訪問看護のオンライン診療補助、介護報酬で算定できる3パターン──Vol.1501の請求ルール全解説

「D to P with Nって介護報酬で算定できるんですか。どうやって請求すればいいのか、わからなくて」──先週、訪問看護ステーションを運営するクライアントの管理者から連絡がきた。令和6年度の診療報酬改定でD to P with Nのモデルが整備されたとき、診療報酬側の算定は整理された。介護報酬側の取り扱いは、ずっと宙に浮いていた。 厚生労働省が2026年5月8日付で発出した介護保険最新情報Vol.1501が、その空白を埋めた。

D to P with N とは何か ── なぜ今、介護報酬側の整理が必要だったか

D to P with NはDoctor to Patient with Nurseの略だ。医師がオンラインで患者を診察するとき、患者の隣に看護師が同席して診療を補助するモデルを指す。血圧測定や症状観察を看護師がその場で行い、医師はリモートから指示を出しながら共同で診療にあたる。在宅療養中の患者に、通院なしで質の高い診療を届けることができる。

令和6年度の診療報酬改定でこのモデルが明確に位置づけられたが、そのとき整理されたのは医療保険側の算定だった。訪問看護ステーションが介護保険で請求するケース、つまり要介護認定を受けた利用者へのD to P with N補助について、介護報酬での算定方法は「Q&A待ち」の状態が続いていた。

Vol.1501はその答えをQ&A形式で3パターンに整理し、全国の自治体に周知徹底を求めたものだ。なお今回の算定方法は、次回の介護報酬改定(2027年度)までの暫定的な取り扱いとして示されている。


パターン① ── 計画外の訪問でオンライン診療を補助した場合(月1回上限)

訪問看護指示書の期間内であっても、訪問看護計画に入っていないタイミングでD to P with Nが必要になることがある。急変対応や、医師から「今日そちらに行って診療補助をお願いできますか」と依頼が入るケースがこれに当たる。

このパターンでは、以下の単位数を月1回に限り算定できる。

  • 訪問看護費(20分未満)
    訪問看護ステーション:314単位 / 病院・診療所:266単位
  • 介護予防訪問看護費(20分未満)
    訪問看護ステーション:303単位 / 病院・診療所:256単位

1単位10円で計算すると、ステーションなら314単位=約3,140円。算定条件が整えば、計画外の訪問1件につきこの額が立つ。月1回上限と暫定措置である点は押さえておく必要がある。


パターン② ── 計画済みの訪問看護と組み合わせた場合

あらかじめ訪問計画に組み込まれた訪問看護の提供中に、オンライン診療の補助も行うケースだ。たとえば「30分の計画訪問をしながら、途中で医師のオンライン診療補助も15分行った」という状況がこれに当たる。

算定の考え方はシンプルで、訪問看護の時間とオンライン診療補助の時間を合算し、その合計時間に対応する時間区分の単位数を算定する。上の例なら合計45分として対応区分の単位数を請求する形だ。

実務上ポイントになるのは記録だ。「オンライン診療補助を何分行ったか」を記録に残さないと、合算の根拠が消える。既存の訪問看護記録にオンライン診療補助の時間記録欄を追加するか、補足様式を準備しておく必要がある。


パターン③ ── 訪問看護指示書がない利用者へのオンライン診療補助

在宅療養中や緊急時など、訪問看護指示書が交付されていない利用者を対象にするケースだ。医師の判断のもと、本人の同意を得てオンライン診療を補助する場面がこれに当たる。

このパターンでは、介護報酬ではなく診療報酬側で算定する。医療機関が「訪問看護遠隔診療補助料」(診療報酬)を算定し、訪問看護事業所との間で費用を精算する仕組みになっている。

訪問看護事業所として介護報酬の請求は発生しない。医療機関との事前の費用精算合意が実務の前提になるため、連携協定書や覚書でルールを固めておくことをすすめる。


今すぐ準備しておくべき3点

Vol.1501は5月8日発出で、6月算定分からの適用となる。対応できているかどうかで、算定機会の有無が分かれる。

  1. 時間記録フォーマットの整備
    パターン①②いずれも、オンライン診療補助の実施時間が請求の根拠になる。訪問看護記録に時間記録欄を追加するか、専用の補足様式を作っておく。
  2. 連携医療機関との事前合意
    パターン③は医療機関が算定する側になる。費用精算のルールを口約束で済ませると後でもめる。今月中に覚書に落とし込んでおく方がいい。
  3. 3パターンの振り分けフロー作成
    「指示書あり・計画外→パターン①、計画内→パターン②、指示書なし→パターン③」。このフローを1枚にまとめて管理者・ケアマネが即座に判断できるようにしておく。

うちのクライアントでも、Vol.1502(協力医療機関連携加算の緩和)が出たときと同様、「通知は知っていたけど実務の手が追いついていなかった」という事業所が半数近くあった。制度の恩恵は、準備した事業所だけが受け取れる。

この記事はパターンごとの実務フローを確認するときに役立つ内容なので、ブックマークしておくと後から参照しやすい。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度内容の最終確認は厚生労働省の原文またはお近くの指定権者にお問い合わせください。


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