生活介護 報酬改定案 看護配置加算・欠席・延長の3点【2026】
48,000円。定員5人の生活介護で看護職員を1人置いたとき、常勤看護職員等配置加算で入ってくる1か月の金額です。
国立病院機構が厚生労働省の関係団体ヒアリングで示した試算で、式は「5人×30日×32単位×1名×10円」。看護師1人分の人件費には、まるで届きません。
この加算に、見直しの案が出ました。
2026年10月22日の第66回障害福祉報酬改定検討チームで、令和9年度(2027年度)の障害福祉報酬改定に向けた生活介護の論点が3つ示されています(第66回 障害福祉報酬改定検討チーム 資料)。どれも「検討してはどうか」という方向性の段階で、単位数はまだ出ていません。それでも医療的ケアのある利用者さんを受け入れている事業所や、特別支援学校の卒業生を迎える事業所にとっては、収入と職員配置の両方に関わる中身でした。
先月、名古屋市内で生活介護を運営する法人のE施設長と、事務室で勤務表を並べていたときのことです。「医ケアの方がお休みの日も、看護師さんには帰ってもらえないんですよ」。今回の資料は、ほぼその一言をなぞっていました。
1つ目。看護職員の加算は、人数を掛ける仕組みのまま単位数が問われている
常勤看護職員等配置加算は、令和6年度の改定で看護職員の配置人数に応じた評価に変わりました(令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要)。それ以前は、定員20人以下で28単位といった区分ごとの固定額でした。
今の仕組みはこうです。
- 利用定員に応じた単位数(5人以下 32単位、6人以上10人以下 30単位、11人以上20人以下 28単位、81人以上 6単位など)
- その単位数に、常勤換算で数えた看護職員の数を掛ける
- 常勤換算の小数点以下は切り捨て
資料が挙げる課題は2つ。障害福祉の分野では看護職員の確保が難しいこと。そして、医療的ケア者のサービス利用が少ない日であっても一定の看護体制を維持する必要があるため、経営負担が大きいという意見があることです。
対応の方向性は「必要な看護職員の確保のため、常勤看護職員等配置加算について見直しを検討してはどうか」。単位数を上げるのか、要件を変えるのか。中身は今回の資料にはありません(要確認)。
ここで一度、自分の事業所の常勤換算を出してみてください。看護職員が常勤換算1.8人なら、加算は1人分です。0.8人分の人件費は、加算の計算には1円も乗っていません。E施設長の事業所でも、パートの看護師さんの勤務時間をあと少し積めば2人分になる月がありました。
そして、看護体制の話はもう1つの加算に続いていきます。
2つ目。医療的ケアの方が休んだ日の手間は、いま94単位で足りているか
欠席時対応加算は、利用を予定していた日に急病などで利用が中止になったとき、事業所が本人や家族と連絡調整や相談援助をして、その内容を記録した場合に算定する加算です。生活介護では94単位、1か月4回までです(第66回資料 施設入所支援、生活介護、短期入所、療養介護に係る報酬・基準について)。
算定できるのは、中止の連絡が前々日から当日までにあった場合。相談援助は電話などで足り、直接の面会や自宅への訪問は要りません。そのかわり、記録がなければ算定できない。
資料は、医療的ケア者の欠席の重さにはっきり触れています。体調不良や受診、入院で欠席が生じやすいこと。休んだ日も利用を再開する日も、ケアの内容と健康状態の確認に加えて家族や医療機関との連絡調整があり、通常よりも準備が多いこと。そのうえで「医療的ケア者等が欠席した場合の欠席時対応加算について拡充を検討してはどうか」としています。
単位数を上げるのか、月4回の上限を緩めるのか。再開時の対応まで含むのかも、まだわかりません。
ひとつ言えるのは、今の94単位すら取りこぼしている事業所が少なくないことです。うちが支援先で記録を見せてもらうと、欠席の連絡を受けたことだけが書いてあり、相談援助の中身が抜けているケースがよくあります。これでは算定の根拠になりません。拡充されたら、記録の差はそのまま収入の差になります。
資料には、休む日の逆、長くいる日の話も入っていました。
3つ目。卒業後の「夕方の居場所」が、延長支援加算の論点に入った
学齢期は、特別支援学校に通い、放課後等デイサービスで夕方まで過ごせます。卒業して生活介護に移ると、サービス提供時間も活動内容も変わります。資料には、特に就労している家族から、夕方以降の居場所や預かりについて課題が示されていると書かれています。
方向性は3つありました。
- 夕方以降の預かりや居場所のニーズを踏まえた、延長支援加算の評価の拡充(強度行動障害の状態にある人や医療的ケア者など、重度の人の場合の拡充も含む)
- 生活介護と日中一時支援事業所などが連携して支援する場合の、新たな評価
- 生活介護事業所での生涯学習の実施を、努力義務にする
延長支援加算の今の単位数は次のとおりです。
- 所要時間9時間以上10時間未満 100単位
- 10時間以上11時間未満 200単位
- 11時間以上12時間未満 300単位
- 12時間以上 400単位
延長時間帯には、直接支援に当たる職員を1名以上置く必要があります。
ここに落とし穴がひとつあります。
延長支援加算の所要時間は、生活介護計画に定めた時間ではなく、実際にサービスを提供した時間で数えます。送迎だけの時間は原則として含みません。基本報酬の時間区分は計画の時間で決まる、という話を以前の記事で書きました。同じ「所要時間」という言葉なのに、基本報酬と延長支援加算では数え方が逆なんです。正直、私も最初に読んだときは二度見しました。
延長が拡充されて夕方の受け入れを増やすなら、実績記録の時刻をきちんと残せる体制が先に要ります。
最後に、大きな事業所だけに関わる話です。
見落としやすいのは、定員81人を超える事業所の「91人以上」の区分
生活介護の基本報酬は利用定員で区分されていて、定員が大きいほど単位数は低く設定されています。いまは定員5人以下が283〜1,733単位、いちばん大きい81人以上が171〜1,078単位です。
資料は、報酬体系上81人以上がすべて同じ区分で、規模の拡大に伴う費用構造の変化が十分反映されていないと指摘しています。方向性は「91人以上の新たな区分を設けるなど、事業規模等に応じた評価の強化を検討してはどうか」。あわせて、利用者の意思決定支援や個別支援、生活単位の小規模化を進める観点も書かれています。
91人以上の区分の単位数は示されていません。とはいえ、規模が大きいほど単位が下がる今の並びに「小規模化を進める」という書きぶりが重なっています。91人以上が今より有利になると読むのは楽観的だと、私は見ています。該当する法人は、定員の組み方を含めて年度の計画を見直す材料にしてください。
なお、強度行動障害の状態にある人への支援については、次回以降の議題とされています。
単位数が出る前に、事業所でやっておけるのは3つだけ
生活介護は令和7年度の費用額が約9,379億円で、障害福祉サービス等全体の20.6%を占めています。費用額も利用者数も事業所数も毎年度増えているサービスです。案が固まってから動くと、届出と体制づくりが改定直前に押し寄せる。いまのうちにやっておけるのは、この3つです。
- 看護職員の常勤換算を毎月出し、小数点以下で切り捨てられている分を把握する
- 欠席の連絡を受けたら、相談援助の中身と再開時の調整まで記録に残す
- 延長時間帯の実際の提供時間と職員配置を記録し、卒業予定の利用者さんの家族に夕方のニーズを聞いておく
どれも地味で手間のかかる作業です。数え上げや記録の仕組みづくりは、外の事務チームに任せてしまってもいい。E施設長が看護師さんの勤務表を前に、ため息をつかなくて済む月が来るなら。
あなたの事業所の看護職員、常勤換算でいま何人ですか。
出典・参考情報
- 第66回「障害福祉報酬改定検討チーム」資料(厚生労働省、確認日:2026年10月24日)
- 施設入所支援、生活介護、短期入所、療養介護に係る報酬・基準について≪論点等≫(第66回資料)(厚生労働省、確認日:2026年10月24日)
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム、こども家庭庁掲載、確認日:2026年10月24日)
- 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(厚生労働省、確認日:2026年10月24日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度の内容は審議中の対応案であり、今後の議論で変更される可能性があります。最新の情報は厚生労働省の公表資料をご確認ください。
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