生産活動シート 書き方 B型の7項目と月次点検【2026】
「売上の欄は、清掃も封入も全部まとめて1行でいいですよね」
先週の木曜、春日井市の就労継続支援B型事業所。事務室で生産活動シートの様式を開いたF施設長が、画面の表を指さしました。答えは「いいえ」。生産活動は種類ごとに分けて収入を書き、金額の根拠になる契約書を添える。厚生労働省が公開している記入の解説資料に、そう書かれています。
生産活動シートは、令和7年11月28日に厚労省が自治体向けに出したガイドライン(障障発1128第1号)の別添です。令和8年9月28日の第64回障害福祉報酬改定検討チームでは、このシートを毎年度初めの届出時に出し、ホームページにも載せる案が示されました。出す場面の整理は就労継続支援B型 スコア方式と生産活動シート【2026】に書いたので、今日は中身の話をします。何を、どう書くか。
B型が書くのは7項目。8番目はA型だけ
書き方の手本になるのは、ガイドラインが参照先に挙げている「生産活動シート 記入方法と確認点(解説資料)」(令和7年3月)です。令和6年度障害者総合福祉推進事業の成果物で、記入例と担当者の確認ポイントが区分ごとに並んでいます。記入する区分は8つ。B型が書くのは(1)から(7)までの7項目です。
- (1)事業所概要 定員や開所日数など。入れるのは数字だけで、単位は書かない(後の月次換算に使うため)
- (2)生産活動内容 分類をプルダウンから選び、活動ごとに収入を書く。金額の根拠資料(委託契約書や請負契約書も可)を添付する
- (3)生産活動収支の状況 生産活動収入を手入力する。訓練等給付は含めない。(2)の合計と一致しているかを見られる
- (4)生産活動収入の内訳構成等 売上高上位3位の取引先について、法人名、事業所との関係、代表取締役名、全役員名
- (5)生産活動等の支出内訳 材料費、消耗品費、燃料費、水道光熱費、賃貸料、減価償却費など。工賃総額も入れ、余剰金は自動で出る
- (6)余剰金が▲(マイナス)の場合 その理由を書く
- (7)訓練等給付費総額
- (8)雇用関係の助成金等 A型のみ
F施設長の「1行でいい」は(2)でつまずきます。分けて書く欄だからです。活動ごとに分けるのは、担当者が作業の中身と単価を見比べるためでした。解説資料は、単価が著しく高くないかを「支援者人時売上」、つまり支援者が1人で1時間作業したとして得られる金額で比べるとしています。
(4)も手が止まります。取引先の代表者だけでなく、全役員の名前まで書く。喫茶店や自主製品のように個人のお客さんへ売っている分は「一般顧客」と入れれば足ります。役員名を聞く理由は、次の章で分かります。
担当者が最初に疑うのは「支出ゼロ」と「関連企業」
私の目が止まったのは(5)の最初の一行でした。生産活動にかかる支出がゼロになっていないかを確認する。ゼロなら、本当に全部が福祉事業の支出なのかを確かめる、という流れです。
私が見てきた小さな事業所では、作業で使う資材や光熱費を、福祉事業の会計にまとめて付けてしまう例が少なくありません。悪気はなくても、シートの上では支出ゼロの事業所に見える。これは損です。
(4)で関係を書かせる理由は、解説資料の事例で分かります。挙がっている事例は2つ。1つは、自立支援給付費や他事業の収入で工賃を補っているケース。もう1つは、関係会社や関連会社にお金を入れ、作業の実態がないのに生産活動収入として計上させるケースです。後者は架空取引や循環取引と見なされ、不正会計に当たる可能性があると書かれています。
関連企業との取引そのものが悪いわけではありません。解説資料も、シートだけで判断せず根拠書類や聞き取り、実地で確かめるよう求めています。それでも担当者は、シートの数字を月単位に直してから話を聞きに来るはずです。
月で割ると、担当者と同じ数字が手元に出る
シートに入れるのは1年間の数字です。様式には、それを1か月あたりに直す「月次損益計算書換算」が組み込まれています。見る指標は次のとおり。
- (ウ)収支=(ア)1か月の生産活動収入-(イ)1か月の生産活動支出
- (オ)工賃カバー率=(ウ)収支÷(エ)1か月の工賃総額
- (カ)余剰金=(ウ)収支-(エ)工賃総額
- (カ)’利用者1人当たり余剰金=(カ)余剰金÷利用契約者数
カバー率の目安は4段階です。100%以上が「良好」、90%~100%未満が「やや足りない」。80%~90%が「足りない」、80%未満は「かなり足りない」です。
B型で重いのは、むしろ1人当たり余剰金です。解説資料の目安では、△5,000円以上で「基準を遵守していない可能性がある」、△10,000円以上で「基準を大幅に遵守していない可能性がある」。マイナスであるだけでも「基準を遵守しているか疑わしい可能性がある」とされています。B型の工賃は、生産活動の収入から必要な経費を引いた額を払うのが指定基準第201条の考え方です(e-Gov法令検索)。余剰金のマイナスは、その外側のお金で工賃を払っているサインとして読まれます。
仮の数字で試算してみます。利用契約者が20人で、月の工賃総額が40万円、月の生産活動収支が36万円。この事業所のカバー率は90%で「やや足りない」です。余剰金は△4万円。1人当たりに直すと△2,000円で、マイナスの帯に入ります(あくまで試算値です)。解説資料は、平均工賃2万円で20人なら月400千円程度の収支は必要になる、という目安も示しています。
電卓1つで足ります。担当者が来る前に、自分で出せる数字です。令和9年度の改定案は、このシートを1枚で済ませない方向です。
令和9年度の案では、施設外就労先ごとにもう1枚
第64回の資料「就労系サービスに係る報酬・基準について」には、生産活動シートに関わる案がいくつも入りました。どれも「〜してはどうか」の段階で、まだ決まっていません。
- 生産活動シートを作り、運営指導や指定更新、毎年度初めの届出時に指定権者に提出する
- 作ったシートを、A型のスコア表や財務諸表等とともに、事業所のホームページ等の分かりやすい場所に掲載する
- 請負期間や請負金額が小規模な場合を除き、施設外就労先ごとに生産活動シートを作って提出し、ホームページで公表する
- B型にも「生産活動の収支が利用者に支払う工賃の総額以上となること」を指定基準として位置付ける
- 運営法人の資金や寄付等から利用者に払った額は、基本報酬の算定に使う平均工賃月額から除く
施設外就労先の多い事業所ほど、シートの枚数が増えます。しかも4つ目の案が入れば、前の章のカバー率100%は目安ではなく基準の線になる。法人からの上乗せで工賃をそろえてきた事業所ほど、影響は大きく出ます。
現行のガイドラインでも、毎年度4月の「介護給付費等算定に係る体制等に関する届出書」の届出時等に、必要に応じてシートの提出を求めることが想定されています。待つ理由はありません。
4月の届出までに揃える書類は4つ
F施設長と、年度末までにそろえる書類を4つに絞りました。
- 活動ごとの契約書と請求書。単価が書いてあるものを、(2)の分類と同じ単位でそろえる。
- 生産活動会計の帳簿。資材費や光熱費のうち生産活動の分を、福祉事業会計から切り分けて記帳する。
- 月ごとの工賃支払総額。カバー率と1人当たり余剰金を、自分で毎月出せるようにしておく。
- 売上上位3社の役員名と、法人との関係。取引先に確認して控えておく。
帰り際、F施設長は様式の(2)の欄を見ながら「清掃と封入、来月から請求書を分けます」と言いました。それで十分です。シートを書く作業の半分は、こういう帳簿側の手直しなので。書き方を覚えるより先に、書ける帳簿を作っておく。4月はそれで迎えられます。
出典・参考情報
- 生産活動シート 記入方法と確認点(解説資料)令和7年3月(厚生労働省掲載、確認日:2026年10月16日)
- 指定就労継続支援事業所の新規指定及び運営状況の把握・指導のためのガイドラインについて(障障発1128第1号)(厚生労働省、確認日:2026年10月16日)
- 第64回「障害福祉報酬改定検討チーム」資料(令和8年9月28日)(厚生労働省、確認日:2026年10月16日)
- 資料 就労系サービスに係る報酬・基準について(第64回)(厚生労働省、確認日:2026年10月16日)
- 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)(e-Gov法令検索、確認日:2026年10月16日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず所管の自治体および一次情報でご確認ください。
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