就労継続支援A型 経営改善計画 未提出−50点回避3点【2026】
−50点。これが経営改善計画書を期日までに出さなかった就労継続支援A型の翌年度スコアだ。
令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定でルールが動き、遅延そのものが減点対象になった。
この−50点は、労働時間や生産活動収支で積み上げた点数を丸ごと帳消しにするだけの重みを持つ。7月の今、経営者が何をやっておくべきか、うちの支援現場で見えたものを共有したい。
−50点の重みを、まず数字で押さえる
スコア方式は、事業所の1日あたり基本報酬を決める仕組みだ。6つの評価区分で加点していき、合計スコアが翌年度の単位数区分に直結する。
その6区分の1つ「経営改善計画」に、令和6年度改定で新しい罰則が入った。厚生労働省の令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要に沿った運用では、都道府県から経営改善計画書の提出を求められた場合、期日内に応じれば0点、応じられなければ翌年度スコアで−50点が算定される。
他区分の満点は評価項目ごとに数点〜20点程度。労働時間や生産活動を1年かけて積み上げても、経営改善計画の−50点でひっくり返る。うちのクライアントで実際に、生産活動収支を1年かけて黒字化させた事業所が、事務長の交代タイミングで提出漏れを起こし、翌年度が1段階下がりかけた。血の気が引いた話だ。
回避の1点目:自治体別の「提出期日」を7月中に確定させる
ここが最初の落とし穴。提出期限は全国一律ではなく、都道府県・指定都市が個別に案内する。
参考までに大阪府は令和8年度スコア方式届出で令和8年4月30日を届出期限に指定。大分県は経営改善計画書の提出ページで対象事業所と様式を告知している。福岡県も令和6年度決算の経営改善計画書を独自スケジュールで案内している。
3自治体並べただけでこれだけ違う。「隣の県と同じだろう」で構えていたら、確実に事故る。
私が今、経営者に必ず頼むのはこの3つだ。
- 本社所在地の都道府県サイトを7月中に開き、来年度スコア関連の案内ページを1本ブックマークする
- ブックマークを役員会議のアジェンダに毎月定例で載せる
- 期日から逆算して「経理締め・監査法人チェック・提出」の3マイルストーンを、Googleカレンダーに担当者付きで先に置いておく
期日を知らないと、そもそも準備すら始まらない。
回避の2点目:計画書の粒度は「実行できる単位」まで落とす
もう1つ、うちで頻繁に見る失敗がある。計画書の中身が抽象語だらけになるパターンだ。
「生産活動の効率化」「利用者支援の質向上」「収支構造の改善」。この3行だけ書いて出しても、確かに提出は間に合う。ただし翌年度、都道府県から「実施状況の報告」を求められたときに詰む。
厚労省が公表しているスコア方式の集計結果を読むと、経営改善計画を出している事業所でも、翌年度の実績が計画に紐づかず「取組が確認できない」と自治体から追加照会を受けているケースが一定数ある。追加照会を放置すれば、翌々年度のスコアに影響が及ぶ。
うちのクライアントには、計画書の各項目を「誰が」「いつまでに」「どの数字で判定するか」の3列で書き直してもらう。抽象的な「効率化」ではなく、「6月末までにB作業の1人あたり生産量を+15%」「10月末までに主担当2名の支援研修を各10時間」のように、実行の証拠が数字で残る単位に落とす。この作業に半日はかかる。半日で−50点が消えるなら安いものだ。
回避の3点目:50点減点の「隣」に、もう1つ減点が潜んでいる
ここが今日、いちばん伝えたい話。
経営改善計画には、提出遅れの−50点とは別に「計画に基づく取組を行っていない」場合の減点条項がある。厚労省の令和6年度障害福祉サービス等報酬改定ページとQ&A VOL.8に、経営改善計画書未提出および数年連続で提出しても運営基準を満たしていない事業所への対応方針が明記されている。
つまり、期日を守っただけでは足りない。翌年度に「その計画を実際にやりましたか」と問われる場面が来る。ここで数字の裏付けが提示できないと、追加減点が乗る可能性がある。
だから2点目で書いた「実行できる粒度」が効いてくる。書いた計画を、四半期に1回で構わないので実績数字と突き合わせて記録に残しておく。Excel 1枚で十分だ。監査対応の紙束を作る必要はない。
うちの支援ケース:スコア84→104でV字回復した理由
去年、就労継続支援A型の理事長に、うちのマネーフォワードクラウド支援と併せてスコア改善計画の型を持ち込んだ。初年度スコアは84。基本報酬でいうと真ん中よりやや下だ。
最初の3か月で経理を整えた。翌3か月で計画書を「実行できる粒度」に書き直した。四半期ごとに実績を突き合わせるフォーマットを事務長のPCに置いた。作業自体は地味で、コーヒーを何度も淹れ直しながらの作業だった。
翌年度のスコアは104。1段階上がっただけで、月次の基本報酬は数十万円単位で改善した。理事長は「事務が変わっただけでここまで違うのか」と半分呆れていた。私も正直、これほど直結するとは思っていなかった。
7月は動き出すのにちょうどいい時期だ。年度末に慌てて「今から」だと、経理も監査法人も動かない。今週、都道府県サイトを1本開いて、期日をカレンダーに書き写す。そこから始めれば十分間に合う。
出典・参考情報
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について(厚生労働省、確認日:2026年7月6日)
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(PDF)(厚生労働省、確認日:2026年7月6日)
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.8(PDF)(厚生労働省、令和7年3月31日、確認日:2026年7月6日)
- 就労継続支援A型 スコア方式 集計結果(PDF)(厚生労働省、確認日:2026年7月6日)
- 令和8年度就労継続支援A型事業所に係るスコア方式の公表について(大阪府、確認日:2026年7月6日)
- 就労継続支援A型事業所における経営改善計画書の提出について(大分県、確認日:2026年7月6日)
- 就労継続支援A型 事業別事業活動明細書等及び経営改善計画書(福岡県、確認日:2026年7月6日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度は改定される可能性があるため、届出前に必ず所在地の都道府県サイトで最新情報を確認してください。
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