中医協の外来調査 診療所が10月分で残す3つの数字【2026】

「国の調査って、うちみたいな小さい診療所にも来るんですか。来たら、誰が書くんだろう」

11月6日の夜、名古屋市内で開業医の勉強会があった、その後の会食の席です。内科クリニックのK院長が、グラスを置いてそう言いました。私はその日の午後、ちょうどその調査票のPDFを読み終えたところで、返事に少し詰まりました。来るかどうかは抽選です。ただ、来たときに書く数字の多くは、もう10月で締まっています。

同じ11月6日、中央社会保険医療協議会(中医協)の第661回総会に「令和8年度調査の内容について」と、その調査票が報告されました(中医協 総会(第661回)議事次第)。令和8年度の診療報酬改定がどう効いたのかを、8つの項目について令和8年度と令和9年度の2か年で調べる計画です。診療所の院長に関係が深いのは、そのうちの外来の調査です。


調査票が届くのは約2,270施設、選ばれるかどうかは無作為

外来の調査は「E票」と呼ばれ、対象はこう書かれています(総-1 令和8年度調査の内容について)。

地域包括診療料・加算、生活習慣病管理料、情報通信機器を用いた診療等の届出等を行っている医療機関

規模は約2,270施設。対象施設は区分ごとの母集団から無作為に抽出されます。紙の調査票の配布と回収に加えて、Webサイトでの回答もできる設計です。

院長が書く施設票のほかに、外来患者票もあります。調査期間中に受診した患者さんのうち、同意を得られた方が最大8名まで答えます。年齢や受診理由、オンライン診療の経験を聞く票で、受付で誰に頼むかを決める必要が出てきます。これとは別に、一般の方約2,000人へのWeb調査も行われます。

時期について、CBnewsマネジメントは10月29日の分科会を受けて「年末にかけて調査を実施する」「調査結果は27年3月以降分科会に報告する見通し」と報じています(CBnewsマネジメント 2026年10月29日)。総-1のスケジュール表でも、11月上旬の総会は「調査票原案を報告」する段階です。そのあとに調査の実施と、集計と分析が続きます。発送日や回答の締め切りは、資料には書かれていません(要確認)。

では、届いた調査票は何を聞いてくるのか。施設票をめくると、書くのに手間取りそうな数字が3つあります。


1つ目の数字は、去年の10月の外来患者数

施設票の1-13は、外来患者の延べ人数を令和7年10月と令和8年10月の2列で並べて書かせる設問です(総-1参考 調査票)。

行の立て方は、たとえば次のとおりです。

  • 初診料を算定した延べ患者数
  • そのうち、紹介状により紹介された延べ患者数
  • 紹介状により他の病院または診療所に紹介した延べ患者数

今年の10月なら、レセコンの月次集計から初診の数は出せます。厄介なのは1年前のほう。紹介状を持って来た人と、紹介状を書いて送り出した人の数も曲者です。ふだんから数えていないと、後から拾うのに手間がかかる。

紹介状の控えを紙のファイルに綴じている診療所なら、1年前の10月分の束を数え直すのは、受付の誰かの残業になります。

調査票が来るかどうかは関係ありません。令和7年10月と令和8年10月の2か月分だけは、この3行の数字をいまのうちに表へ書き出しておく。記憶と控えが手元にあるうちなら、数え直しは一度で済みます。

2つ目の数字は、もう少し中身に踏み込んだものです。


2つ目は生活習慣病管理料、選択肢に「当該加算の存在を知らない」がある

問7は生活習慣病管理料の設問で、答えるのは診療所と許可病床200床未満の病院です。対象期間は令和8年10月の1か月間。令和8年の調査で新しく設けた設問には「*」の印が付きます。問7では7-1と7-3、7-4がそうです。

7-1で聞かれるのは、次の4つの算定実績の有無です。

  • 生活習慣病管理料(Ⅰ)または(Ⅱ)
  • そのうち、糖尿病を主傷病とする患者
  • さらにそのうち、眼科医療機関連携強化加算
  • 同じく、歯科医療機関連携強化加算

眼科と歯科の連携強化加算は、令和8年度改定で新しく設けられたものです。総-1にも、関係する主な改定内容として「生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の眼科(歯科)医療機関連携強化加算、充実管理加算の新設」が挙がっています。

目を引くのは、その次の7-3です。糖尿病の患者さんに生活習慣病管理料を算定したのに眼科の加算を算定しなかった場合、その理由を選ばせます。並ぶ選択肢には「眼科受診が必要な患者ではないと判断したため」「患者が眼科を未受診、または受診を辞退・拒否したため」に続いて、こう書かれています。

05 当該加算の存在を知らない

歯科の加算を聞く7-4にも、同じ選択肢があります。国は、新設した加算が現場に知られていない可能性を、最初から調べる項目に入れているわけです。私の読みでは、ここに丸が多く付けば、次の改定で加算の要件や周知の仕方を見直す材料になります。

生活習慣病管理料そのものを算定していない診療所には、7-5で理由を聞きます。選択肢には「電子カルテではないため」「療養計画書に記載する項目が多く、業務負担が大きいため」が並びます。自己負担額が上がることについて患者さんの理解を得にくい、という趣旨の選択肢まであります。

この設問の背景には、改定の答申に付いた附帯意見があります。

生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)や特定疾患療養管理料等について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、診療ガイドラインに沿った質の高い計画的な医学管理が推進されるよう、提供される医療の実態に基づく評価の在り方について引き続き検討すること。

やることは1つです。10月に生活習慣病管理料を算定した糖尿病の患者さんを一覧にして、眼科と歯科の加算を取ったか、取らなかったならなぜかを1行ずつメモしておく。理由の欄が「知らなかった」で埋まるなら、それは調査票より先に、院内で算定要件を確かめておく話です。


3つ目は11月1日の職員数、パートは小数点第1位まで換算する

施設票の1-6は、令和8年11月1日時点の職員数を職種ごとに書かせます。医師、看護師、准看護師、管理栄養士、医師事務作業補助者、事務職員。非常勤の人は常勤換算で、小数点第1位までです。

調査票には計算の例も載っています。常勤の所定労働時間が週40時間の施設で、週4日、1日3時間働く人が1人いれば0.3人。考え方は単純です。ただ、パートさんが多い診療所だと話が変わります。11月1日に誰が在籍していて、それぞれ週何時間の契約だったか。雇用契約書やシフト表から拾い直すことになります。

ほかにも、慢性疾患に係る適切な研修を修了した医師の人数を実数で書く1-8や、外来を担当する看護職員の人数を書く1-7があります。地域包括診療料や地域包括診療加算を届け出ている診療所なら、令和8年8月から10月までの3か月間の延べ患者数を聞く設問(4-4)も加わります。

11月1日はもう過ぎました。この日の職員名簿を1枚、週の所定時間つきで保存しておけば、職員数の設問はほぼ埋まります。

K院長には、会食の帰り道にこう伝えました。抽選に当たるかどうかは選べない。でも、去年と今年の10月の外来の数、10月の生活習慣病管理料の中身、11月1日の名簿。この3つを手元に残しておけば、調査票が来た日に慌てずに済みます。来なかったとしても、自院の外来がこの1年でどう変わったかを見る表が残ります。

うちでは、こうした数字の書き出しや調査票の下書きを、院長や事務長の代わりに外部の事務チームとして引き受けています。調査票の束が届いたら、封を開ける前でも声をかけてください。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。調査票は中医協総会に報告された段階のもので、実際に配布される調査票の設問や調査期間、締め切りは変わる可能性があります。最新の情報は厚生労働省の公表資料をご確認ください。


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