業務改善助成金 締切9月30日の15都道府県【2026】

10月1日の最低賃金改定に合わせて職員の時給を上げる施設は、業務改善助成金を1円も受け取れない。

制度が「発効日当日の引上げ」を対象外に置いているからだ。改定日に合わせて時給表を差し替えるのが事務の常識だが、この助成金では逆にそれが落ちる。おまけに令和7年9月から、賃上げを済ませてから申請する経路も塞がれている。

愛知・岐阜・三重の事業者に残された窓口は、月曜から水曜の3日だけ。


対象外に落ちるのは、制度に忠実だった施設のほう

厚生労働省の令和8年度業務改善助成金の一部変更のお知らせには、申請例が3つ並んでいる。賃金引上げ日と申請日の組み合わせで、対象か対象外かを示した表だ。

例①は引上げ日が発効日の前日、申請日も発効日の前日まで。これが「対象!」。例②は引上げ日が発効日当日で、こちらは「対象外」。最低賃金が上がる日に、時給の設定も同じ日から切り替える。書類上は一番揃うやり方が、助成金の側から見ると外れている。

同じ資料に、順番がはっきり書いてある。

賃金引上げは、申請より後に行う必要があります。また、地域別最低賃金の発効に対応して事業場内最低賃金を引き上げる場合、申請後から発効日の前日までに引き上げていただく必要があります。

申請が先、賃上げが後。しかも賃上げは発効日の前日までに終わらせる。

抜け道もない。同じお知らせには「令和7年9月5日以降、地域別最低賃金の改定日の前日までに賃金引き上げを実施していれば、賃金引上げ計画の提出は不要としていましたが、賃金引上げ後の申請は出来なくなりました」とある。先に上げておいて後から書類、という運び方が令和7年9月で閉じたわけだ。「複数回に分けての事業場内最低賃金の賃金引上げは認められません」という一文も併記されている。9月に少し、10月にもう少し、という刻み方も通らない。


愛知・岐阜・三重を含む15都道府県は、9月30日で窓が閉まる

申請期間そのものは11月末まであるように読める。厚労省の業務改善助成金のページにはこうある。

申請期間は令和8年9月1日~申請事業場の都道府県において適用される地域別最低賃金の発効日の前日又は同年11月30日のいずれか早い日となります。

効くのは「いずれか早い日」。同じページには「都道府県によっては9月末が申請期限になりますので、ご注意ください」と念押しまで入っている。

令和8年度 地域別最低賃金 答申状況を数えると、発効日が令和8年10月1日の都道府県は15。北海道、宮城、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、岐阜、愛知、三重、大阪、兵庫、香川。東海3県がまとめて入っている。

愛知は1,195円(改定前1,140円)で引上げ額55円。岐阜は1,121円(1,065円)、三重は1,143円(1,087円)。愛知労働局のページでも効力発生日は令和8年10月1日と告知され、9月30日までの1,140円が並べて載っている。

この15都道府県の申請期限は9月30日。いっぽう沖縄は12月2日、岩手と熊本は12月1日の発効だから、11月30日まで動ける。同じ制度で期限が2か月違う。自法人が全国に事業所を持っているなら、事業場ごとに締切が別々だと思ったほうがいい。

答申状況の脚注には「発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性有」と書かれている。日付は所轄の労働局で確かめてほしい。提出先は管轄の都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)だ。


送迎車を買う前提の計画なら、その一台は外れている

対象になる経費の中身も動いている。同じお知らせから引く。

助成対象経費の特例となっていた自動車(特殊用途自動車を除く)は、助成対象外となりました。

送迎用のワゴンを買って申請する、という定番が消えた。ただし括弧が効いている。特殊用途自動車は除く、つまりそちらは残る。リーフレットの対象経費の例にも「リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮」が挙がったままだ。通所介護や放課後等デイで車いす対応のリフト車を検討していた法人は、ここを一括りに読まないでほしい。

対象労働者も絞られた。「引き上げる対象労働者は、雇用保険被保険者が対象となりました」。リーフレットでは週所定労働時間20時間以上の雇用保険加入者と説明されている。週19時間のパート職員の時給を上げても、この助成の頭数には入らない。医療・介護・保育の現場ほど、20時間前後の契約が束になっている。名簿を出して線を引くところからだ。

助成率の区切りも変わった。引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4。令和7年度は1,000円が境目だったので、50円ぶん上に動いている。コースも50円・70円・90円の3本に再編された。支給は最大600万円。リーフレットの計算例では、8人を90円コースで引き上げて設備投資が600万円のとき、600万円×4/5の480万円と助成上限450万円を比べ、低いほうの450万円が支給される。


月曜の朝、事務室で確かめる3つ

うちが相談を受けていて一番多い取りこぼしは、制度を知らなかったケースではない。「11月30日まである」と資料の1行目だけ読んで、10月半ばに動き出すケースだ。

月曜までに確かめることは3つに絞れる。

  1. 自分の事業場に適用される地域別最低賃金の発効日。10月1日なら申請期限は9月30日
  2. 賃上げの実施日を発効日の前日までに設定できるか。申請より後、かつ前日まで
  3. 引き上げる職員が週20時間以上の雇用保険被保険者か。19時間の職員は頭数に入らない

賃金引上げ期間は令和8年9月1日から発効日の前日まで。事業完了期限は交付決定年度の1月31日。設備の導入は交付決定を受けてからで、先に発注した分は対象にならない。

10月1日に時給表を差し替える準備は、もう事務室のどこかで進んでいるはずだ。その紙の日付を1日前にずらせるかどうか。今年度の業務改善助成金は、そこだけで通る施設と通らない施設に分かれる。


出典・参考情報


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