介護施設向け省力化投資補助金、とろみ給茶機追加で申請チャンス拡大

500万円。これが、従業員数20名以下の介護施設が申請できる省力化投資補助金の上限額だ。 4月30日、厚生労働省が介護保険最新情報として通知を出した。とろみ給茶機と再加熱カートが、この補助金の対象品目に新たに加わった。 申請期限は2027年3月末。「まだ時間がある」と思った人ほど、後述する理由で乗り遅れる。

4月30日に何が変わったか──補助対象品目の拡大を読む

中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、人手不足に悩む中小企業等がIoTやロボットなどの省力化機器を導入するための補助金だ。運営は中小企業庁・独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下 SMRJ)。 今年1月から、清掃ロボットや配膳ロボットが先行してこの補助金の対象に入っていた。介護現場で使われる機器として注目はされていたものの、「ロボットはハードルが高い」という声もうちのクライアントからよく聞いた。 それが今回、より現場に近い機器が加わった。
  • 飲料ディスペンサー/とろみ給茶機:水分補給の見守りや誤嚥リスク低減を担う機器
  • 再加熱キャビネット/カート:食事の再加熱を自動化し、配膳業務の負担を減らす
いずれも、介護施設の厨房や食事介助の場面でごく普通に使われる機器だ。ロボットと違い、現場スタッフの導入抵抗が少ない点が大きい。 対象になる製品は、SMRJが管理する「製品カタログ」に登録された機器に限られる。中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)の公式サイトで最新のカタログを確認する必要がある。カタログ外の製品は補助の対象外。ここは間違えやすい。

申請できるのか? 社会福祉法人が必ずチェックしたい「2条件」

介護施設を運営する多くの事業者は、社会福祉法人もしくは株式会社・有限会社の形態をとっている。この補助金は「中小企業等」が対象だが、社会福祉法人については特別な条件がある。 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1499(令和8年4月30日)によれば、社会福祉法人がこの補助金を活用するには次の2条件を同時に満たす必要がある。
  1. 法人全体で従業員数が300人以下
  2. 介護保険サービスの範囲内で補助事業を行うこと
300人という数字は、社会福祉法人規模としては小〜中程度に相当する。複数施設を持つ法人では、単施設の人数でなく「法人全体」のカウントになる点に注意が必要だ。 もし法人全体の従業員数が300人を超えているなら、残念ながらこの補助金の対象外になる。一方で、株式会社や有限会社で運営するデイサービスや訪問介護ステーションなら、業種別の中小企業定義(公募要領に記載)に従って対象になるケースが多い。 うちのクライアントでいうと、訪問看護ステーションを単独で運営しているDさんは従業員20名程度だから、補助上限額の計算がすぐにできる。問題は、そもそもこういう補助金の存在に気づいているかどうかだ。

いくら出る? 従業員数で変わる3段階の補助上限額

補助率は補助対象経費の1/2以下。上限額は従業員数によって変わる(2026年3月19日制度改定後の区分)。
  • 従業員数5名以下:上限200万円(賃上げ達成で300万円)
  • 従業員数6〜20名:上限500万円(賃上げ達成で750万円)
  • 従業員数21名以上:上限1,000万円(賃上げ達成で1,500万円)
補助率1/2だから、500万円の補助を受けるには1,000万円の設備投資が前提になる。とろみ給茶機1台が数十万円〜数百万円のレンジであることを考えると、複数台を一度に導入する施設やカートまで含めてまとめて申請する、という使い方が現実的だ。 賃上げ要件を達成すると()内の額まで上限が引き上がる。具体的には「事業場内最低賃金を3.0%以上増加」かつ「給与支給総額を6%以上増加」が条件。介護業界で処遇改善を進めている施設なら、この要件を満たしているケースもあるはずだ。確認する価値は十分ある。 ただし重複申請には注意。介護情報基盤の整備に向けた補助金(5月7日申請開始)と同時並行で検討している施設は、補助金の重複要件の確認を事務局に問い合わせた方がいい。

カタログから選んで申請する、意外とシンプルな仕組み

この補助金を「難しそう」と感じる理由のひとつは名前の長さだと思う。「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)」。正直、読む気が失せる名前だ。 ただ、仕組みそのものはシンプルだ。
  1. SMRJのサイトで製品カタログを開く
  2. 導入したい機器が掲載されているか確認する
  3. 販売事業者と相談しながら申請書類を準備する
  4. 申請マイページから応募・交付申請を送る
「販売事業者と共同で取り組む事業」という形式になっているため、製品の販売会社がこの補助金への対応実績があるかどうかを最初に確認するのが実務上の近道だ。カタログ登録済みの製品を扱う販売会社なら、申請書類の作り方に慣れているケースが多い。 うちのクライアントで今年2月にこの補助金を使って配膳ロボットを導入したクリニックのB院長は、「販売会社が全部サポートしてくれたから、うちが用意したのは会社の書類くらい」と言っていた。施設側の事務負担は、補助金の種類の中でも比較的軽い部類だと感じている。

「2027年3月末まで」で油断するな──早く動く3つの理由

申請期限は来年3月末頃とアナウンスされている。まだ10か月以上ある。正直「急がなくていいか」と思いたくなる気持ちはわかる。 ただ、3つの理由から早めに動いた方がいい。 ① 製品カタログは随時更新・変更される 登録製品は追加されることもあれば、削除されることもある。今日カタログにある製品が半年後も掲載されているとは限らない。「この機器を入れたい」と決まっているなら、早い段階でカタログ登録を確認した上で動いた方がリスクが低い。 ② 販売事業者側の対応キャパシティがある 補助金申請の波が来ると、販売事業者の対応が追いつかなくなる。年度末(2〜3月)に申請が集中するのは、介護分野の補助金全般でよくある話だ。書類の準備に時間がかかって締切に間に合わない、という事例を私は何件も見てきた。 ③ 交付決定が先に来る前に設備投資はできない この補助金は、交付決定前に購入した製品は補助の対象外になる。つまり、申請 → 採択 → 交付決定 → 購入という順番を守らないといけない。この一連のプロセスに数か月かかることを逆算すると、「今年度中に設備を動かしたい」施設は、今の時期から動き始めないと間に合わない計算になる。 4月30日の通知で追加されたとろみ給茶機・再加熱カート、そして1月から対象の清掃ロボット・配膳ロボット。食事介助や清掃といった現場業務の省力化に使える補助金が、今この瞬間、申請できる状態にある。 うちのクライアントへの話は早い方がいい。

出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度の詳細・最新情報は各公式サイトをご確認ください。


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