと、自分の期限がいつかは、別の話として扱わなければいけません。
では、2027年12月以降に事業所が背負うものは何なのか。
研修の義務は消えない。事業所に新しくかかる義務は2つです
今の制度で研修を受ける義務を負っているのは、ケアマネ本人だけです。改正後は、雇っている事業者にも義務がかかります。資料3は次のように整理しています。
ケアマネジャーを雇用する事業者に対して、雇用しているケアマネジャーについての都道府県への報告及び研修受講機会確保のために必要な措置を講ずる義務を課すこととしている。(改正介護保険法第六十九条の四十第1項2項)
1つ目が都道府県への報告、2つ目が研修を受ける機会の確保です。
対象になるのは、条例でケアマネを置かなければならないとされている事業者や施設の開設者です。介護ニュースJointも、ケアマネの配置が必要な全てのサービスの事業者が対象だと書いています。居宅介護支援事業所だけでなく、施設系を含め、ケアマネを置くことになっているサービスを運営する法人はすべて当事者です。
「受講機会の確保」として資料が想定している例は2つあります。
- 勤務時間中に研修を受けるなら、その時間も労働時間とみなすこと
- 研修が回るように、業務の配分や人員の配置を手当てすること
研修日を本人の有休で埋めてきた事業所は、この想定と合うかどうかを一度見ておく必要があります。
1つ目の義務、報告のほうは期限つきです。
従事届と非従事届は10日以内。出すのは本人ではなく事業所です
報告の手段として示されたのが「従事届」と「非従事届」です。どちらもまだ仮称です。
ケアマネジャーを従事させた日又はケアマネジャーの退職等が発生した日から10日以内(指定に係る変更届と同様)に、当該情報を都道府県に報告することを義務づける。
- 従事届:新しくケアマネを雇ったとき
- 非従事届:ケアマネが退職したとき、または、やむを得ない事情で一定期間は研修を受けにくいと見込まれる人がいるとき
やむを得ない事情として想定されているのは、育休や家族の介護、病気休職、災害などです。都道府県はこの届出と指定研修受講管理機関のシステムを組み合わせて、研修の対象者と受講状況を把握します。
10日は短い。長さとしては指定の変更届と同じで、月末に退職者が出れば、給与の締めと同じ週に届出が重なります。採用の多い法人ほど、件数も増える。様式も提出方法もまだ決まっていませんが、誰が出すかは今のうちに決められます。
では、届出も研修も止まったままの事業所には、何が起きるのか。
受けなくても即停止ではない。先に問われるのは事業所の側です
今回の改正で一番大きいのはここです。
現行は、有効期限内に更新研修を終えなければ証が失効し、直ちに業務停止です。改正後は、研修受講期間内に修了していなくても、直ちに業務停止にはなりません。そのかわり都道府県は、資料3の整理では次の順で動きます。
- そのケアマネを雇っている事業者に、受講機会を確保する措置をとっているか確認する
- 措置をとっていなければ、事業者に要請する
- 要請を受けても動かなければ、勧告、公表、命令等を段階的に行う
- 命令にも従わなければ、指定権者による指導監督に進む
事業者が措置をとっているのに本人が受けない場合は、都道府県が本人に受講を命じます。従わなければ、1年以内の期間を定めて業務の従事を禁止できる。正当な理由なく受けないままなら、最終的には登録の消除の対象です。
順番を見てください。最初に確認されるのは本人ではなく、雇っている事業者です。研修を受けていないケアマネがいたとき、「本人の問題です」と答えられる余地は小さくなります。事業者に求められる役割として、資料には「職員の研修受講状況の把握・未受講者への指導・指示」とも書かれています。
本人を守るはずの改正で、雇う側の段取りが問われる。では、受けさせる研修そのものはどう変わるのか。
最初の5年は計74時間。分割とオンラインで受ける形に変わります
まず名前が変わります。
- 専門研修の専門Ⅰ課程 → 介護支援専門員初任研修
- 専門Ⅱ課程と更新研修(実務経験者) → 介護支援専門員定期研修
- 主任介護支援専門員更新研修 → 主任介護支援専門員定期研修
- 再研修と更新研修(実務未経験者) → 介護支援専門員復職支援研修
介護支援専門員実務研修と主任介護支援専門員研修は、これまでどおりです。
時間数はこうなります。初任研修は42時間以上で、就業後6か月以上3年以内に受ける。定期研修は32時間以上、復職支援研修は15.5時間以上です。主任介護支援専門員定期研修は46時間以上ですが、主任研修を終えてから最初の5年間は受けなくていい。介護ニュースJointの整理では、初任と定期を合わせて最初の5年間に受ける研修は計74時間。現行の更新研修(実務経験者)は88時間なので、14時間短くなります。
受け方も変わります。今の更新研修は、32時間の研修を決められた日(概ね4日から9日前後)に受ける形です。見直し後は就業開始から5年をひと区切りにして、その間に本人の希望で分割して受けられます。形式は基本的にオンラインとオンデマンド。離職や育児による休職、災害などで受けられない期間は、5年の計算から外されます。
シフトの組み方で言えば、決まった数日を丸ごと空ける形から、空いた時間に少しずつ受ける形への切り替えです。ただ、分割できるぶん、誰がどこまで受けたかは見えにくくなる。台帳が要ります。
では、いま現場にいるケアマネは、いつ最初の研修を受けることになるのか。
いま働く人の最初の区切りは2033年3月。免除になる人もいます
現に働いているケアマネは、施行日の2027年12月を起点に5年の中で定期研修を受けます。ただし施行後最初の研修受講期間は、2033年3月まで(資料では「R15.3まで」)です。
例外が1つあります。令和9年度に旧制度の専門Ⅱ課程、更新研修、主任更新研修のいずれかを修了した人は、直近の制度を学んでいることを考慮して、次期報酬改定(2030年3月末)まで受講が免除されます。
本部から見ると、ケアマネが3つのグループに分かれます。
- 2027年11月30日までに証の有効期限が来る人:従来どおり期限内に更新研修
- 令和9年度に旧制度の対象研修を修了した人:2030年3月末まで受講免除
- それ以外の現職者:2027年12月から2033年3月までの間に定期研修
同じ事業所の中に、ルールの違う3グループが並ぶ。厄介です。全員の有効期限と最後に修了した研修を一覧にしない限り、誰がどこに入るかは分かりません。
研修の側の話はここまでです。報酬の側でも、同じ方向の案が出ています。
報酬改定の案は人員基準と減算。幅はまだ出ていません
10月19日の第271回社会保障審議会介護給付費分科会の資料6に、更新制廃止に伴う対応案が3つ載りました。
- ケアマネを配置する施設や事業所の人員基準で、定期的な研修を受けている人などをケアマネとして配置するよう求める
- 管理者の責務として、従事するケアマネに受講を勧めることを位置付ける
- 正当な理由なく研修を受けていない人を配置している場合に、減算の規定を設ける
研修を受けている人の配置と管理者の責務については、ケアマネを置く他のサービスでも同様にする案です。居宅だけの話ではありません。
減算の単位数や率は、まだ示されていません。いずれも分科会の「対応案」の段階です。次の介護報酬改定の施行時期について、介護ニュースJointは、厚労省が「現時点では来年6月1日の施行を念頭に準備を進めている」と明言したと伝えています。最終的には予算編成過程を経て決まるという前置きつきです。
都道府県の段階的な措置に、報酬の減算が重なる。案のとおりに決まれば、研修の未受講は事業所の売上の問題にもなります。
主任ケアマネの管理者要件をめぐる見直し案も、同じ資料6に載っています。こちらは主任ケアマネ 管理者要件 撤廃案 居宅の採用判断3点【2026】で整理しました。
残るのはお金の話です。
研修費は誰が払うのか。愛知県の更新研修は76,260円でした
資料3の参考資料に、令和6年度の法定研修の受講者負担が都道府県別に並んでいます(厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課調べ)。うちの地元の数字を拾うと、こうなります。
- 愛知県 更新研修(実務経験者・初回):76,260円(全国平均 59,734円)
- 愛知県 主任介護支援専門員更新研修:60,500円(全国平均 37,637円)
新しい初任研修や定期研修の受講料は、まだ公表されていません。時間数が減ってオンライン中心になる以上、今の金額がそのまま続くとは限らない。ゼロにはならない。
現場でもめるのは、時間数より費用のほうだと私は考えています。法人が持つのか、本人が持つのか。持つとして、受講後すぐに辞めた人の扱いはどうするのか。決めないまま2027年12月を迎えると、一人ひとりの面談で場当たり的に決めることになります。費用の扱いは求人票の書き方にも響きます。採用の場面で聞かれてから考えるのでは遅い。
では、本部は年内に何から手をつければいいのか。
本部が年内に決める4つ。台帳、届出の担当、研修日の扱い、費用
1. ケアマネ台帳を本部に一本で置く
列は6つで足ります。
- 氏名と所属事業所
- 証の有効期限
- 最後に修了した法定研修と修了日
- 就業開始日
- 休職や育休の期間
- 主任ケアマネかどうか
最初に見るのは有効期限です。2027年11月30日までに期限が来る人を先に抜き出し、更新研修の申込状況を確認する。事業所を複数持つ法人ほど、台帳は本部で一本にしたほうが漏れません。異動のたびに事業所ごとの名簿を直す運用だと、どこかで1人抜けます。
2. 入社と退職のチェックリストに都道府県への届出を足す
10日の期限は、担当が決まっていなければすぐ過ぎます。ケアマネの採用と退職を一番早く知るのは、人事か本部の事務担当です。いま指定の変更届を出している人に寄せる。うちならそう決めます。様式が公表されたら、その日にチェックリストへ差し込めば済みます。
3. 研修日の扱いを就業規則か研修規程に書く
勤務時間中の受講は労働時間とみなす。資料3がそう想定している以上、研修をシフトにどう組み込むかは先に決めておくほうが早い。オンデマンドで少しずつ受ける形なら、週のどこに何時間を確保するかまで書いておくと、管理者が迷いません。
4. 費用の負担ルールを決めて、求人票と揃える
法人負担か本人負担か。どちらを選ぶかより、決めないまま施行日を迎えるほうが高くつきます。法人負担にするなら、研修費の予算を事業所別に持つのか本部で一括にするのかも、あわせて決めておく。
台帳を作り始めると、有効期限の欄がすぐには埋まらない人が出てくるはずです。証のコピーは入社時に取ってあるのに、誰も日付を見ていなかった。2027年11月までに気づけるなら、まだ間に合います。
出典・参考情報
- 第137回社会保障審議会介護保険部会 資料(厚生労働省、確認日:2026年11月1日)
- 資料3 介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)(厚生労働省、確認日:2026年11月1日)
- 第271回社会保障審議会介護給付費分科会 資料(厚生労働省、確認日:2026年11月1日)
- 資料6 居宅介護支援・介護予防支援(改定の方向性)(厚生労働省、確認日:2026年11月1日)
- ケアマネ資格の更新制、来年12月1日に廃止へ 次の研修はいつ? 厚労省が移行ルール提示(介護ニュースJoint、確認日:2026年11月1日)
- ケアマネの就業・退職、事業者に届け出を義務化 10日以内に都道府県へ 厚労省方針(介護ニュースJoint、確認日:2026年11月1日)
- ケアマネ法定研修、「更新」から「定期」へ 時間数どう変わる? 厚労省が新体系を提示(介護ニュースJoint、確認日:2026年11月1日)
- 来年度の介護報酬改定、6月1日施行で統一へ 厚労省 負担軽減へ調整(介護ニュースJoint、確認日:2026年11月1日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度・数値は公表元の最新情報をご確認ください。
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