令和8年度診療報酬改定「施設基準届出」、受付開始は5月7日——今月やること5ステップ

もしあなたがクリニックや診療所を運営しているなら、今月中に施設基準の棚卸しをした方がいい。令和8年度診療報酬改定は6月1日施行で、6月から加算を算定したければ届出の受付開始は5月7日(木)、必着は6月1日(月)だ。 ただし「5月になったら出せばいい」という感覚が、毎回失敗を引き起こす。今日の記事では、届出を詰まらせないための実務の流れを整理したい。

「6月1日から算定」に間に合うかどうかは、2つの日付で決まる

令和8年度診療報酬改定の本体(診療報酬点数)は令和8年6月1日から施行される(薬価改定などは4月施行の項目もあるが、診療報酬点数の大半は6月だ)。

施設基準の届出には明確な受付ルールがある。東海北陸厚生局の案内を直接確認したところ、次の2つの日付が全ての起点になっていた。

  • 受付開始日:令和8年5月7日(木) ── これより前には提出できない
  • 必着日:令和8年6月1日(月) ── 厚生局が受け取った日が基準(消印有効ではない)

「消印有効だろう」と勘違いして5月31日に出した書類が6月2日に届いた、というケースは毎改定で起きる。その場合、算定開始は7月以降になる。1か月の損失は、施設基準の種類によっては無視できない金額になる。

さらにもう1つ。東海北陸厚生局は「5月下旬以降は窓口が混雑することが想定されるため、可能な限り令和8年5月18日(月)までの提出にご協力をお願いします」と明示している(東海北陸厚生局・基本診療料届出一覧)。これは強制ではなく協力依頼だが、混雑期の郵送遅延リスクを考えると5月18日を目標にする方が合理的だ。

2つの日付の前に、もっと重要な問いがある。「自院は何を届け出るべきか」——この棚卸しに時間がかかるため、今月(4月)がその時間だ。


4月中にやること——「何を届けるか」の一覧化が先

施設基準の届出で詰まる理由は、たいてい「書類を書き始めてから、実は要件を満たしていないことに気づく」という手戻りだ。逆算すると、4月にやるべきことは書類作成ではなく、対象の洗い出しだ。

令和8年度改定では、以下の2種類の届出が存在する。

  • 「新規」届出 ── 改定に伴い新たに加算・施設基準が創設されたもの(今まで無かったものを新たに取りにいく)
  • 「要再届出」 ── 既存の届出項目の要件が改定で変更され、届け直しが必要なもの

見落としやすいのは「要再届出」の方だ。今まで問題なく算定してきた加算が、改定後も継続算定するために届け直しが必要になっているケースがある。知らずに6月以降も算定し続けていると、後日の審査でアウトになる。

東海北陸厚生局の届出一覧ページでは、施設基準ごとに「新規」「要再届出」のフラグが付いている。まず自院が現在届け出ている施設基準を書き出し、それぞれの改定後ステータスを確認するのが最初の一手だ(令和8年度診療報酬改定について|厚生労働省)。

次に確認すべきは、要件の変更に対して自院の人員配置や勤務実績が引き続き要件を満たすか、だ。改定で専従・専任の要件が変わることがある。「去年届け出たから大丈夫」という判断が危ない。


「消印有効」ではない——郵送で詰まる前に確認すること3つ

施設基準の届出は郵送が原則で、FAXは認められていない(東海北陸厚生局明示)。そして届出書が厚生局に到着した日が「受付日」になる。

郵送で詰まりやすいポイントを3つ押さえておく。

  1. 副本の返送がない ── 令和7年8月1日算定分以降、受付印付き副本の返送は行われていない。届出書の控えは自施設で保管が必要だ。郵送前に必ずコピーを手元に残すこと。
  2. 電話での到着確認に対応しない厚生局がある ── 「届きましたか?」と電話しても教えてもらえないケースがある。受理状況の確認は各厚生局のホームページで公開されている受理状況一覧で行う(九州厚生局の受理状況確認案内)。
  3. 追跡可能な郵送方法を選ぶ ── 「出した証拠」を残す意味で、特定記録郵便や書留を使う方が安全だ。普通郵便で出して届かないケースは毎回数件発生する。

うちのクライアントのC院長(内科診療所)から、昨年の改定後に「出したはずの書類が未受理になっていた」という電話をもらったことがある。原因は普通郵便での紛失だった。追跡ができないと、紛失しても気づけない。


電子申請が2026年から大幅に広がった——ただし注意点がある

2026年1月26日から、施設基準届出の電子申請対象が113項目から324項目に拡大された(近畿厚生局・電子申請・届出等システムについて)。

電子申請が使える項目であれば、郵送の紛失リスクがなくなり、到着確認も容易だ。令和8年度改定から新たに届け出る加算が電子申請対象に入っているなら、積極的に活用した方がいい。

ただし落とし穴が1つある。電子申請システムの利用登録が事前に必要で、ID発行や初期設定に時間がかかるケースがある。「届出の直前に電子申請しようとしたが、アカウントが取れていなかった」という失敗は珍しくない。

電子申請を使う予定があるなら、今月中にシステムの登録状況を確認しておくこと。初回は運用テストも必要になる。診療報酬改定のタイミングで初めて電子申請を使う場合は、4月のうちに登録まで終わらせておくのが現実的だ。

電子申請対象外の届出については引き続き郵送になる。「全部電子でいける」と思い込まないよう、自院の届出内容に対して電子申請が使えるかを個別に確認しておく必要がある。


5月7日以降の動き——「急いで出す」より「確認してから出す」

5月7日の受付開始と同時に届出を出そうとする施設が毎回一定数いる。気持ちはわかる。が、急いで出して「要件を満たしていなかった」と後から気づく方が痛い。

5月7日を「提出日」にするためには、遅くとも4月末には書類一式が完成している必要がある。逆算するとこうなる。

  • 4月中:届出対象の洗い出し、要件確認、根拠資料の収集
  • 4月末〜5月上旬:書類作成・院内確認・決裁
  • 5月7日〜18日:提出(5月18日を目標に)

正直に言う。この流れを把握してから動いている院長と、そうでない院長とで、毎改定のたびに差がつく。「うちは事務長がやってくれるから」という院長ほど、事務長が詰まっているのに気づかないまま5月末になっていることが多い。

今日の段階で事務長なり担当者なりに「今回の改定で何を届け出る予定か、棚卸しをしてほしい」と一声かけるだけで、動きがかなり変わる。それだけで十分だ。


出典・参考情報

※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度改正等により内容が変更される場合があります。最新情報は各厚生局・厚生労働省の公式ページをご確認ください。


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