就労継続支援B型 報酬区分見直し 対象外の確認3点【2026】
就労継続支援B型の基本報酬区分の見直しは、対象外になった事業所ほど手間が残ります。届出を出さなくていい代わりに、運営指導のときに「なぜ対象外なのか」を書類で示すよう求められるからです。
しかも令和8年7月13日に出たQ&Aで、対象外だと思い込んでいた事業所が2ケース、対象側へ回されました。うちのクライアントでも、6月の算定が始まってから慌てて確認した事業所があります。
「届出は不要」は「何もしなくていい」ではありません
今回の見直しは令和8年6月施行です。厚生労働省の別添資料では、基本報酬区分が就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の事業所は令和8年4月15日までに、アとイの2種類を提出する建て付けになっていました(就労継続支援B型の基本報酬区分の基準の見直しについて)。
- ア 現行の報酬区分に基づく、基本報酬区分に関する届出書(令和8年4月・5月分)
- イ 見直し後の報酬区分に基づく、基本報酬区分に関する届出書(令和8年6月以降分)
このうちイが不要になるのが、見直しの対象外にあたる事業所です。要件は2つ示されています。①令和7年度平均工賃月額が1万5千円未満(アの報酬区分が区分七または区分八)の場合。②令和6年度改定前後で区分が変わらない又は下がっている場合。令和5年4月以前に指定を受けた事業所なら、「令和6年3月の基本報酬区分」から「令和6年4月の基本報酬区分」が変わらない又は下がっているかどうか、という比較です。
ここで同じ資料に、こう書かれています。「令和8年6月以降、自動で区分が切り替わるため、変更届出は不要 ただし、見直し対象外の事業所であることが分かる根拠資料が必要」。
届出は要らない。根拠資料は要る。この2行がセットになっているところを読み飛ばすと、あとで痛い目を見ます。
提出期限は自治体ごとに案内が出ていました。愛知県は「令和8年6月から算定する就労継続支援B型の基本報酬の算定区分に関する体制届の提出について、下記添付ファイルを御参照の上、令和8年6月15日(消印有効)までに御提出ください」と告知しています(愛知県 障害福祉課「加算等の届出について」)。8月に入った今、提出物の話はもう終わっていて、残っているのは書類の話です。
では、対象外かどうかの線引きはどこで変わったのか。7月13日の答えから見ていきます。
7月13日のQ&Aで対象に回された2つのケース
令和8年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.2(令和8年7月13日)で、対象外だと自己判断しがちな2ケースに、はっきり「対象となる」と答えが出ました。
令和6年4月に区分の考え方そのものを変えた事業所
令和6年3月時点で平均工賃月額によらない基本報酬区分(当時の就労継続支援B型サービス費(Ⅲ)(Ⅳ))を算定していて、令和6年4月から平均工賃月額による区分(現在の(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ))へ変更した場合。これは「令和6年度以降に新規に開設された事業所と同様の取扱いとなり、見直しの対象となる」とされました。
3月と4月の区分を並べて「変わっていないから対象外」と読むと、判断を間違えます。比べる土俵そのものが違うからです。
令和6年4月中の届出を失念した事業所
令和5年度以前に指定を受けていた事業所で、本来令和6年4月中に行うべき基本報酬区分に係る届出を失念し、5月以降、新しい平均工賃月額の算定式により算定された区分が令和6年3月時点よりも上がっていた場合。答えは「基本的に、基本報酬の算定区分に係る届出は4月中に行うものであると考えられることから、見直しの対象となる」。
届出が遅れた事実が、2年後の区分に効いてくる。正直、この読み方をあらかじめ想定していた事業所は少ないと思います。
逆に、条件付きで対象外にできる答えも同じQ&Aに入っています。令和5年度以降に指定を受けた事業所は原則として対象になりますが、「提出書類等により実績を通算する前と後での事業所の区分が、令和5年度から令和6年度にかけて、変わらない又は下がっている事業所については、見直しの対象外として差し支えない」。ここも根拠は提出書類です。
新しい区分表は12段。下限が3千円ずつ上がりました
従前の区分は、(一)4万5千円以上、(二)3万5千円以上4万5千円未満、(三)3万円以上3万5千円未満、(四)2万5千円以上3万円未満、(五)2万円以上2万5千円未満、(六)1万5千円以上2万円未満、(七)1万円以上1万5千円未満、(八)1万円未満、(九)なし(経過措置対象)という並びでした。
見直し後、平均工賃月額1万5千円以上の帯は12の区分に組み替えられています。
- (一)4万8千円以上/(A)4万5千円以上4万8千円未満
- (二)3万8千円以上4万5千円未満/(B)3万5千円以上3万8千円未満
- (三)3万3千円以上3万5千円未満/(C)3万円以上3万3千円未満
- (四)2万8千円以上3万円未満/(D)2万5千円以上2万8千円未満
- (五)2万3千円以上2万5千円未満/(E)2万円以上2万3千円未満
- (六)1万8千円以上2万円未満/(F)1万5千円以上1万8千円未満
並べると見えてきます。(一)の下限は4万5千円から4万8千円へ、(五)は2万円から2万3千円へ、(六)は1万5千円から1万8千円へ。各区分の下限が3千円ずつ切り上がり、その間にA〜Fの区分が差し込まれた構造です。工賃が去年と同じでも、区分の名前が一つ下にずれる事業所が出ます。
区分がずれたかどうか。行政が見にくるのは、届出そのものではありません。
運営指導で最初に見られるのは、区分ではなく書類
同じ厚労省資料の別添資料③に、指導時の確認手順が書かれています。【従前の区分】の場合 ⇒ 平均工賃月額と齟齬がないか確認するとともに、R8改定の対象外となる要件とその根拠書類(※)を確認する。
その(※)が何かというと、「令和6年3月及び令和6年4月の基本報酬区分が分かる書類等」です。2年以上前の届出控えです。
先月、名古屋市内でB型を運営するA理事長の事務室でこの話になりました。区分は自動で切り替わったから終わり、という認識だったそうです。キャビネットを一緒に開けて、令和6年4月の届出控えを探しました。出てきたのは令和6年度の実績報告一式だけ。届出の控えは、当時の担当職員のデスクの引き出しに入ったままでした。その方はもう退職しています。
血の気が引くとまではいかないものの、笑い事でもありません。指定権者に写しを請求すれば済む話ではありますが、運営指導の通知が届いてから動くと、他の準備と重なって確実に事故ります。
今週やることは3つだけ
- 令和6年3月と令和6年4月の基本報酬区分が分かる書類を、1つのファイルにまとめる。届出書の控え、受付印のある写し、指定権者からの通知。どれか1つでもあれば、そこから積み上げます
- Q&A VOL.2の問3・問4に自分が当てはまらないか点検する。令和6年4月に区分の考え方を変えた、あるいは令和6年4月中の届出が遅れた。この2つに心当たりがあれば、対象外という自己判断を一度取り下げてください
- 指定権者の案内をもう一度読む。愛知県のように県のページに体制届の案内が出ている自治体もあれば、市が独自に様式を配っている自治体もあります。国の資料だけで完結しません
加算や区分の届出は、出した瞬間より、2年後に「なぜそうなっているか」を説明するときのほうがしんどい。うちが施設基準や加算届の運用設計でいちばん時間をかけているのも、実はそこです。
令和6年4月の届出控え、今すぐ出せますか。
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出典・参考情報
- 別添 就労継続支援B型の基本報酬区分の基準の見直しについて(厚生労働省、確認日:2026年08月02日)
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.2(令和8年7月13日)(厚生労働省、確認日:2026年08月02日)
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について(厚生労働省、確認日:2026年08月02日)
- 加算等の届出について(障害者総合支援法)(愛知県 障害福祉課、確認日:2026年08月02日)
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について(こども家庭庁、確認日:2026年08月02日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度の詳細および提出期限は、必ず各指定権者の最新の案内をご確認ください。
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