保育 1歳児配置改善加算 取得率47.1%の壁【2026】
1歳児配置改善加算が取れないのは、保育士が足りないからではありません。
令和7年7月1日時点で加算を取得していない15,556施設のうち、11,721施設(75.3%)は1歳児5対1の配置をすでに満たしています。配置は足りている。それでも加算は入っていない。
止めているのは、ICT活用と平均経験年数という、保育室の外にある2つの要件です。
取得率47.1%。しかし配置はもう足りている
こども家庭庁が公表した保育提供体制の強化(職員配置基準の改善等)【令和8年3月版】に、配置改善の実態調査結果が載っています。全国の市区町村を通じて全ての保育所・認定こども園・小規模保育事業所(A型およびB型)・事業所内保育事業所を対象に実施したもので、有効回答は約3万6千施設、自治体数ベースの回収率は100%です。
数字を2つ並べます。
- 1歳児を受け入れる36,612施設のうち、1歳児5対1を満たしているのは32,127施設(87.7%)
- 1歳児配置改善加算の対象となる29,421施設のうち、取得済み(取得予定を含む)は13,865施設(47.1%)
配置は9割近くが到達しているのに、加算は半分以下。この40ポイントの差が、そのまま取り逃している公定価格です。
1歳児配置改善加算は、こども未来戦略(令和5年12月22日閣議決定)で示された「2025年度以降、1歳児について(中略)加速化プラン期間中の早期に6対1から5対1への改善を進める」という方針を、まず加算という形で動かしたものです。令和7年度予算は109億円。加算額は6対1の配置に要する経費と5対1の配置に要する経費との差額に相当する金額とされています。
未取得15,556施設が落としている要件はどれか
加算の対象は、次の3つを全て満たす事業所です(配置基準がすでに5対1以上である小規模C型・家庭的保育・居宅訪問型保育は除かれます)。
- 処遇改善等加算区分1〜3の全てを取得している
- 業務においてICTの活用を進めている
- 施設・事業所の職員の平均経験年数が10年以上
では未取得の15,556施設は、このうちどれで止まっているのか。同じ資料の内訳がはっきり答えを出しています。
- 1歳児5対1を満たしている 11,721施設(75.3%)
- 処遇改善等加算区分1〜3の全取得を満たしていない 3,381施設(21.7%)
- ICT活用を満たしていない 8,200施設(52.7%)
- 経験年数10年以上を満たしていない 7,692施設(49.4%)
こども家庭庁自身が「加算が未取得の施設・事業所のうち、最も満たしていない要件は業務におけるICT活用」と書いています。保育士の頭数の話ではない。園にシステムが入っているかどうかの話です。
ICT要件は「全部入れろ」ではない
ここを誤解している園が多い。資料の注釈にはこうあります。「①登降園管理、②計画・記録、③保護者連絡、④キャッシュレス決済のうち、①及びもう1機能以上の機器を導入し活用している」。
つまり登降園管理プラス、あと1機能。4機能をフルで揃えろとは書いていません。計画・記録でも、保護者連絡でも、どれか1つでいい。
私が保育所のバックオフィスの相談を受けていて多いのは、「ICT化は一大プロジェクトだ」と構えてしまい、比較検討の段階で1年が過ぎるパターンです。要件の読み方を変えれば、着手すべきは登降園管理と、すでに紙で回している業務のうち一番重い1つ、それだけになります。
実態調査の「要件の改善見込み」欄も、この構えを裏づけています。ICT活用について、今年度内に満たすと答えたのは878施設(10.7%)。令和8年度以降が1,023施設(12.5%)。そして「未定」が6,299施設(76.8%)。
4分の3が、動く時期すら決めていない。逆に言えば、決めた園から順に加算が入ります。
経験年数10年以上は、今年は動かない
3つ目の要件、平均経験年数10年以上。これは今年の努力ではほぼ動きません。計算方法は処遇改善等加算区分1の「職員1人当たりの平均経験年数」と同様とされていて、採用と定着の積み上げでしか上がらない数字です。
改善見込みでも、経験年数要件を「未定」とした施設が6,669(86.7%)。今年度内に満たすと答えたのはわずか51施設(0.7%)でした。
ただ、ここで諦める前に確認すべきことがあります。処遇改善等加算区分1を算定している園なら、平均経験年数は毎年すでに計算しているはずです。自園の現在値を知らないまま「うちは無理だろう」と外していないか。9年台なら、来年度の加算取得が射程に入ります。
そして処遇改善等加算区分1〜3の全取得を落としているのは、未取得施設のうち21.7%しかいません。ここは人ではなく書類で取り返せる領域です。
来年4月の申請までに潰す順番
順番を決めてしまえば、やることは多くありません。
- 自園の平均経験年数を出す。処遇改善等加算区分1の様式で計算済みの数字があるはずです。10年に届くか、9年台か、7年台か。ここで打ち手が分かれます
- 処遇改善等加算の区分1〜3に未取得があれば先に埋める。未取得側の21.7%はここで止まっています
- ICTは登降園管理から入れる。①プラスもう1機能で要件は満たします。フルパッケージの比較検討で止まらない
- 配置は最後に見る。1歳児5対1を満たしていない未取得施設は24.7%だけです
最後に、もう一つの数字を置いておきます。3歳児15対1の実施率は96.2%から97.2%へ1ポイント上昇しました。一方で4・5歳児25対1は94.4%から93.9%へ、0.5ポイント下降しています。
配置改善は、放っておくと後退する。1歳児についても、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第33条第2項は今なお「満一歳以上満三歳に満たない幼児おおむね六人につき一人以上」のままです。加算で先行している間に体制を作れるかどうか。そこが分かれ目になります。
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出典・参考情報
- 1.(2) 保育提供体制の強化(職員配置基準の改善等)【令和8年3月版】(こども家庭庁、確認日:2026年09月16日)
- こども未来戦略(令和5年12月22日閣議決定)(内閣官房、確認日:2026年09月16日)
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)(e-Gov法令検索、確認日:2026年09月16日)
- 保育(政策)(こども家庭庁、確認日:2026年09月16日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度・要件は今後の通知等で変更される場合があります。申請にあたっては必ず自治体の最新の案内をご確認ください。
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