認可外保育施設の指導監督基準が改正──令和8年4月の3変更点

「都道府県から何も言ってこなかったから、うちはまだ大丈夫」── この認識は、令和8年4月2日以降は通用しない。 こども家庭庁は同日付(こ成保第317号)で、認可外保育施設の指導監督基準を改正した。5月14日にはウェブ上の掲載資料も差し替えられている。改正内容は3点。どれも「知らなかった」では済まない話だ。

「何も言ってこない」は改正がない証拠ではない

令和7年(2025年)に児童福祉法等の一部を改正する法律(令和7年法律第29号)が成立した。この法律の主な柱の一つが、保育士資格のカテゴリ整理だった。

なかでも影響が大きかったのが、国家戦略特別区域限定保育士という制度の再編だ。

「特区限定保育士」は国家戦略特別区域内でのみ認められていた保育士資格の特別カテゴリで、規制緩和の一環として設けられていたものだ。令和7年の法改正で、この仕組みが法律上は廃止・再編された。

しかし、既にこの資格を持って働いている人たちはどうなるのか。そこに経過措置が設けられ、認可外保育施設の指導監督基準上でも「保育士」の定義を整合させる必要が生じた。それが今回の第2次改正の背景だ。

都道府県からの通達が届く前に、施設側が把握しておくべき内容がある。3点のうち、最初の変更が最も多くの施設に影響する可能性がある。


変更点1:職員台帳の「保育士」カウント方法が変わった施設がある

改正後の指導監督基準では、国家戦略特別区域(旧事業実施区域を含む)内の認可外保育施設を対象に、「保育士」の定義が拡張された。

具体的には、次の2区分が「保育士と同等に扱える職員」として明示追加された。

  • 地域限定保育士(児童福祉法第18条の29に規定)
  • 旧・国家戦略特別区域限定保育士(令和7年法律第29号の附則第15条による経過措置に基づく)

要は「旧制度の資格でも、経過措置の範囲内であれば有効に使える」という整理だ。これ自体は施設に不利益な変更ではない。

ただし、自施設が国家戦略特別区域内またはかつて特区に指定されていたエリアにある場合は、現在在籍する職員の資格区分を台帳で確認しておく必要がある。経過措置の期間中に異動や退職が生じると、配置基準上の資格要件を満たせなくなるリスクがあるからだ。

うちのクライアントにも、旧特区エリアで認可外を運営している施設がある。先週この話をしたら「旧特区の話が出てくるとは思わなかった」と言っていた。見落としやすい部分だ。


変更点2:「古い書式で出した」が一番痛い場面で起きる

認可外保育施設の指導監督基準には、事故発生時の報告手順について「別途定める通知に従う」という形で参照先が記載されている。

今回の改正で、この参照先が変わった。

  • 改正前:「教育・保育施設等における事故の報告等について」(令和5年4月1日 こ成安第2号
  • 改正後:「教育・保育施設等における事故の報告等について」(令和8年3月30日 こ成安第45号

参照先の通知が変わったということは、事故報告の様式や手順に何らかの変更がある可能性が高い。

具体的に何が変わったかは、こども家庭庁の通知ページから最新版(令和8年3月30日 こ成安第45号)を入手して確認してほしい。少なくとも「今使っている事故報告書が最新版かどうか」は、今週中に確認すべきだ。

施設長として絶対に避けたいのは、いざ事故が起きたときに古い書式で報告を出してしまい、「様式が違う」と都道府県から差し戻されるパターンだ。心理的に最も消耗するタイミングで余計なミスが重なる。


変更点3:委託スタッフの配置カウント、今すぐ確認すべき理由

3点目は、やや細かい文言の修正だ。

職員配置記録に関する規定の中に、「複数の保育従事者を雇用又は委託していない場合に限る」という一文があった。これが改正後は「複数の保育従事者を雇用していない場合に限る」と変わった。

「委託」が削除された。

この変更の実務的な意味は、業務委託(フリーランスのベビーシッターや外部スタッフとの業務委託契約)だけで職員配置を満たしている施設に影響が出る可能性がある。

正直、まだ都道府県の解釈が出そろっていない部分もある。自施設が委託ベースのスタッフを職員配置にカウントしているなら、こども家庭庁の認可外保育施設ページを確認のうえ、管轄の都道府県担当課に確認を取っておくことを勧める。


変わっていない数字を「今」確認することに意味がある

今回の改正は「定義・参照・文言」の整備が中心で、職員配置の数値基準や面積基準は変わっていない。改めて確認しておく。

職員配置(6人以上の施設の場合):

  • 乳児(0歳):概ね3人につき1人以上
  • 1・2歳児:概ね6人につき1人以上
  • 3歳児:概ね20人につき1人以上
  • 4歳以上:概ね30人につき1人以上
  • 原則として常時2人以上(開所が11時間を超える場合も含む)

資格要件:保育従事者のうち概ね1/3以上が保育士または看護師であること。

保育室面積:乳幼児1人当たり1.65㎡以上

これらの数字は変わっていない。ただし、変更点1の「保育士定義の拡張」により、「誰を保育士としてカウントできるか」のカウント方法が一部施設で変わる可能性はある。特区エリアの施設は要確認だ。


今週中に確認しておきたい3つのこと

整理すると、今週中にやっておくべきことは3点に絞られる。

  1. こども家庭庁の通知ページで最新の指導監督基準(令和8年4月2日版)を入手する
    こども家庭庁 認可外保育施設に関する通知・事務連絡等 から新旧対照表も含めてダウンロードする。改正前後で何が変わったかを自分の目で確認する。
  2. 事故報告の様式を令和8年3月30日版(こ成安第45号)に差し替える
    同ページの関連書類から最新の事故報告様式を確認。古い書式が施設内で使い回されていないかをチェックする。
  3. 自施設が旧特区エリアに該当するか確認し、該当する場合は職員台帳を見直す
    国家戦略特別区域の指定履歴は内閣府のウェブサイトで確認できる。旧事業実施区域内の施設は、地域限定保育士・旧特区限定保育士の資格区分を台帳上に正確に記録しておく。

3つとも、1時間かからずできる作業だ。改正通知が5月14日にウェブ掲載されたばかりで、指導監査の現場にまだ反映されていない都道府県もあるかもしれない。先手を打っておく価値はある。

保育の指導監督、「何か言ってきたら動く」では遅い業界になってきた、と思う。そうなっていない人は、このタイミングで一度見直してみてほしい。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。各ページの内容は随時更新されます。最新情報はこども家庭庁のウェブサイトでご確認ください。


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