児童指導員等加配加算 統合案 放デイ・児発の備え3点【2026】

「うちは加配加算、9割の側に入ってるから大丈夫ですよね」

検討チームの翌朝、名古屋市内で放課後等デイサービスを4か所運営するB代表と月1回の定例Zoomをつないだ直後の第一声でした。画面越しの声は明るかった。私は手元の資料の31ページを開いたまま、すぐには返事ができませんでした。前日に国が示したのは、その「9割の側」こそが見直しの理由だ、という話だったからです。


算定率9割が、そのまま見直しの理由になった

令和8年10月5日、第65回の障害福祉報酬改定検討チームで、こども家庭庁が児童発達支援と放課後等デイサービスの報酬見直し案を出しました。資料名は「障害児支援に係る報酬・基準について」。議題は令和9年度の報酬改定に向けた障害児支援です。

中心にあるのが児童指導員等加配加算(人員基準を上回って児童指導員や保育士などを配置した体制への加算)と、専門的支援体制加算(理学療法士などの専門職を配置した体制への加算)の扱いでした。こども家庭庁の資料によると、令和8年3月サービス提供分の国保連実績で児童指導員等加配加算の算定率は児童発達支援が84.7%。放課後等デイサービスは91.6%に達しています。専門的支援体制加算は両サービスとも約5割の事業所が算定しています。

ここに財務省の令和8年度予算執行調査が重なります。約9割が算定している実態を踏まえ、同加算は「支援強化のためのインセンティブとしての役割を果たしているとは言えない」と指摘された。ほぼ全員が取っている加算は、もう加算として機能していない、という読み方です。

そのうえで資料は、両加算を「整理・統合した新たな加算を創設することを検討してはどうか」と提案しました。まだ提案の段階で、単位数も要件も出ていません。介護ニュースJointは、国が年末にも大枠の方向性を固める考えだと報じています。

では、統合された先で何が評価されるのか。B代表が一番知りたかったのもそこでした。


新しい加算で問われるのは、勤務表の外にある2つ

資料の書きぶりを、そのまま拾います。新たな加算は「専門人材の活用」や「経験ある人材の評価」の方向性を維持する。そのうえで専門職の配置や経験年数といった個別要素だけで評価するのではない。支援ニーズの高いこどもの受入れ状況やそれに応じた支援体制など、複数の評価項目を総合的に評価する案です。

現行の仕組みへの不満もはっきり書かれています。職員の資格や配置状況だけを見るため、配置転換などの対応でも算定できてしまう。事業所全体の支援体制を十分に評価できていない、と。

うちが事務長代行として届出書類を預かっている現場だと、この加算の根拠は勤務形態一覧表と資格証の写しでほぼ完結しています。人を置けば取れた。統合後はそこに、どんな子を受け入れ、誰がどう連携して支えているかという記録が加わる。私はそう読んでいます。

気になるのは、加配加算を「常勤専従・経験5年以上」の区分で算定してきた事業所です。この層の単価が新しい加算でどう置き換わるかは、現時点では不明。年末の大枠を待つしかありません。

ただ、同じ日にもう1つ、もっと早く動き出す案が出ていました。


全常勤職員に研修受講、シフトは持つのか

もう1つの論点は人材育成です。令和7年8月にまとまった障害児支援における人材育成に関する検討会の報告書を受けて、令和9年度から「基礎・実践研修」を導入する予定が示されました。令和10年度に「リーダー研修」、令和11年度に「コア人材研修」が続きます。

重いのは受講対象です。導入時は、児童福祉法に基づく指定障害児通所支援・指定障害児入所支援・指定障害児相談支援に配置されている全ての常勤職員に受講を求める案になっています。以降は新たに従事する常勤職員が対象。非常勤職員は必須受講科目を設定するなど、常勤とは別の枠組みが検討されています。

時間の目安は報告書の概要に載っています。

  • 基礎・実践研修(Ⅰ)約7時間程度・7科目、入職後から半年程度まで
  • 基礎・実践研修(Ⅱ)約22時間程度・22科目、(Ⅰ)修了後から3年目程度まで

合わせると1人あたり約29時間(2つの目安を足した試算値)。常勤が10名いる事業所なら、延べ290時間前後(試算値)を3年ほどで捻出する計算になります。事業者が実施主体で、日々の支援やOJTと一体的に進める想定とはいえ、放デイは子どもが来る放課後に人が必要な業態。研修を入れられる時間帯は午前に寄るはずです。

外部研修で一時的に人員配置へ影響が出る場合は、人員基準の柔軟な取扱いを検討する案も出ています。とはいえ欠員を外から埋めるのは簡単ではありません。同じ資料にある令和6年度の調査研究では、中途採用で確保が難しい職種として保育士が67.5%、児童指導員が52.2%に上りました。研修の穴を採用で埋める前提は立てにくい。

B代表は黙って聞いていました。そして「じゃあ、今から何をすればいいですか」と。


年末の大枠が出る前に、私なら3つだけ手を付ける

単位数が出る前に大きく動くのは早すぎます。ただ、待っているだけだと年明けに慌てる。B代表には、次の3つだけお願いしました。

  • 加算の根拠を「子ども単位」で並べ直す。支援ニーズの高い子の受入れ状況と、その子を誰がどう支えているかを事業所ごとに一覧にしておく。新しい加算の評価項目がどう決まっても、手元にある記録は使い回せます
  • 常勤職員の名簿に研修枠を足す。4か所それぞれの常勤を書き出し、午前の時間帯で月に何時間確保できるかを先に見積もる。令和9年度の導入時に全員が対象になる案なので、人数がそのまま負荷になります
  • 加配のための採用と配置転換は、年末まで決めない。配置転換で取れる構造そのものが問題視されているので、今その手を打つと統合後に評価されない可能性がある

3つ目を伝えたとき、B代表は少し笑いました。「来月、1人異動させるつもりでした」。

9割の側にいることは、もう安全の印にはなりません。来年度の単位数が出るまでの数か月で、配置表の外側にある記録をどこまで揃えられるか。差がつくのはそこだと、私は見ています。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。本記事で紹介した内容は令和8年10月5日時点の検討チームでの提案であり、確定した報酬・基準ではありません。最終的な単位数・要件は今後の告示・通知をご確認ください。


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