2026年6月介護報酬臨時改定|処遇改善加算の変更点と4月15日までにやるべきこと
2026年6月に、介護報酬の臨時改定が施行されます。改定率は+2.03%。単なる定期改定ではなく、処遇改善加算の仕組みそのものが大きく見直される内容です。
「また加算の制度が変わるのか…」と感じた経営者・管理者の方も多いのではないでしょうか。しかし今回の改定は、正しく対応すれば月額最大1.9万円の賃上げ原資を確保できるという、事業所にとって大きなチャンスでもあります。
一方で、計画書の提出期限は2026年4月15日です。この期限を過ぎると、4〜5月分の加算が受け取れなくなるため、今すぐ動く必要があります。本記事では、2026年6月改定の主要変更点と、事業所として取るべき具体的な対応ステップを解説します。
2026年6月「臨時介護報酬改定」とは何か
2026年6月の改定は、通常の3年ごとの定期改定とは異なる臨時改定です。政府が推進する賃上げ政策の一環として、介護・医療・障害福祉など社会保障分野での賃金水準引き上げを目的としています。
改定率は全体で+2.03%。このうち処遇改善に関連する財源が中心を占めており、介護サービス事業者が加算をしっかり取得することで、職員への賃上げ原資を確保できる仕組みです。
臨時改定が行われる背景
近年、介護・福祉業界では深刻な人材不足が続いています。厚生労働省の調査によれば、介護職の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回る水準が続いており、賃金水準の低さが離職・採用難の一因とされてきました。今回の臨時改定は、こうした構造的な課題に対応するための措置です。
処遇改善加算の主な変更点3つ
変更点1:対象が「介護職員」から「介護従事者全体」に拡大
これまでの処遇改善加算は、主に介護職員を対象としていました。2026年6月改定では、対象範囲が介護従事者全体に広がります。
具体的には、看護職員・リハビリ専門職・相談員・管理栄養士・調理員・事務職員なども対象に含まれる方向で整理されています。これにより、施設全体の賃金水準を底上げしやすくなります。
対象拡大によって「誰に・いくら配分するか」の設計が複雑になるため、人事・給与体系の見直しを含めた準備が必要です。
変更点2:新区分(Ⅰロ・Ⅱロ)の新設
2026年6月改定では、生産性向上に取り組む事業所向けの新区分(Ⅰロ・Ⅱロ)が新設されます。
既存の区分(Ⅰ・Ⅱ)に加え、ICT活用・業務効率化・介護ロボット導入などの生産性向上の取り組みを行っている事業所は、上位区分の算定が可能になります。最大で月額1.9万円の賃上げに相当する加算額が確保できる場合があります。
ただし上位区分の算定には、生産性向上の取り組みに関する計画や実績の証明が必要となるため、単に申請するだけでは認められません。
変更点3:新規対象サービスの追加
今回の改定では、これまで処遇改善加算の対象外だったサービス種別にも加算が拡大されます。
| サービス種別 | 改定率(加算相当分) |
|---|---|
| 訪問看護 | 1.8% |
| 訪問リハビリテーション | 1.5% |
| 居宅介護支援(ケアマネ) | 2.1% |
これらのサービスを運営する事業所にとって、今回が初めての処遇改善加算対応となるケースもあります。手続きや計画書の書き方を一から確認する必要があります。
絶対に見落とせない:計画書の提出期限は4月15日
今回の改定で最も注意が必要なのが、処遇改善計画書の提出期限です。
2026年4月15日までに計画書を提出しないと、4月・5月分の加算が受け取れません。
介護報酬の改定は6月施行ですが、処遇改善加算については毎年度の計画書提出が必要で、今年度(2026年4月〜)分の計画書も例年通り4月15日が期限となっています。
さらに今回は制度改正を伴うため、新区分への移行を希望する場合や、新たに対象サービスとなった事業所は、従来と異なる内容の計画書が必要になります。
特例要件の活用
なお、生産性向上に関する取り組みが現時点では整っていない場合でも、「令和9年(2027年)3月末までに対応する」旨を誓約することで、上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)を算定できる特例要件が設けられています。
この特例を活用することで、生産性向上の取り組みを段階的に進めながら、先行して加算を受け取ることが可能です。ただし誓約した内容は実行が求められるため、計画的な取り組みが前提となります。
事業所が今すぐ取り組むべき3つのステップ
ステップ1:自施設の対象区分と加算額を試算する
まず現在取得している加算区分を確認し、2026年6月以降にどの区分が算定可能かを確認します。新区分(Ⅰロ・Ⅱロ)の要件を満たせるか、特例誓約で対応するかを判断します。
加算額の試算は、職員数・平均給与・サービス種別によって異なるため、事業所ごとの計算が必要です。
ステップ2:4月15日までに計画書を作成・提出する
計画書は都道府県または市区町村の介護保険担当窓口に提出します(事業所の指定を受けた自治体)。提出方法・書式は都道府県によって異なる場合があるため、事前確認が必要です。
計画書には以下の内容を記載します。
- 賃金改善の対象職種・人数
- 改善額の総額と配分方法
- 賃金体系・キャリアパスの整備状況
- 生産性向上の取り組み(新区分申請の場合)
書類の作成には一定の専門知識が必要であり、初めて対応する事業所では特に時間がかかります。
ステップ3:給与・勤怠システムの見直しを行う
処遇改善加算に基づく賃上げを実施すると、給与計算・勤怠管理・社会保険料の変更など、バックオフィス業務全体に影響が及びます。
特に、対象範囲が介護職員から介護従事者全体に拡大されることで、これまで処遇改善加算の対象外だった職員への給与改定が発生する場合があります。給与計算ソフトや勤怠システムが変更に対応できるか、事前に確認・整備しておくことが重要です。
本記事の内容は2026年3月時点の情報に基づいています。制度の詳細は厚生労働省の最新通知および各都道府県の介護保険担当窓口にてご確認ください。
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