介護の経営情報報告 10月再開 期限は12月末【2026】

108,800件。これが、介護経営DBに実際に集まった報告の数です。

令和5年度に介護保険給付費の請求実績があった事業所は219,788件ありました。報告が集まったのは、その半分に届いていません。

その介護経営DBが、令和8年10月に報告の受付を再開します。期限は令和8年12月末頃まで。9月18日の社会保障審議会介護保険部会(第136回)に出された資料に、そう書かれていました。


219,788のうち108,800。国が1年半もシステムを止めた理由

介護経営DBは、正式には介護サービス事業者経営情報データベースシステムといいます。介護保険法第115条の44の2にもとづき、介護サービス事業者が毎会計年度終了後に収益と費用を都道府県知事へ報告する仕組みです(愛知県「介護サービス事業者の経営情報の報告について」)。3年に1度の介護事業経営実態調査が抽出調査なのに対し、こちらは原則すべての事業者が対象の悉皆調査になります。

運用開始は令和7年1月。ところが3か月後の令和7年4月、厚労省は令和7年3月以降に会計年度が終了する分の受付を止めました。愛知県のページにも、今なお「一時的に受付が停止されています」と書いてあります。

止めた理由は、部会資料4にはっきり書かれています。資料4(介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等について)によると、報告のうち介護サービスごとの報告は38,228件(36.0%)にとどまり、事業所・施設単位が17,465件(16.4%)、法人単位での報告が50,558件(47.6%)でした。つまり按分処理が必要な報告が68,023件、全体の64.0%。

国が欲しかったのは「通所介護の収支」「訪問介護の収支」というサービス単位の数字です。集まったのは、その3分の2が「法人ぜんぶ合算」の数字だった。これでは実態調査を補完できません。

もうひとつの理由が入力誤りでした。報告負担を軽くしようと必須項目もエラーチェックも最小限に設計したところ、事業者側のダブルチェックが前提になり、かえって手間と誤りが増えたと資料は認めています。設計をやり直すのに1年半かかった、というのが今回の中身です。


10月再開・12月末期限。では、どの年度分を出すのか

ここが、うちのクライアントからいちばん多く聞かれる点です。

資料4のスケジュール案には、再開後に求められるものが「2年度目報告」と明記されています。2年度目報告分の定義は、令和7年3月から令和8年2月までに会計年度が終了する報告。注記までさかのぼって読むと、そう書いてあります。

3月決算の法人なら、令和7年3月期。12月決算なら令和7年12月期。まさに受付が止まっていて出せなかった、あの年度分です。

初年度報告分、つまり令和6年3月から令和7年2月までに会計年度が終了した分は、令和7年1月からの受付ですでに提出が済んでいる事業者が多いはず。今回あらためて出し直す話ではありません。

では令和8年3月期はどうなるのか。資料4には記載がありません。本来のルールは毎会計年度終了後3か月以内なので令和8年6月末が期限だったはずですが、システムが止まっていた期間と重なります。この扱いは今後の周知を待つしかない。ここは推測で埋めず、介護保険最新情報の発出を待ってください。

そして「10月頃」「12月末頃」という表現にも注意がいります。資料のタイトルは今後のスケジュール(案)。まだ案の段階です。


報告しなくていい事業者もいる。条件は2つだけ

全事業者が対象、と聞くと身構えます。除外はあります。ただ、思っているより狭い。

  • 過去1年間で提供した介護サービスの対価として支払いを受けた金額が100万円以下であるもの
  • 災害その他、都道府県知事に対し報告を行うことができないことにつき正当な理由があるもの

落とし穴は、この判定が事業所・施設の「すべて」が当てはまる場合にしか効かないことです。資料4には、除外対象の事業所とそれ以外を運営している場合、除外分を除いた事業所の報告を求める、と書かれています。

通所介護が本体で、訪問介護を年間80万円ぶんだけ細々と回している法人。この法人は「訪問介護は100万円以下だから全部いらない」とはなりません。通所介護のぶんは出す必要があります。

先週の定例ミーティングで、愛知県内で通所介護と訪問介護を運営するA理事長にこの話をしたら、資料を持つ手が止まりました。「うち、小さい方だけ見て対象外だと思ってました」。この誤解、けっこう多いと思います。


12月末までに動く順番は3つしかない

残り3か月。逆算すると、やることは絞られます。

1つめ。GビズIDプライムのアカウントが生きているか、今週のうちに確認する。報告はシステムでしか受け付けず、紙は使えません。愛知県のページには、アカウント取得は原則2週間以内とあります。12月に入ってから「そういえばIDがない」と気づく法人が必ず出ます。担当者が退職してIDの管理者が不明、というパターンがいちばん厄介です。

2つめ。報告単位を先に決める。介護サービスごとに出すか、事業所・施設単位でまとめるか、法人単位の一体会計で出すか。3通りあり、どれを選ぶかで下ごしらえの手間が変わります。あとで説明しますが、ここは安易に法人単位へ流れない方がいい。

3つめ。決算書を介護サービス単位に割る下地を作る。介護事業収益、給与費、業務委託費、減価償却費、水道光熱費、その他費用。報告項目はこの粒度です。総勘定元帳から拾い直すことになるので、顧問税理士に「サービス別に切れますか」と投げるのは今月中がいい。

任意項目として職種別の給与と人数も求められます。常勤と非常勤を分けて、給料と賞与も分ける。給与ソフトから出せる形になっているか、ここも早めに見ておく価値はあると思います。


法人単位でまとめて出すのが、いちばん損をする

楽なのは法人単位です。決算書がそのまま使えますから。実際、47.6%の報告がそれを選びました。

けれど資料4を読むと、国はその64.0%を按分処理で割り戻そうとしていて、精度に課題があると自ら書いています。按分の精度を上げるため、令和8年度からはその他の必要な事項として、介護サービス種類ごとの延べ床面積、医療における延べ床面積、障害福祉サービスにおける延べ床面積を追加する予定だとも。

この数字がどこへ行くのか。資料4の最後に答えがあります。初年度と2年度目の報告分を分析し、その結果を令和9年4月以降、介護保険部会で報告する。令和9年度は介護報酬改定の年です。

つまり、あなたが12月に出す数字は、次の改定で「このサービスの収支はこのくらい」と語られる材料になります。法人単位でまとめて出せば、あなたの通所介護の実像は按分という名の推計に置き換わる。サービス単位で出した36.0%の事業者の数字だけが、按分なしで議論のテーブルに乗ります。

うちが介護のクライアントに勧めているのは、可能な範囲でサービス単位に寄せることです。手間は増えます。増えますが、赤字が赤字として正確に見える方が、次の改定では効く。

12月末まで、あと3か月。あなたの法人のGビズID、誰が持っているか即答できますか。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度内容・期限は今後の通知により変更される場合があるため、実際の手続きは厚生労働省および所在地の都道府県の最新情報をご確認ください。


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