公定価格改定2026 保育所が今すぐ開く4書類【令和8年】

# 公定価格改定2026 保育所が今すぐ開く4書類【令和8年】

もしあなたが保育所・認定こども園を運営しているなら、いま手元に並べておくべきこども家庭庁の書類が4通ある。

令和8年4月8日付で公定価格の改正告示が出て、5月22日にはFAQ第31版が更新された。経営判断と請求実務がここで一段ずれた。

今日はその4通を、保育法人の理事長と話していて出てきた順番で並べ直したい。


4月8日付の改正告示──まず「何の文書か」を1分で押さえる

公定価格は毎年こっそり動いている。けれど、令和8年度の改定は 「令和8年こども家庭庁告示第9号」 という名前で、4月8日に施行された。正式名称は長い。「特定教育・保育、特別利用保育、特別利用教育、特定地域型保育、特別利用地域型保育、特定利用地域型保育及び特例保育に要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」だ。一度声に出して読むと、対象事業の幅の広さが伝わると思う。

対象は、認定こども園・幼稚園・保育所・小規模保育(A型B型C型)・家庭的保育・事業所内保育・居宅訪問型保育・満三歳以上限定小規模保育。こども家庭庁の公定価格ページ に告示と関連通知が並んでいる。これが「親フォルダ」だ。

うちのクライアントの理事長と最初に確認するのは、いつも同じ問いだ。「この施設はこの告示のどの欄に乗っているか」。乗っている欄が違えば、その先で読むべき通知も、計算する単価表も全部ずれる。

派手な改定の年は誰でも気づく。地味な年に気づけるかどうかで、年度後半の現金繰りが変わる。私は何度も見てきた。地味な改定の年に「特に変わってないですよね」と流した法人が、夏に自治体照会で青ざめる。そのパターンが本当に多い。

だからこそ、告示の正式名称と施行日と告示番号は、年度の頭で園内のマニュアルに必ず転記しておく。書いた瞬間は意味がないように見える。けれど、9月の差し戻し対応で必ず効いてくる。


経営者が最初に開くべきは「概要資料」ではない

これは私の現場感覚として書く。改定が出たあと、最初に概要資料から開く人が多い。あれは読むと分かった気になる。けれど、経営の意思決定の起点としては弱い。

私が先に開くのは 告示本文と単価表 のページだ。理由はひとつ。「単価表のセルがどこに変わったか」を見ない限り、月次の収支インパクトが読めないからだ。概要資料は、その単価変動の意味を補強する読み物として、あとから開く。

順番を逆にすると、改定の話が「制度の解説」で止まる。手元の数字に降りてこない。降りてこなかった改定情報は、3か月後に「あれ、なんで予算ずれてるの」という会話で再登場する。これが本当に多い。


5月22日のFAQ第31版──ここで実務の認識が動いた可能性

4月の告示で輪郭が決まり、5月にFAQで運用解釈が動く。これが公定価格の定番の流れだ。こども家庭庁の公定価格ページ に掲載されている FAQ第31版(令和8年5月22日付) は、4月の改正告示を踏まえた最新の解釈集だ。

FAQは怖い。なぜなら、自治体審査担当者は「最新版のFAQに沿って」確認してくることが多いからだ。法人側が第30版で止まっていると、その差分で照会と差し戻しが発生する。差し戻しは何が辛いかというと、月次キャッシュフローの読みを後ろにずらす。

確認の作法はシンプルだ。FAQの目次を頭から流し読みする。次に、自園で論点になりそうな箇所だけを精読する。第31版というナンバーを園内の運営マニュアルに必ず記録する。次回、第32版が出たときに差分だけ読めばよくなる。

うちのクライアントには、過去のFAQ版数と差分メモを年度別にフォルダ管理してもらっている。最初に作るときは少し面倒だ。けれど、3年続けると、自治体担当の口頭照会に対しても「第29版のQ◯◯にこう書かれている」と即答できるようになる。経理担当の自信が変わる。

もうひとつ、FAQの読み方として大事な点を書いておく。「自園にとって関係ない設問」も、設問番号と1行サマリーだけは記録する。理由は、来年度に新事業を始めたとき、その「当時関係なかったFAQ」が突然関係してくることがあるからだ。捨てない記録の運用。地味だが効く。


委託費の経理通知(3月31日付)──ここを読まないと数字が合わない

私立保育所を運営している法人は、4月の告示と並んで、もう1通読まなければいけない通知がある。令和8年3月31日付の「私立保育所委託費の経理等について」こども家庭庁の同じページ から辿れる。

委託費の経理は、経営の話で言うと「収益の組み立て方」そのものだ。何を委託費から支出してよく、何を別会計に出すか。ここの解釈がブレると、年度末の監査で必ず引っかかる。これは私が過去にバックオフィスの代行で入ったとき、最初の3か月で必ず棚卸ししてきた領域だ。

そして、もう一通。令和8年4月8日付「処遇改善等加算について」の通知。賃金改善計画書・実績報告書の様式と運用解釈が、ここで提示される。職員へのアナウンス、賃金規程の改定、計画書の修正、この3点が連動する。連動を切らさない。これが処遇改善の鉄則だと、私はクライアントに毎回言っている。

連動が切れる現場を実例で書く。計画書だけ先に出して、賃金規程の改定が3か月遅れた。職員アナウンスはさらに遅れた。結果、職員から「いつ反映されるんですか」と問い合わせが来て、現場が荒れた。書類は揃っているのに、信頼が崩れた。改定の運用は、書類の正確さよりも順番の正確さで失敗する。

私のチームで毎回確認しているのは、3点の着手日と完了予定日を1枚のガントに落とす作業だ。Excelでも紙でもいい。可視化すること自体がリスクヘッジになる。


認定こども園・小規模・家庭的保育──適用範囲を1枚で頭に入れる

告示第9号は、保育所だけを対象にしているわけではない。認定こども園、幼稚園、小規模保育、家庭的保育、事業所内保育、居宅訪問型保育、満三歳以上限定小規模保育。この8類型をひとつの告示で扱っている。だから、運営している施設類型ごとに 「自分はこの告示のどの章を読むのか」 を最初に決めないと、迷子になる。

私のおすすめは、A4一枚に施設類型と読むべき章をマトリクスで書き出しておくことだ。地味だが、これがあるかないかで通知改正のたびのリードタイムが全然違う。理事長との会話も「あの章はもう読んだ」「この章だけ確認中」と単位で進むようになる。

ちなみに、複数類型を運営している法人ほど、この一枚は経営者の手元に必要だ。理由は、改正がいつも全類型に同じ重みで来るわけではないからだ。ある年は認定こども園周りだけ動き、ある年は小規模保育の単価が動く。各類型を持つということは、その分だけ通知の読み込み量が増えるということでもある。マトリクス1枚は、そのコストを下げる素朴な投資だ。

うちが事務長アウトソーシングで入ったある社会福祉法人で、最初の打ち合わせで作ったのもこのマトリクスだった。3類型あって、それぞれ告示の章が違う。整理してホワイトボードに貼ったら、理事長が「これ、今までずっと頭の中だけでやってたわ」と笑っていた。可視化したものは、引き継ぎができる。頭の中のものは、引き継げない。


今週中に着手すべき優先順位3つ

長く書いてしまった。最後に、月初の今週、何から手を付けるか。順番だけ置いておく。

  1. こども家庭庁の公定価格ページをブックマークし、告示本文と単価表のURLを園内マニュアルに登録する。これが起点だ。
  2. FAQ第31版を運営担当と一緒に通読し、自園に関係する設問の番号だけリスト化する。差分管理の土台になる。
  3. 3月31日付の委託費経理通知と、4月8日付の処遇改善等加算通知を、経理担当・処遇改善担当に「読む宿題」として割り当てる。読んだ証跡(通知本文と確認日付)をフォルダに残す。

派手な改定ではない。ただし、運用解釈が一段動いた年は、地味な差し戻しが2〜3か月遅れで効いてくる。月初の30分でこの3つだけ片付けておけば、夏の請求業務がだいぶ軽くなる。それが今日伝えたかったことだ。

最後にもう一点だけ。公定価格まわりの改定は、経営者がひとりで全部読む必要はない。けれど、誰がどの章を読むかを決めるのは経営者の仕事だ。読む人と読む章を割り当てる。読んだ証跡を残す。その2つだけ意識すれば、来年の今頃、この告示第9号の差分がすっと頭に入ってくる。

夏の照会で電話が鳴る前に、今週、4通を並べておきたい。

うちは保育法人のクライアントには、毎年この月初の作業を「6月のクラシック」と呼んでいる。地味だ。けれど、これを毎年回せている法人は、3年後にバックオフィスの空気が明らかに静かになる。経理担当の表情を見れば分かる。改定の話を聞いて、無意識に身構える人と、淡々と「今年はあの章ですね」と言える人。3年で別人になっている。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。最新の通知や差し替え情報は、こども家庭庁の公定価格ページで都度ご確認ください。


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