介護職員 25万人不足──施設経営者が今やる採用3点【2026】

25万人。これが2026年度に足りなくなる介護職員の人数だ。

厚生労働省が令和6年7月に公表した第9期介護保険事業計画の必要数で、年6.3万人ずつ採れて初めて埋まる規模である。

今日は、施設経営者が今月から動かせる採用3点に絞って書く。


25万人不足。何が起きているのか

厚労省の公表値はシンプルだ。2022年度の介護職員は215万人。2026年度に必要なのは約240万人。差し引き25万人が足りない。2040年度には272万人必要で、不足はおよそ57万人まで膨らむ(第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について)。

年6.3万人。これを毎年、全国で純増させ続けて、ようやく2026年度の必要数に届く。私はうちで採用支援のクライアントを抱えていて、現場の数字感覚でいうと、この純増ペースはかなり厳しい。ハローワークと求人媒体だけで設計図を引いている施設は、まず届かない。

もう一つ、見落とされやすい数字がある。第37回介護福祉士国家試験の合格者は58,992人、合格率78.3%だ(第37回介護福祉士国家試験合格発表について)。受験者は7万5千人台。これが介護福祉士という資格の年間補充ラインで、合格者すべてが現場に出るわけでもない。

数字を眺めても何も始まらない。経営者目線で動かせる順に整理する。


1点目:辞めさせない設計に、求人広告より先に投資する

令和5年度の介護労働実態調査では、介護職員と訪問介護員を合わせた離職率は13.1%だった(介護労働実態調査|介護労働安定センター)。介護職員単独でも12.8%。これは調査開始以降の最低水準で、全産業平均をすでに下回っている。

つまり業界全体としては、離職率は下がってきている。下がっているのに、なぜ現場の感覚は楽にならないのか。母数の介護職員自体が増えていないからだ。出ていく人は減ったが、入ってくる人がそれ以上に減れば、現場の手は薄くなる。

同じ調査で、採用が上手くいっている理由の1位は「職場の人間関係がよいこと」62.7%、2位は「残業が少ない、有給休暇をとりやすい、シフトがきつくないこと」57.3%だ。求人媒体の見栄えではなく、入ってからの体験が採用力の中心になっているということ。

うちのクライアントの介護施設のA理事長は、求人広告を増やす前に、まず「夜勤明けの翌日連勤を3か月ゼロにする」という1点を半年回した。離職が止まり、紹介経由の応募が回り始めるのに半年弱。広告費を1度ゼロにしても応募が止まらないところまで来た。

順番が大事だ。広告に金を入れるのは、辞めない設計が回ってからでいい。

そして次の盲点は、採れる人を絞り込みすぎていることだ。


2点目:採用ターゲットを「無資格・中高年・外国人」まで広げる

厚生労働省は介護人材確保対策の柱として、処遇改善のほかに「多様な人材の確保・育成」「外国人材の受入環境整備」を明示している(介護人材確保に向けた取組について|厚生労働省)。資格職に閉じた採用設計のままでは、25万人ギャップは構造的に埋まらないという読み方ができる。

具体的に動かす先は3つある。

  • 無資格・未経験のミドル層。子育てが一段落した40〜50代を介護助手から育てる導線。介護職員初任者研修の費用補助とセットにする。
  • セカンドキャリアのシニア層。週3〜4日の短時間勤務枠を初めから求人票に書く。フルタイム前提だと取りこぼす。
  • 外国人材。EPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」の4制度がある。施設の規模と日本語教育の体力で、どこから入るかを決める。

うちの別のクライアント、住宅型有料老人ホームのB事業者では、3年前から特定技能1名を受け入れている。生活サポートの初期コストは確かにかかった。ただ、定着率は日本人スタッフより高く、結果として求人広告費は2割落ちた。1人目を入れるまでが一番重い、というのが現場の率直な感想だ。

ここまでは攻めの話。最後の1点は守りの話になる。


3点目:処遇改善加算の取りこぼしを潰す

厚労省の対策5本柱の1番目は「介護職員の処遇改善」だ。処遇改善加算は2024年度から区分が再編されて、上位区分(加算I)を取れるかどうかで、職員1人あたりの月額に明確な差がつく構造になった。届出を出していない、出しているが上位区分を取れていない、というだけで採用競争力は落ちる。

うちが入ったある通所介護のC事業者は、加算IIで止まっていた届出を加算Iに上げるだけで、職員1人あたり月額の手取りベースが目に見えて変わった。書類仕事はキャリアパス要件と職場環境等要件の組み立てが中心で、ゼロから整える施設には半年見ておきたい。逆にいえば、半年で月額が上がる打ち手は、現場ではここまで明確なものは少ない。

取りこぼしが多いのは、職場環境等要件の「6区分のうち3区分以上」というカウントだ。すでに実施している取り組みが要件に該当しているのに、書類に書ききれていないだけで取れていない事業所を、私はこの1年で何件も見た。

採用広告に月10万円突っ込む前に、まず処遇改善加算の届出書類を1度開く。順番はこれでいいと思う。


数字に振り回されず、今月の1手を選ぶ

25万人という数字は、全国の必要数の話だ。あなたの施設で必要なのは、求人票1枚と、辞めない3か月と、加算届出1通かもしれない。

うちでは介護施設のバックオフィス代行から、処遇改善加算の届出代行、求人媒体の運用まで横断で動かしている。25万人の数字に押されて何から手を付ければよいか迷ったら、相談してもらえれば現場の優先順位から一緒に整理する。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。各機関の最新情報は公式サイトでご確認ください。


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