児童指導員等加配加算 放デイ 4区分と算定要件【2026】
土曜の朝、都内の放課後等デイサービスのA理事長から電話がきた。「うち、児童指導員等加配加算を『常勤専従5年以上』で算定していたはずなんですが、実地指導で『常勤換算』扱いに落とされました」。話を聴きながら、私はコーヒーを淹れ直した。同じ現場を、この半年で3件見ている。
加配加算の単位数は、区分ひとつで倍近く動く。落とされた側の理事長は、一度に600万円単位の返還を提示されていた。今日は、この加算の「4区分の見分け方」と、実地指導で狙われるポイントを整理する。
単位数を分けているのは、たった2つの軸だ
児童指導員等加配加算の単位数は、次の2軸の掛け算で決まる。配置形態(常勤専従 or 常勤換算)と、経験年数(5年以上 or 5年未満)。この2×2で4区分。加えて「その他の従業者」区分が最下段に置かれる、という構造になっている。
定員10人以下の放デイの場合、単位数は以下のとおり(1日あたり)。
- 児童指導員等・常勤専従・経験5年以上:187単位
- 児童指導員等・常勤専従・経験5年未満:152単位
- 児童指導員等・常勤換算・経験5年以上:123単位
- 児童指導員等・常勤換算・経験5年未満:107単位
- その他の従業者:90単位
最上段と最下段では、1日あたり97単位の差。年間250日稼働、1単位10円で概算すると、加配1人あたりの年収相当分が2区分の差でざっと24万円ずれる。加配を2人つけていれば、単純に倍だ。
単位数の告示はこども家庭庁の「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定」ページに一次資料がまとまっている。届出前に必ず原典で自社定員区分の欄を確認してほしい。
ここで問題になるのが、区分の中でも一番トラブルが起きやすい「常勤専従」だ。
実地指導で剥がれるのは「専従」の一語だ
A理事長のケースがまさにそうだった。加配職員は毎日フルタイムで出勤していた。ところが週2日、開所前の1時間だけ「送迎業務」に入っていた。この1時間が、実地指導で「サービス提供時間帯を通じて直接支援していない」と判定された。
令和6年6月10日時点のこども家庭庁Q&A一覧で明示されているとおり、加配加算の対象職員は「サービス提供時間帯を通じて事業所で直接支援にあたることを基本」とする。ここが崩れると「常勤専従」区分は取れない。
うちが現場で使っているチェックポイントは3つに絞っている。
- 加配職員の勤務時間の全てが、サービス提供時間帯に収まっているか
- 管理者や児童発達支援管理責任者との兼務が発生していないか(兼務があれば「専従」不成立)
- 送迎・記録・保護者対応など「間接業務のみの時間」が別枠で計上できているか
2つめの「管理者兼務」で崩れる事業所が本当に多い。1人管理者体制の小規模事業所ほど、加配職員に管理業務を頼らざるを得ず、結果として上位区分が使えなくなる。
ここまで乗り越えても、次に立ちはだかるのが「経験年数」の数え方だ。
経験5年は「年180日以上×5年」で数える
経験年数は、履歴書上の「入社年月日〜退職年月日」を足し算するのではない。児童福祉事業に「1年あたり180日以上」勤務した年を、5年分積み上げるカウントだ。
対象となる児童福祉事業は広い。児童福祉法上の障害児通所支援・障害児入所支援に加えて、幼稚園、特別支援学校、特別支援教育の巡回指導などが含まれる。パートや非常勤で「年180日未満」の年が挟まると、その年は1年としてカウントできない。
採用面談の段階で、私はA理事長に「入職前に前職の勤務日数証明を書面で取ってください」と伝えている。証明が取れないと、実地指導で「5年以上」区分の裏付けができない。書類の実物は履歴書ではなく、前職の在職証明書に日数まで記載してもらう必要がある。
実地指導で「5年以上を主張しているが証拠が出せない」と判定されると、単位数は「5年以上」から「5年未満」に落ちる。定員10人以下・常勤専従なら、35単位(187→152)が差引かれる計算だ。
ここまで整理すると、加配加算は「制度が難しい」というより「証明書類が集まらない」加算だとわかる。ではもう一段深い話をしたい。加配加算と混同されやすい、専門的支援加算の切り分けだ。
加配加算 と 専門的支援加算 は別モノだ
令和6年度の報酬改定で、専門的な支援を評価する部分は「加配加算」から切り離され、専門的支援加算と専門的支援体制加算という別の加算に整理された。この設計の意味は、放デイの経営視点でとても重要だ。
私の理解では、区分けは次のように働いている。
- 児童指導員等加配加算:職員を基準人員に「厚く」上乗せしたことを評価する(頭数評価)
- 専門的支援加算・専門的支援体制加算:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門職による、個別の支援計画に基づく支援を評価する(専門性評価)
両者は併算定できるケースもあるが、同じ職員の同じ時間帯を、加配加算と専門的支援加算の両方で計上することはできない。実地指導で「同じ職員の同じ勤務時間を二重に評価している」と判定されると、両方の加算が返還対象になる。
この設計思想の詳細と最新のQ&Aは、こども家庭庁の令和6年度障害福祉サービス等報酬改定Q&A(vol.1)事務連絡に整理されている。届出書類を作る前に必ず読んでおく資料だ。
加配加算は「取れる」より「証明できる」が先
加配加算は「加配職員がいる」で取れる加算ではなく、「加配職員が要件どおり働いていることを、書面で証明できる」で取れる加算だと思っている。
うちがクライアントの放デイに入るとき、最初に見せてもらうのは加算届出書ではなく、加配職員のシフト表と勤怠実績、それから在職証明書だ。この3点セットが揃っていない事業所は、届出書が形式的に整っていても、実地指導で剥がれる可能性がかなり残っている。
本日届出直前の理事長がいたら、今夜、シフト表と実際の勤怠実績をつき合わせてみてほしい。数字が1日分でもズレていたら、加配加算の区分を下げるか、届出のタイミングをずらすかの判断が必要になる。判断がつかないなら、うちに投げてもらって構わない。
出典・参考情報
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(こども家庭庁)(発行元:こども家庭庁 支援局 障害児支援課、確認日:2026年7月4日)
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定Q&A(vol.1) 事務連絡(令和6年4月12日)(発行元:こども家庭庁 支援局 障害児支援課、確認日:2026年7月4日)
- 障害福祉サービス等報酬(障害児支援)に関するQ&A一覧(令和6年6月10日時点)(発行元:こども家庭庁、確認日:2026年7月4日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度改定・URL変更の可能性があるため、実運用時は必ず一次資料をご確認ください。
あわせて読みたい
- 介護・福祉施設の処遇改善加算 完全ガイド 2026
- 放デイ キャリアアップ助成金 80万円──正社員化3点【令和8年】
- 障害福祉報酬の臨時引き下げ、6月施行──「既存は据え置き」で安心した経営者が今夏やられる理由【2026】
株式会社Reliefのサービスで、事業運営を強力サポート!
株式会社Reliefは、医療機関や介護・福祉・保育施設の運営をトータルサポートする専門企業です。
業界特化型のオンラインアシスタント「セレナ」
月一回からはじめる事務長アウトソーシング「困ったときのじむちょー君」
バックオフィスの業務改善・効率化、MoneyForwardクラウドICT・クラウドDX導入支援
経営課題の解決や業務効率化を実現し、貴社の発展を全力でサポートいたします。
