金パラ12月改定 4,900円案 大臼歯の点数試算【2026】

「金パラ、また下がるんですか。12月こそ戻ると思ってたのに」

10月28日の夕方、岡崎市内の歯科医院で月次の打ち合わせをしていたときです。歯科のE先生が、ユニットの片付けを終えた手でスマホをこちらに向けました。画面には、その日の朝に開かれた中医協の資料。

私も同じPDFを昼休みに開いていて、表の数字を見たところで手が止まっていました。

その場で電卓を叩いた20分が、今日の話の元になっています。


10月28日の中医協に出た数字は、1gあたり4,900円

令和8年10月28日の中央社会保険医療協議会 総会(第660回)で、議題の6番目に「歯科用貴金属価格の随時改定について」が入っていました。配られた資料が総−6です。

金パラ(歯科鋳造用金銀パラジウム合金、金12%以上のJIS適合品)の12月の告示価格案は、1gあたり4,900円。9月の5,232円から332円下がります。

同じ表に、今年の動きが並んでいます。

時期金パラ 告示価格(1gあたり)
令和8年3月 随時改定4,779円
令和8年6月 通常改定5,746円
令和8年9月 随時改定5,232円
令和8年12月 随時改定(案)4,900円

6月に一気に上がって、9月で514円、12月案でさらに332円。2回続けての引き下げです。幅も小さくない。東京歯科保険医協会が9月改定のときに出していた30g単位の数字に合わせると、9月の15万6,960円が、12月案では14万7,000円になる計算です(試算値)。

下がるのは金パラだけではありません。14カラット金合金インレー用は15,871円から14,990円へ、金銀パラジウム合金ろうは7,770円から7,430円へ。銀合金も第1種が296円から259円、第2種が383円から346円と、総−6に載った9品目すべてが下がる案になっています。


2回続けて下がる理由は、1行の式で説明がつく

随時改定の価格は、総−6の欄外にある式で機械的に決まります。

{当該機能区分に係る随時改定時前の基準材料価格}+補正幅×1.1 補正幅=X−Y

Xは前回改定以降の平均素材価格、Yは前回改定で使った平均素材価格で、今回の12月案ではXの期間が令和8年7月から9月で4,130.5円、Yの期間が4月から6月で4,432.6円と示されていました。

つまり夏の3か月の地金相場が、春より平均で約302円安かった。その差に1.1を掛けて9月の5,232円から引くと、4,899.8円。端数を整えて4,900円です。

見直しは年4回です。総−6の1枚目にも、変動幅にかかわらず診療報酬改定時以外に6月、9月、12月、3月に見直すと書かれています。相場が下がれば、その分が次の改定に乗る。それだけです。

E先生の「戻ると思ってた」は、6月の5,746円の印象が強かったのだと思います。ただ、12月案の計算に使われた7月から9月の相場は、4月から6月より安かった。式に当てはめれば、下がる以外の答えは出てきません。


9月の点数は、価格とまったく同じ率で動いていた

院長が本当に知りたいのは1gの価格ではなく、レセプトに載る点数のほうです。12月の点数は、10月29日時点ではまだ通知が出ていません。

そこで、6月と9月の点数を並べて確かめました。6月分は令和8年4月30日の事務連絡、9月分は保医発0831第1号の別紙です。

M010 金パラ6月9月比率
大臼歯 インレー 単純なもの691点629点0.910
大臼歯 インレー 複雑なもの1,277点1,163点0.911
大臼歯 5分の4冠1,607点1,463点0.910
大臼歯 全部金属冠2,023点1,842点0.911
小臼歯・前歯 全部金属冠1,448点1,318点0.910

金パラの価格は5,746円から5,232円で、比率は0.9105。点数の比率も、どの行もほぼ0.910から0.911に収まっています。ほぼ一致です。材料料の点数は、告示価格とほぼ同じ率で動いていたことになります。

ここで一つだけ断っておきます。点数を出す計算式は、今回読んだ資料の中には見当たりませんでした。上の比率は、実際に出た2つの通知を突き合わせた結果です。12月にも同じ関係が続く前提で、次の表を作りました。


大臼歯の全部金属冠は約1,725点。12月の試算表

9月の点数に、12月案と9月の価格比(4,900÷5,232≒0.9365)を掛けた試算値です。正式な点数ではありません。

区分(金パラ)9月の点数12月の試算差(試算)
M010 大臼歯 インレー 単純なもの629点約589点約−40点
M010 大臼歯 インレー 複雑なもの1,163点約1,089点約−74点
M010 大臼歯 5分の4冠1,463点約1,370点約−93点
M010 大臼歯 全部金属冠1,842点約1,725点約−117点
M010 小臼歯・前歯 インレー 単純なもの428点約401点約−27点
M010 小臼歯・前歯 インレー 複雑なもの851点約797点約−54点
M010 小臼歯・前歯 4分の3冠、5分の4冠1,052点約985点約−67点
M010 小臼歯・前歯 全部金属冠1,318点約1,234点約−84点
M011 レジン前装金属冠1,642点約1,538点約−104点
M017 鋳造ポンティック 大臼歯2,120点約1,985点約−135点

6月に2,023点あった大臼歯の全部金属冠が、12月には1,700点台前半まで下がる見込みです。半年で約300点。

E先生は表を見ながら、「ブリッジの見積もり、患者さんに出したばかりなんですよ」と小さく笑っていました。笑っていたけれど、目は表の右端から動いていなかった。

試算と正式な点数が1点ずれることはあり得ます。端数処理の方法までは確認できていないためです。正式な数字が出たら、必ずそちらに置き換えてください。


点数が出る前の11月に、院長がやっておく3つ

9月改定のときは、点数を示した通知の日付が8月31日で、適用は翌日の9月1日でした。12月も通知から適用までの間がほとんどない前提で動いたほうが安全です。

在庫の金パラを、買った単価で並べる

ここが一番効きます。相場が高かった4月から6月ごろに仕入れた金パラが棚に残っている医院は少なくないはずで、それを12月以降に使えば、仕入れたときより下がった材料料の点数で請求することになる。在庫の量と仕入れ単価を一覧にして、どれだけ差が出るかを先に見ておくと、12月の数字に慌てずに済みます。

レセコンの12月マスタ更新日を、業者に聞いておく

9月のように前日に通知が出ると、レセコン業者の更新も月初ぎりぎりになりがちです。いつ配信されるか、更新は自動か手作業か。11月中に1本メールを送っておくだけで、12月のレセプトで古い点数のまま請求する事故は防げます。メール1通です。

試算表を、受付と技工の窓口に渡しておく

患者さんへの見積もりや、自費の補綴との差の説明に使う数字は、だいたい院長の頭の中にしかありません。上の試算表を「12月の目安」として共有しておけば、正式な点数が出たときは数字を差し替えるだけで済みます。

E先生の医院では、打ち合わせの翌朝に受付リーダーさんが在庫棚の写真を送ってくれました。30gパックが4つ。どの月に買ったものか、いま一緒に洗い出しています。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。12月の点数は試算値で、正式な点数は厚生労働省の通知でご確認ください。


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