かかりつけ医機能報告 ナビイ公開 診療所の3点【2026】
92,545。先週から、この数の医療機関の「かかりつけ医機能」が、患者の検索条件として画面に並んでいます。
厚生労働省が令和8年9月25日に報道発表を出し、かかりつけ医機能報告制度の初回報告分を医療情報ネット(ナビイ)に掲載したと知らせました(厚生労働省 報道発表 令和8年9月25日)。
都道府県に出した報告が、そのまま患者の検索結果になっている。ここを取り違えたまま次の報告期間に入ると、院内掲示との食い違いで足元をすくわれます。
92,545院の報告内容は、先週から患者に検索されている
報道発表に載っている数字はこうです。令和7年度かかりつけ医機能報告制度の報告状況(全国・令和8年8月17日時点)で、対象機関数 114,437、報告機関数 92,545、報告率 80.9%。対象機関数は、G-MISアカウント発行済み医療機関のうち歯科診療所と特定機能病院を除いた数です。
差し引き21,892機関が未報告という計算になります(対象機関数と報告機関数の差・筆者計算)。
厚労省はこの報告率の積み上がりを理由に、国民に向けて「地域においてかかりつけとなる医療機関を探す際には、ぜひ医療情報ネット(ナビイ)をご活用いただきたい」と呼びかけました。つまり今回の発表は、医療機関向けの事務連絡ではありません。患者に対する利用の号令です。
ナビイのトップページには「かかりつけ医機能」のボタンがあり、そこから機能を検索条件にして医療機関を絞り込めます。掲載内容は報告を踏まえて随時更新されると明記されています。
名古屋市内の無床診療所で事務を見ている先生に、自院の掲載ページを開いてもらったことがあります。画面を見た第一声が「これ、うちが去年出したやつですか」でした。G-MISに打ち込んだきり、誰も見返していなかった。
問題は、見返していない間に増えていた宿題のほうです。
報告して終わり、ではなかった。院内掲示と患者説明がセットで付く
厚労省のリーフレットは、医療機関の実施事項を3つ並べています。報告、院内掲示、患者説明です(厚生労働省 かかりつけ医機能報告制度リーフレット)。
院内掲示についてはこう書かれています。「かかりつけ医機能を有する医療機関の要件として、報告したかかりつけ医機能の一定の内容を院内掲示する必要があります」。要件です。任意の掲示物ではありません。
患者説明のほうはもう少し条件が細かい。「おおむね4ヶ月以上継続して医療を提供することが見込まれる場合で、患者・家族から求めがあったときは、治療計画等についてご説明をお願いします」とあり、かかりつけ医機能を有する医療機関には、原則として医療法に基づく患者への説明が努力義務になると注記されています。
慢性疾患で通ってくる患者さんが「治療計画を書面で見せてください」と受付に言う。その場面が制度として想定されている、ということです。
そして今、その患者さんは来院前にナビイで自院の報告内容を読める。掲示と報告が食い違っていれば、気づくのは行政より先に患者です。
では、何を掲示すればいいのか。そこは報告のときに自分で決めています。
★項目を「可」と答えた瞬間、2号機能の報告が始まる
かかりつけ医機能は1号機能と2号機能で構成されます。1号機能は「日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能」、2号機能は「通常の診療時間外の診療、入退院時の支援、在宅医療の提供、介護サービス等と連携した医療提供 等」と定義されています。
リーフレットの1号機能の報告事項には、★印の付いた項目が3つあります。
- 「具体的な機能」を有すること及び「報告事項」について院内掲示していること
- 所定の診療領域ごとの一次診療の対応可能の有無、いずれかの診療領域について一次診療を行うことができること
- 医療に関する患者からの相談に応じることができること
そして注記。「★:これらの項目を『可』と報告する医療機関は、『1号機能を有する医療機関』として2号機能の報告を行います」。
ここが分岐点です。★を「可」で通すと、その先で求められるのは体制の宣言ではなく算定実績の数字になります。2号機能の報告事項を見ると、時間外対応加算1〜4の届出状況、訪問診療・往診・訪問看護の診療報酬項目の算定状況、介護保険施設等で協力医療機関となっている施設の名称、ACP(人生会議)の実施状況などが並びます。
レセコンから引っぱるか、手で数えるか。1〜3月の外来を回しながらこれをやるのは、正直しんどい。
だから逆算します。
次は令和9年1〜3月。いま棚卸しすべき3点
報告期間は毎年1〜3月と定められています。令和7年度分を令和8年1〜3月に出していますから、次は令和9年1〜3月。残り3か月です。
うちが医療機関のバックオフィスを預かるときに、この時期に必ず片づけている順番で書きます。
- ナビイで自院のページを開く。院長が自分の目で見る。「出したはず」と「載っている内容」は別物です。5分で終わります
- 院内掲示と報告内容を突き合わせる。掲示は要件です。G-MISでは院内掲示用の様式例を出力できるようシステム開発を行う予定とリーフレットに書かれているので、最新の様式が出ているかも併せて確認します
- 2号機能の算定実績を、10月から月次で拾い始める。時間外対応加算の届出状況、訪問診療・往診・訪問看護の算定件数、協力医療機関になっている施設名、ACPの実施状況。1月にまとめて数えるから地獄を見るのであって、毎月1行足すだけなら5分です
かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無も報告事項になります。スタッフの受講状況を院長が把握していない診療所は珍しくないので、3番の隣にメモしておいてください。
制度の目的は、地域で不足する機能を洗い出して確保策を協議することにあります。報告は行政の資料集めではなく、地域の中で自院がどう見えるかを決める作業です。
先週、それが患者の画面に出ました。次の3か月の使い方で、来年の見え方が変わります。
出典・参考情報
- かかりつけ医機能に関する情報の医療情報ネット(ナビイ)での提供について(厚生労働省 報道発表 令和8年9月25日、確認日:2026年09月28日)
- かかりつけ医機能報告制度が始まります!(医療機関の皆様へ)(厚生労働省、確認日:2026年09月28日)
- かかりつけ医機能報告制度(厚生労働省、確認日:2026年09月28日)
- 医療情報ネット(ナビイ)(厚生労働省、確認日:2026年09月28日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度の運用や掲載内容は更新されることがあるため、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
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