LIFE関連加算、2施設に1施設が取れない理由と5月移管への対応

50.0%。 これが、LIFE関連加算を「算定したいができていない」介護施設・事業所の割合だ。 厚生労働省が公表した調査で、未算定事業所の半数がそう答えた。「取っていない」ではなく「取れない」。この一文字の差が、経営に与えるダメージは小さくない。しかも、「取りたい」と思っているのに動けていないのだから、もどかしさだけが積み上がる。 5月11日、LIFEシステムが国保中央会に移管される。このタイミングで、そのデータをもう一度見ておきたい。

「2施設に1施設」が現実だという数字の重さ

LIFE(科学的介護情報システム)の関連加算を巡る調査で、未算定事業所・施設738件の回答がこうなった。

  • 「算定したいが課題があり算定できていない」:50.0%
  • 「算定したいと思わない」:26.6%
  • 「算定する予定」:21.5%

算定事業所4,324件と未算定738件が対象で、調査は昨年9月から11月にかけて実施された(厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)に関する調査」)。

私が気になるのは「算定したいと思わない」の26.6%ではなく、50.0%の方だ。

詰んでいる、ではない。入口まで来ている。

「取りたいけど取れない」は諦めとは違う。何が詰まっているのかを特定できれば動かせる可能性がある。一方、何も変わらなければ今後も算定できないまま、競合施設との加算格差だけが月を追うごとに開いていく。介護報酬上、算定施設と未算定施設では評価の積み上がり方が違う。時間の問題は、金の問題でもある。

制度設計上、LIFE関連加算は取り組みの質を評価するための仕組みだ。しかし現場にとってはまず「記録」と「入力」という実務の問題として立ちはだかっている。ここが詰まっている間は、議論が空転し続ける。


実務負担が算定を阻む3つの壁──なぜ担当者は「できない」と言うのか

同調査でLIFEを利用しない理由として挙げられたのは、以下の通りだ(介護ニュースJoint 2026年4月22日)。

  • アセスメントの負担
  • システム入力の負担
  • 情報集約の負担
  • 「複雑で理解できない」「手順がわからない」「意義を理解できない」

私の経験から言うと、この4番目がいちばんやっかいだ。

「意義がわからない」という状態でアセスメントシートを埋め続けるモチベーションは続かない。担当者が「なぜこれをやるのか」を腹落ちしていないと入力は後回しになり、後回しになると期日が近づき、焦った状態で入力した情報の質は落ちる。質が下がると加算の意味が薄れる。この連鎖は、経営者が「やれ」と言っても止まらない。

うちのクライアントの介護施設のA理事長は昨年、このループを3か月かけて切った。切り方は一つだった。担当者に「LIFEのデータで、自分たちの施設の何が見えるようになるか」を実際に見せた。算定のための入力ではなく、自施設の状態把握ツールとして再定義した瞬間に、現場の動きが変わった。

正直、その施設の担当者は「今まで何のためにやってたんですか」と言った。気持ちはわかる。

実務負担の問題は、ツールの設計よりも「意味の設計」が先に来る。意味が整理されないままシステムだけ整備しても、入力は止まる。

そして、まさにそのシステムが今月大きく動く。


5月11日、LIFEが移管される──今週押さえる4つのポイント

厚生労働省は4月21日、LIFEの運営主体を国保中央会へ移管することに伴うQ&Aを公表した(介護ニュースJoint 2026年4月21日)。5月11日から新システムが稼働する。施設が今週確認すべきポイントはこの4点だ。

  1. 様式は変わらない:提出する様式情報に変更はなし。提出先が国保中央会に切り替わるだけだ。
  2. 3か月ごとの提出頻度の起算点は旧システムの最終提出月:新システムに切り替わったからといって、カウントがリセットされるわけではない。
  3. 既存利用者は新規申請不要:移行作業を終えれば、改めて新システムで利用申請をやり直す必要はない。既存で利用していた施設は、移行手続きのみで継続できる。
  4. 移行作業月のデータは全員分を再提出:ここは見落としが起きやすい。移行作業を行った月のサービス提供分については、旧システムで一部を提出していても、新システムで改めて全員分を提出し直す必要がある。

なお、旧システムへの新規利用申請は4月22日19時でいったん締め切られている。新規でLIFEを始める場合は、5月11日以降に新システムで申請することになる。

移行期間は7月末まで。電子証明書の取得や利用者情報の再登録などの手続きが必要になるため、余裕を持って動き出すに越したことはない。


算定を止めた施設が今週動き出すための最初の一手

50%の壁を乗り越えた施設に共通しているのは、「全部一度にやろうとしなかった」ことだ。

アセスメント、入力、フィードバック、研修。全部揃ってから始めようとすると、永遠に始まらない。実際に算定に漕ぎ着けた施設のほとんどは、まず「入力する人」と「意味を語れる人」を一人ずつ作ることから始めている。

5月11日のシステム移管は、ある種の「仕切り直し」だ。システムが変わる時期は担当者も「何か変わる」という感覚になりやすい。逆に言えば、移管が完了して落ち着いたあとに動こうとすると、また同じ惰性に戻る。窓が開いている間に動く。それだけの話だ。

最初の一手は単純だ。今週中に「自施設のLIFE移行作業をいつやるか」をカレンダーに入れる。日付が決まれば担当者は動ける。決まっていなければ、来月になる。来月になると、また先月と同じ状況になる。

LIFE加算は、取れた施設と取れなかった施設の差が積み重なるほど広がる仕組みだ。

今週が、分岐点じゃないか?


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出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度・通知の内容は今後変更される場合があります。最新情報は各機関の公式サイトをご確認ください。


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