令和8年度 施設基準届出 6月1日必着の7つの落とし穴

もしあなたの施設がまだ令和8年度の施設基準届出を手つかずにしているなら、今週中に動いた方がいい。 6月1日が必着期限だ。「消印」ではなく「厚生局に届いた日」が基準になる。 郵便が遅れたとしても、それは言い訳にならない。

「必着」の意味を取り違えている施設が、毎改定周期で出てくる

令和8年度診療報酬改定にともなう施設基準届出の受付期限は、2026年6月1日の必着だとGemMed(2026年4月確認)が報じている。「必着」という言葉、意外と誤解が多い。消印有効との混同が、毎改定周期で繰り返される。

消印有効なら「6月1日の最終郵便に間に合えばいい」という話になる。だが必着の場合、その日に厚生局の窓口または担当部署に実際に到着していなければアウトだ。週末をはさむ郵便遅延、連休の配達遅延、いずれも免責にはならない。

もう少し実務的に言うと──届出が遅れた月は、その施設基準が算定できない。点数によっては月数十万円単位の減収になる。「ポスト投函した」では守られない。

なお、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定ページ(2026年4月25日確認)では混雑回避のために5月18日までの提出を推奨している。6月1日に間に合わせようとするより、5月18日を目標にした方がバッファが生まれる。


5月7日より前に送っても、受け取ってもらえない

受付開始日は2026年5月7日だ。これより前に郵送した場合、受理されず返戻される可能性がある。「早めに動いて損なし」という感覚でゴールデンウィーク前に送ってしまう施設が、毎改定で数件は出てくる。うちのクライアントでも2024年改定の際にこれをやらかした事務長がいた。あの顔は今でも覚えている。

スケジュールをまとめると以下のとおりだ:

  • 2026年5月7日(木)── 受付開始
  • 2026年5月18日(月)── 厚労省の推奨提出期限(混雑回避)
  • 2026年5月25日(月)── 電子申請の受付開始(対象項目が113→324に拡大)
  • 2026年6月1日(月)── 必着期限

電子申請は5月25日からとなっている。紙で出すより確認がしやすい施設もあるが、電子申請だからといって前日夜に出せばいいという話でもない。送受信エラーや手続きミスのリスクを考えると、電子申請でも5月28日までには出し終えておく方が安全だと私は思う。


「届出直し」「経過措置」「新規届出」──3つを混同すると算定が止まる

今回の改定で多くの施設が頭を抱えているのが、この3分類の仕分けだ。

  • 新規届出:今回の改定で新設された施設基準に初めて届け出る
  • 要再届出(届出直し):既存の施設基準が改定により要件変更され、改めて届出が必要なもの
  • 経過措置:旧要件のままでの暫定算定が認められているもの(期限あり)

「うちは去年も出したから今回はそのまま使える」という思い込みが事故を生む。要再届出に該当する項目は、旧届出では算定継続できない。経過措置が適用される項目を届出直しと勘違いして慌てて書き直し、かえって手続きが増えるケースもある。

確認方法は一つ。厚労省が4月20日に配布した事務連絡(施設基準届出チェックリスト)を施設ごとに照合することだ。このチェックリストは病院・医科診療所・歯科診療所・薬局・訪問看護の5種別に分かれており、全日本病院協会のサイト経由で確認できる(2026年4月25日確認)。Excel形式なので施設単位で自施設に当てはまる項目だけを抽出しやすい。


添付書類「○○のわかるもの」で詰まる施設が後を絶たない理由

届出様式の「添付書類」欄には「○○のわかるもの」という記載がよく登場する。これが厄介だ。

「勤務実績のわかるもの」「研修修了のわかるもの」──これを誰が読んでも同じ書類を出してくれると思っているのか、と言いたくなる。実務的には以下の通りだ:

  • 「勤務実績のわかるもの」→ 勤務表のコピー(通常は3か月分)か雇用契約書+出勤簿の組み合わせ
  • 「研修修了のわかるもの」→ 修了証のコピー、照合可能な発行元の修了者リスト等
  • 「実績のわかるもの」(手術件数・退院患者数等)→ 直近3〜6か月のリアルデータ。電子カルテの集計結果でも可だが、印刷・押印のルールは厚生局によって異なる

正直に言うと、これは届出様式だけ読んでも正確には分からない。厚生局に電話確認するか、改定通知の本文(告示・通知)を直接読むのが唯一の確実解だ。様式の注意書きを読んで「多分これでいい」で出した結果、不備返戻が来て再提出──というのが最も時間を無駄にするパターンだ。


受付印をもらっても「算定できる」とは別の話──届出制の本質

施設基準は「届出制」であって「承認制」ではない。これを混同している施設がある。

厚生局に届出書類を提出し、受付印を押してもらったとする。これは「書類を受け取りました」という意味であって、「その施設基準を算定していいですよ」という承認ではない。届出の内容が実態と一致しているかどうかは、あくまで施設側の責任だ。

実態が要件を満たしていないまま算定を続けた場合、監査でそれが発覚すると過去にさかのぼった返還請求が発生する。受付印があっても免責にはならない。この点については、元厚生局審査課長のコラムでも明確に指摘されている。

届出を出す前に、自施設が本当に要件を満たしているかを確認する。満たしていない項目は出さない。この当たり前のことが、改定後の忙しさの中で飛ばされやすい。


算定中の施設基準を「棚卸し」しているか

毎年、うちのクライアントで一番多いのは、取れる点数を取っていないケースだ。それと同じくらい多いのが、取れなくなった点数を取り続けているケースだ。

施設基準には人員配置要件がある。看護師の配置比率、特定の研修を修了したスタッフの有無、退院支援の実績、手術件数──これらは日々変動する。改定前に満たしていた要件が、スタッフの退職や異動によって現時点では満たせなくなっている可能性がある。

4月20日に厚労省が配布したチェックリストには、こうした「算定中項目の棚卸し」を促す構造が含まれている。紙で出してそれきりにしている施設ほど、現状と乖離が生じやすい。

あと、細かいが見落とされやすいのが自施設の控え(副本)の保管だ。厚生局は提出書類の原本を返却しない。自分でコピーを取っておかないと、監査で「提出した証拠」を示せなくなる。副本を管理している施設の事務長を私はそんなに多く見ていない。


4月24日通知:ベースアップ評価料の施設基準届出が今回の追加ポイント

4月24日、厚労省から「ベースアップ評価料に係る施設基準の届出について(周知)」という事務連絡が出た。厚生労働省の令和8年度診療報酬改定ページ(2026年4月25日確認)に掲載されている。

ベースアップ評価料は、令和6年度改定で新設されて以来、算定していない施設も多い加算だ。今回の届出サイクルで改めて検討する価値がある。要件を満たしているかどうか確認する際は、この4月24日付けの通知も参照してほしい。

施設基準届出の準備は、「期限が来たら書類を集める」という作業ではない。要件の把握、実態確認、書類収集、添付書類の精査、提出前の副本作成──このプロセスを6月1日から逆算すると、動き出しは5月上旬では遅い。今週末から動いても、ちょうどいいくらいだ。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度内容は随時更新されるため、最新情報は厚生労働省の公式ページをご確認ください。


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