主任ケアマネ 管理者要件 撤廃案 居宅の採用判断3点【2026】

「主任が取れる人が来るまで、管理者の募集は止めないつもりです」

名古屋市内で居宅介護支援事業所を運営するC理事長が、月曜夕方のZoom定例でそう言いました。私は画面のこちら側で、返事をする前に資料のPDFをもう一度開きました。同じ日の午前、厚生労働省の審議会で、その前提そのものを外す案が出ていたからです。

居宅の管理者は主任ケアマネでなければならない。このルールを軸に採用計画を組んできた法人は、東海でも少なくありません。案が通れば、求人票の書き方も、主任ケアマネの使い方も変わります。ただ、今日すぐ動いていい部分と、年内の続報を待つべき部分があります。


10月19日に出た案は「管理者に主任を求めない」

2026年10月19日の第271回社会保障審議会介護給付費分科会で、厚労省は居宅介護支援の論点を示しました。資料6(居宅介護支援・介護予防支援)の対応案には、こう書かれています。

居宅介護支援事業所の管理者については、主任ケアマネジャーであることは求めないこととしてはどうか。

代わりの要件は「ケアマネジャーであって、5年の実務経験等を有する者」。まだ案の段階です。

現行ルールをおさらいしておきます。平成30年度改定で、居宅の管理者は主任ケアマネと決まりました。令和3年3月31日時点で主任でない人が管理者だった事業所は、その人が管理者を続ける限り、適用が令和9年3月31日まで猶予されています。一方で令和3年4月以降に新しく管理者になる人は、交替の場合も含めて主任であることが必要です。主任ケアマネ研修を受けるには、専任で5年の実務経験がいります。つまり今は、経験5年の人を見つけても、研修を終えるまで管理者に据えられない仕組みです。

なぜ外すのか。資料には、主任ケアマネが事務的な管理業務に時間を取られ、現場のケアマネの指導が十分にできていないという指摘が引かれています。令和7年12月の介護保険部会の意見書でも、管理者が担う労務・財務管理と、ケアマネの育成との役割分担が課題とされていました。

介護ニュースJointによると、会合では撤廃に賛同する声があがった一方、新たに5年の実務経験を求める必要性を疑問視する意見も出ました。厚労省は年内にも施策の大枠を固める予定です。

では、C理事長の「主任待ち」は今すぐやめるべきなのか。


主任待ちで管理者ポストを空けるのは、もうやめていい

私の答えは、やめていい、です。ただし条件が1つあります。

資料6には、令和7年度老人保健健康増進等事業の調査結果も載っています。居宅の管理者の実務経験は5年以上が84.3%、「主任介護支援専門員である」が90.3%でした。今の管理者の大半は、現行の主任要件も案の5年要件もすでに満たしています。困るのは、これから管理者を探す法人です。

C理事長の事業所には、実務経験が5年を超えて主任研修の受講を待っているケアマネがいました。現行ルールのままなら、研修を終えるまで管理者にはできません。案が通れば、その人を管理者候補として育て始められます。

条件というのは、施行日です。新しい管理者要件がいつから適用されるのか、令和9年3月31日の猶予期限とどうつながるのか。資料には書かれていません。年内の大枠を待つしかない部分です。

ですから、求人票の「主任ケアマネ必須」を今日消すのは早いと思います。今やるのは、募集を止めないことと、応募者を「主任かどうか」だけで落とさないこと。この2つです。

では、主任ケアマネの価値は下がるのでしょうか。


それでも主任を手放してはいけない理由は、特定事業所加算にある

管理者の席から主任が外れても、加算の席には主任が欠かせません。令和6年度改定後の特定事業所加算は、常勤専従の主任介護支援専門員を(Ⅰ)で2名以上、(Ⅱ)(Ⅲ)(A)で1名以上置くことが要件です。単位数は月あたり(Ⅰ)519単位と(Ⅱ)421単位。(Ⅲ)は323単位、(A)は114単位。

今回の対応案では、加算の中身も動いています。

  • (Ⅰ)の「要介護3〜5の利用者が100分の40以上」という要件を廃止する
  • (A)は廃止し、1年の経過措置を設ける
  • (A)だけに認めていた24時間連絡体制や研修の他事業所との連携を、上位の区分でも認める

主任を管理者業務から解放し、加算と後輩の指導に時間を使ってもらう。案の方向はそこにあります。うちが支援している東海の居宅でも、主任が請求や勤怠の確認で夕方まで埋まっている光景は珍しくありません。

(A)を算定している法人は、経過措置の1年のうちに上位区分へ移れるかを試算しておくべきです。最初に見るのは主任と常勤ケアマネの人数です。(Ⅱ)なら主任1名以上に加えて、常勤ケアマネ3名以上が要件に入っています。

そしてもう1つ、同じ資料に管理者の仕事を増やす案が入っていました。


研修未受講の減算案は、管理者の責任になる

ケアマネ資格の更新制は、今年6月の改正介護保険法の成立で廃止が決まりました。更新研修を受けないと資格を失う仕組みはなくなります。ただし定期的な研修の受講は、引き続き義務です。

資料6の対応案は3点です。人員基準で、定期的な研修を受けているケアマネの配置を求める。管理者の責務として、ケアマネに受講勧奨を行う。正当な理由なく研修を受けていない者を配置している場合に、減算の規定を設ける。ケアマネを置く他のサービスにも同じ扱いを広げる方向です。

介護ニュースJointによると、委員からは経営や人材確保への影響を心配する声と、「正当な理由」の判断基準を明確にするよう求める声が出ています。減算の幅は、資料には示されていません。

更新期限という締切が消えるぶん、誰がいつ研修を受けたかを法人が自分で追うことになります。管理者が主任でなくなる時期と重なるのも、偶然ではない気がします。


理事長が年内に済ませておく3つのこと

大枠が固まる前でも、手を付けられる準備はあります。

  1. ケアマネ全員の経歴表を作る。実務経験の年数、主任研修の修了年、直近の法定研修の受講日を1枚にまとめます。新要件の「5年」も加算の主任人数も、この表で判定します。
  2. 求人票を2案用意しておく。現行の「主任必須」版と、「実務経験5年以上の管理者候補」版。年内の大枠が出た日に差し替えられるようにしておきます。
  3. 研修記録の置き場所を決める。受講勧奨をした日と受講の結果を、管理者個人の手帳ではなく事業所の記録に残します。運営指導で受講状況を聞かれたとき、出せるのはこの記録だけです。

C理事長は翌週の定例で、経歴表の下書きを画面共有してくれました。主任研修待ちのケアマネの欄に、「管理者候補」と書き足してありました。

表を作ると、主任の人数が加算の要件ぎりぎりだった、という事業所がたいてい1つは出てきます。採用で埋めるべき席が管理者ではなかった。そう気づくのは、名簿を並べたあとです。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度・数値は公表元の最新情報をご確認ください。


あわせて読みたい


株式会社Reliefのサービスで、事業運営を強力サポート!

株式会社Reliefは、医療機関や介護・福祉・保育施設の運営をトータルサポートする専門企業です。
業界特化型のオンラインアシスタント「セレナ」
月一回からはじめる事務長アウトソーシング「困ったときのじむちょー君」
バックオフィスの業務改善・効率化、MoneyForwardクラウドICT・クラウドDX導入支援
経営課題の解決や業務効率化を実現し、貴社の発展を全力でサポートいたします。

現場の事務負担を減らす自社開発アプリも無料で公開しています。
PC・ソフトの台帳づくりを自動化するIT資産管理ツール
社用車・送迎車の記録を一元管理する車両管理アプリ
最新情報のお知らせは公式LINEでお届けしています。お気軽にご登録ください。