ケアマネ更新制廃止で研修が変わる──施設が準備すべき3つのこと
「更新制廃止」は「研修なし」にならない──まずここを整理する
「更新制が廃止されるなら、ケアマネは研修を受けなくてよくなるんですか?」 先週、うちのクライアントの介護施設Aさんから聞かれた。正確にはその逆だ。 今回の改正案では、ケアマネジャーの資格の更新制を廃止する一方で、定期的な研修の受講を法令上の義務として新たに定める。これまでは「研修を受けないと資格が失効する」という仕組みで研修受講を担保していた。廃止後は、更新という概念がなくなる代わりに、研修受講が法令上の独立した義務として課される形に変わる(介護ニュースJoint、2026年4月3日閣議決定報道)。 資格は失わない。でも研修をさぼれば法令違反になる。 施設にとってより重要なのは、事業者側にも義務が課される点だ。雇用するケアマネジャーが研修を受けられる機会を確保することが義務付けられる。未受講者への指導や指示、受講時間の確保などが想定されている。 「更新制がなくなるから管理が楽になる」という感覚は危ない。むしろ施設側の管理責任は明文化される方向に動いている。では、肝心の研修の中身がどう変わるのか。5月15日の答弁に3つの具体的な変化があった。5月15日答弁で明らかになった3つの変化
衆議院厚生労働委員会で、厚労省老健局の黒田秀郎局長が答弁した内容を整理する(介護ニュースJoint、2026年5月15日)。 変化① オンライン・オンデマンドを基本にする 「オンライン・オンデマンドの受講を基本にする」と明言した。これまでは都道府県ごとに日時・場所が決まった集合研修が主流で、シフトを調整して会場まで移動する負担が実務上の問題だった。それが「時間や場所にとらわれない柔軟な受講」に変わる。夜間でも、出勤前でも、空き時間に受講できる形になる。 変化② 一定期間内の分割受講が可能になる 「一定期間内の分割受講を可能にする」とも述べた。4月の閣議決定段階では「例えば5年などの一定期間内に、それぞれが望むタイミングで研修を分けて受けられる制度設計が構想されている」との説明もあった。まとめて受けるしかなかった研修を、業務の合間に少しずつ消化できるようになる。施設側のシフト管理への影響は小さくない。 変化③ 講義部分の時間数を縮減し、国が教材を統一する 「知識や技術のアップデート、留意点の習得などを目的とする講義形式の時間数を見直したい。初回の更新研修など特に時間数が多い研修課程も見直す」と言った。加えて、国が一元的な研修教材を作成することで、高額な受講料の是正・経済的な負担の軽減も図るという。 この3点が揃うことで、制度の実態は今とかなり変わる。問題は、施設として今から何を準備しておくかだ。施設管理者が今やること3つ──1年半という猶予の使い方
「公布後1年半以内」は、今国会で法案が通過すれば、早ければ2027年後半〜2028年にかけて施行される可能性がある(e-Gov 法令検索 介護保険法参照)。余裕はある。だからこそ、今のうちに動ける。 ① 雇用ケアマネの研修受講状況を一覧で把握する 施設で雇用しているケアマネジャーの研修受講状況と次回受講予定を一覧にしておく。制度が切り替わったとき、誰が何の研修をいつ受ける必要があるかを把握していない施設は、移行期に確実に詰まる。「いつ受ければいいんでしたっけ」が一番まずい。1枚のスプレッドシートでいい。今週中に整理してほしい。 ② 現在の研修費用を記録しておく 「高額な受講料の是正」という言葉が答弁に入った以上、今後は費用体系が変わる可能性がある。現状の研修費用を記録しておき、制度変更後に比較できるようにしておくだけで意味がある。助成金・補助金の対象になる可能性も念頭に置く。 ③ 就業規則と研修管理の手順書を確認する 「事業者は雇用ケアマネが研修を受けられる機会を確保することを義務付けられる」──この義務を実際にどう記録・管理するかを今から考えておく。シフト調整の記録、受講への案内・誘導の記録、未受講者への対応方針。現在の就業規則や内部ルールがこうした対応を想定しているかを一度確認しておく価値がある。「高額受講料の是正」という言葉が引っかかっている
正直に書く。今回の答弁で私が一番気になったのは「高額な受講料の是正など経済的な負担の軽減も図る」という部分だ。 研修費用は都道府県・研修機関によって大きく差がある。施設が費用を負担しているケースも多く、採用・定着のネックになっている現場を私は何件も見てきた。「高額受講料の是正」が具体的に何を意味するのか、国が一元的な教材を作ることとどう組み合わさるのか、まだ詳細は詰めている段階だ。 ただ、方向性として「費用を下げる」「時間を縮める」「場所を選ばない」の3つが揃うなら、ケアマネの採用・定着にプラスに働く可能性がある。研修負担を理由に資格取得をためらっている人材がいるとすれば、そこへの影響も無視できない。 制度の細部はこれから固まる。週明けの議会審議をもう少し追いかけてから、具体的な対応策を書くつもりだ。出典・参考情報
- ケアマネ資格の更新制廃止 研修受講は法令上の義務に 政府が閣議決定(介護ニュースJoint、確認日:2026年5月17日)
- ケアマネ更新制廃止、定期研修はオンデマンドが基本 講義の時間数を縮減 厚労省(介護ニュースJoint、確認日:2026年5月17日)
- 介護保険法(e-Gov法令検索)(確認日:2026年5月17日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度の最新情報は厚生労働省または各都道府県の公式発表をご確認ください。
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