エイジフレンドリー補助金 8月31日締切は第1段階【2026】
木曜の午後2時、名古屋市内の通所介護事業所。送迎車の脇で、管理者のBさんが移乗サポート機器のカタログをめくっています。腰を痛めて休む職員が、この夏に続いたからでした。
「補助金、10月まで出せるみたいなので秋にでも」。そのつぶやきを、私はその場で止めました。
令和8年度のエイジフレンドリー補助金。申請受付は令和8年5月20日から10月31日までです。この日程を額面どおり受け取った事業所から、順に取りこぼしていきます。
10月31日まで開いている窓と、8月31日で閉じる窓
厚生労働省のページには、受付期間がこう書かれています。「令和8年5月20日(水)から令和8年10月31日(土)まで」。そのすぐ下に、括弧書きでもう一行あります。「労働安全衛生の専門家を活用したリスクアセスメントの実施申請は 令和8年5月20日(水)から令和8年8月31日(月)まで」(厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」)。
この括弧書きが今日の本題です。
専門家総合対策コースは、第1段階と第2段階に分かれています。第1段階が、外部の専門家に高年齢労働者向けのリスクアセスメント(職場のどこに危険があるかを洗い出す作業)をしてもらう部分。第2段階が、その結果を踏まえて設備や装置を入れたり、運動指導を受けたりする部分です。
| 区分 | 内容 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 第1段階A | 専門家によるリスクアセスメント | 4/5 | 100万円 |
| 第2段階B | 設備・装置の導入その他の労災防止対策 | 1/2 | 100万円 |
| 第2段階C | 転倒防止・腰痛予防のための運動指導等 | 1/2 | 100万円 |
上限額はいずれも消費税を除いた額で、AとB(またはC)の合計に対して効きます(令和8年度エイジフレンドリー補助金リーフレット)。
補助率4/5は強い。100万円の調査を頼めば80万円が戻る計算になります(補助率からの試算値)。その入口が、今月末で閉まる。
では8月31日を過ぎたら、この補助金はもう縁がないのか。そうではありません。
自社の担当者がやれば、第1段階の申請は要らない
厚労省の同じページを下までスクロールすると、申請書類のダウンロード欄がこう分かれています。「自社の安全衛生担当者によるリスクアセスメントを実施する事業者はこちら」「第2段階から申請する事業者は」(厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」)。
つまり、リスクアセスメントを外注せず自前でやるなら、第1段階の申請そのものが不要になります。8月31日の締切は関係なくなり、第2段階として10月31日まで申請できる。
ここでいう外部専門家は、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント、労働災害防止団体法第12条に規定する安全管理士または衛生管理士に限られます。一方、自社で実施する場合の担当者は、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者。常時使用する労働者数が10名未満なら事業主本人でも可とされています(令和8年度エイジフレンドリー補助金リーフレット)。
衛生推進者を置いている事業所は多い。うちのクライアントでも、選任済みなのに「うちには専門家がいないから」と最初から諦めていたケースがありました。名簿を見れば、いる。
もちろん第1段階を使わない分、4/5の補助は取り逃がします。それでも設備導入の1/2・上限100万円は残る。ここで判断が分かれます。
「10月まである」と読んだ事業所が、たぶん間に合わない
期限が10月31日でも、10月に動き出して間に合う設計にはなっていません。理由を3つ並べます。
ひとつ。予算枠です。厚労省は「予算額に達した場合は、受付期間の途中であっても申請受付を終了する場合があります」と明記しています(厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」)。10月31日は上限であって、保証ではない。
ふたつ。審査のリズムです。第2段階の申請は毎月末に取りまとめられ、翌月に審査されます。事務センターは「個別に審査、結果連絡を早めることはありません」と書いています。8月中に出せば審査は9月、結果連絡は9月末日から10月上旬(エイジフレンドリー補助金事務センター)。
みっつ。発注のタイミングです。交付決定日より前に取組を開始、つまり発注していた場合、補助金は支払われません。カタログを見て気に入った機器を先に押さえる、が一番やってはいけない動きになります。
この3つを重ねると、10月申請組は結果連絡が11月末から12月上旬。そこから発注して、支払請求書の受付期限は令和9年1月31日です。年末年始をまたいで納品と支払いを終わらせる前提になります。
加えて、事務センターの問い合わせ窓口は8月10日から8月14日が夏季休暇。今週動くか、盆明けに動くかで、実質1週間ずれます。
医療法人・社会福祉法人は対象に入るのか
入ります。ここを誤解して見送る施設が本当に多い。
リーフレットの中小企業事業者の範囲を見ると、サービス業の欄に「医療・福祉」が明記され、常時使用する労働者数100人以下、または資本金もしくは出資の総額5,000万円以下とされています。この2つはいずれか一方を満たせばよい。さらに「医療・福祉法人等で資本金・出資がない場合には、労働者数のみで判断することとなります」との注記もあります(令和8年度エイジフレンドリー補助金リーフレット)。
そのうえで、事業者側の要件は2つ。1年以上事業を実施していること。役員を除き、自社の労災保険が適用される60歳以上の労働者が常時1名以上就労していること。介護と保育の現場で、これを満たさない事業所を私はほとんど見たことがありません。
コースは3つあり、併願はできません。申請は1年度につき1回まで(エイジフレンドリー補助金事務センター)。専門家総合対策コースのほかに、熱中症対策コースとコラボヘルスコースが用意されています。補助率と上限額はコースごとに異なるので、選ぶ前にリーフレットで必ず確認してください。送迎と屋外業務が多い事業所なら、熱中症対策コースを検討する判断もある。
今週やること3点
- 60歳以上の職員名簿を出す。役員を除き、労災保険が適用されている人。1名でもいれば要件を満たします。
- 衛生推進者・安全衛生推進者の選任状況を確認する。選任済みなら第1段階は飛ばせます。いなければ、8月31日までに外部専門家へ依頼して第1段階を出すかどうかを決める。
- 発注を止める。見積は取ってよい。発注はいけない。交付決定の通知が来るまで、判子は押さない。
申請は郵送またはJグランツ(国の補助金申請サイト)で行います。メールでの申請はできません。
背景として、高年齢者の労働災害防止のための指針は令和8年4月1日から適用されています。60歳以上の職員が現場を支えている以上、この話はいずれ全事業所に回ってきます。
Bさんの事業所は、翌週に衛生推進者の選任記録を引っ張り出しました。ありました。カタログはまだ机の上に伏せてあります。発注は、交付決定のあとです。
あなたの事業所の名簿には、60歳以上の職員が何人載っているでしょうか。
出典・参考情報
- エイジフレンドリー補助金(厚生労働省、確認日:2026年08月04日)
- 令和8年度エイジフレンドリー補助金リーフレット(厚生労働省、確認日:2026年08月04日)
- 令和8年度エイジフレンドリー補助金 Q&A(厚生労働省、確認日:2026年08月04日)
- 令和8年度エイジフレンドリー補助金 事務センター(一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会、確認日:2026年08月04日)
- 高年齢労働者の安全衛生対策について(厚生労働省、確認日:2026年08月04日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度内容は変更される場合がありますので、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
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