診療報酬改定の施設基準届出、月曜必着──5月29日訂正で押さえる3項目
もしあなたが医療機関を運営していて、6月1日施行の新点数で算定したい施設基準があるなら、いまから48時間以内に届出書類の控えを最新版チェックリストで照合した方がいい。
理由はひとつ。厚労省は5月29日付で施設基準届出チェックリストをもう一度訂正した。先に提出済みでも、訂正後の項目で要件や届出期限が動いた可能性がある。
正直、私もクライアントのクリニックB院長から「うちは出し終わってるから大丈夫ですよね」と聞かれたとき、いったん画面を閉じてコーヒーを淹れ直した。週末を挟む3日間の動きを、ここで整理しておく。
5月29日に何が起きたのか──いま把握すべき訂正の輪郭
厚労省保険局医療課は、令和8年5月29日付で「令和8年度診療報酬改定関連通知及び官報掲載事項の一部訂正について」を発出した。同日、これに連動して施設基準届出チェックリストの一部訂正と、疑義解釈資料(その7)が同時に出ている。
令和8年度改定のチェックリスト訂正は、5月1日に続く今年2回目。私が現物のPDFを開いて確認すると、表紙のヘッダーには「更新日 令和8年5月29日」と入っており、病院用・医科診療所用・歯科診療所用の3種が改めて差し替えられた格好だ。
注意してほしい点が1つある。チェックリスト自体には「このリストは令和8年5月29日時点のものです。今後、厚生労働省の通知の訂正などに伴い変更される場合があります。届出時に変更がないかどうか、改めてご確認をお願いします」と明記されている(出典)。つまり、施行直前にもう1回訂正が出る可能性はゼロではない。
5月の届出を5月18日までに済ませた医療機関は、訂正前の版で確認した可能性が高い。再確認なしで「うちはもう出した」と言える状態じゃない。
確認1:6月1日必着の「新設」項目に取りこぼしはないか
訂正後の病院用チェックリストを実際に開くと、令和8年6月1日が届出期限の「新設」項目が冒頭から並んでいる。私が拾っただけでも、これだけある。
- 電子的診療情報連携体制整備加算1~3(初診料・再診料・外来診療料それぞれの注に規定/医科)
- 電子的歯科診療情報連携体制整備加算1・2(歯科)
- 情報通信機器を用いた看護業務の効率化に係る基準
- 継続的に賃上げに係る取組を実施している保険医療機関の基準(入院料減算免除)
- 急性期総合体制加算(令和8年6月1日付・新設)
- 包括期充実体制加算
- 医師事務作業補助体制加算1・2のICT機器活用配置算入基準
- 看護・多職種協働加算/産科管理加算1/精神科慢性身体合併症管理加算
- リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算2/口腔管理連携加算
- 身体的拘束最小化推進体制加算
- 感染対策向上加算1の注3に規定する微生物学的検査体制加算
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算1~3/病棟薬剤業務実施加算1
- 地域医療体制確保加算2/医療提供機能連携確保加算
- 精神科地域密着多機能体制加算1~3
- 広範囲熱傷管理加算(救命救急入院料1・2/特定集中治療室管理料1~3/ハイケアユニット入院医療管理料に関連)
- 地域包括ケア病棟入院料1~4のリハビリテーション・栄養・口腔連携加算
- 入院手術対応加算
すべてに共通するのは1点だけだ。「令和8年5月7日~6月1日 必着」。近畿厚生局のページにも同じ期限が明記されている。郵送と電子申請の2系統で、FAX提出は受け付けない。
「うちが取りに行く加算は決めてある」と言える経営者でも、ICT機器を活用した医師事務作業補助の配置算入のように、従来から届出を出していた加算の「派生」として6/1必着の新設項目がぶら下がっているケースがある。ここは特に拾い直しておきたい。
では、6月1日に間に合わない場合はどうなるか。
確認2:6月1日を過ぎたら7月以降──失う1か月の収入を計算する
近畿厚生局のページには明記されている。「期限を過ぎて提出された場合は、7月以降の算定になります」(出典)。
つまり、6月2日に着いた届出は、6月分の点数として算定できない。新点数が6月1日施行であるにもかかわらず、自院だけ7月開始になる。月単位で見れば、丸ごと1か月の上乗せ分を取り逃がす計算だ。
金額の試算は施設規模と取得加算によって変わるから、一律には書けない。ただ、たとえば在宅医療を主軸にしている診療所のC先生が、ある新設加算の届出を1か月遅らせたとき、月の収入差が3桁万円単位になった事例を、私は実際に見ている。「届出書類は揃っているのに、出すタイミングを逃した」というだけの理由でだ。
正本1通を郵送するか、5月25日に開始した電子申請を使うか。電子申請はオンライン上で完結する分、土日でも自院内で作業が進む。郵送なら、月曜の窓口着までに「同一県内・速達」で間に合うかどうか、まずそこを冷静に確認する。電話を握る指が止まる前に、提出方法の選択を決めておきたい。
もう一つ、見落としやすい論点がある。
確認3:10月1日・令和9年・令和10年──段階的期限の「次の予約」を入れる
5月29日訂正版のチェックリストには、6月1日以外の届出期限も並んでいる。これが意外と多い。
- 令和8年10月1日必着:一般病棟入院基本料(急性期一般入院料6、地域一般入院基本料、特別入院基本料を除く)、療養病棟入院基本料(療養病棟入院料2)、特定機能病院入院基本料(7対1)、専門病院入院基本料(7対1)、急性期総合体制加算の経過移行枠など
- 令和9年1月1日必着:特定集中治療室管理料1(3月31日時点で旧算定方法の特定集中治療室管理料1・2を届出ていた保険医療機関で、令和9年1月以降に引き続き算定する場合)
- 令和9年6月1日必着:機能強化加算、バイオ後続品使用体制加算など、要件変更系
- 令和9年4月1日必着:外来データ提出加算
- 令和10年6月1日必着:精神病棟入院基本料(15対1・18対1・20対1に限る)、急性期総合体制加算の最終経過枠
これは「6月1日に出せば全部完了」のリストじゃない。改定そのものは6月1日施行でも、要件変更系の届出直しや、経過措置の期限が、1年・2年単位で先まで散らばっているということだ。
うちが介護施設のA理事長と話していて感じるのは、「期限が遠い書類ほど忘れる」という現場のリアルだ。診療所のB院長も同じことを言っていた。10月1日、1月1日、4月1日、6月1日──それぞれの期限を、いまカレンダーに3か月前リマインダー込みで突っ込んでおく。これだけで取り逃しは確実に減る。
もう一つ。疑義解釈(その7)も5月29日同日付で発出されている。電子的診療情報連携体制整備加算の要件解釈、産科管理加算、慢性身体合併症管理加算、口腔管理連携加算、病棟薬剤業務実施加算、ベースアップ評価料関係などに踏み込んだQAが追加されている。届出書類を作りながら「ここどう解釈すれば」と詰まったとき、まずその7を開く。
では、この週末48時間で何をやるか
私の手順はシンプルだ。
- 厚労省の改定ページから、5月29日付の最新チェックリスト(病院用または医科診療所用)をダウンロードして、Excelのオートフィルター機能で「届出期限:令和8年6月1日」だけに絞る
- 絞ったリストを、自院がすでに提出済みの届出と1行ずつ突き合わせる。「派生」「注に規定する」とつく加算は特に注意する
- 未提出・抜けがあれば、月曜朝までに郵送(速達・同一県内)または電子申請で送る。電子申請は5月25日から稼働している
- 同時に、令和8年10月1日、令和9年1月1日、令和9年4月1日、令和9年6月1日、令和10年6月1日の届出期限を、カレンダーに3か月前リマインダー込みで登録する
- 不明点が出たら、疑義解釈(その7)を開いてQAを参照する
この5手順を土日のうちに回しておけば、月曜の朝にバタつかない。逆に、これを「月曜の朝に出社してから考える」だと間に合わない可能性がある。
同業の経営者の方で、「うちは事務長が見てくれているから大丈夫」と思っているなら、念のためその事務長に「5月29日訂正版のチェックリストで再確認したか」を一度だけ聞いてみてほしい。確認したと即答できるかどうか、それだけの差じゃないか?
出典・参考情報
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省、確認日:2026年5月30日)
- 「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト」の一部訂正について(厚生労働省保険局医療課事務連絡 令和8年5月29日付、確認日:2026年5月30日)
- 疑義解釈資料の送付について(その7)(厚生労働省保険局医療課事務連絡 令和8年5月29日付、確認日:2026年5月30日)
- 施設基準等の届出について(令和8年度診療報酬改定)(近畿厚生局、確認日:2026年5月30日)
- 令和8年度診療報酬改定について(東海北陸厚生局、確認日:2026年5月30日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。厚生労働省・地方厚生局のページは更新により URL や掲載位置が変わる可能性があります。届出時には必ず最新版のチェックリスト・通知を確認してください。
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