ケアマネ処遇改善加算が6月に初創設、事業者が今動くべき3つの手順
なぜ今まで「0円」だったのか ─ 処遇改善加算の空白地帯
処遇改善加算は、介護職員の賃金を確実に引き上げるために設けられた仕組みだ。国が加算分を施設に支払い、施設がそれをスタッフの給与に転嫁する。原資は介護保険料と税金。つまり国が「ここに使ってください」と指定して支払うお金だ。
訪問介護や通所介護には、この仕組みが長年にわたって積み上げられてきた。最高加算率28.7%という数字は、それが複数回の改定を経て積み重なったものだ。
一方、居宅介護支援(ケアマネ事業所)は対象外に置かれてきた。理由はいくつかあった。「基本報酬でカバーできる」「直接介護ではない」といった整理が続いてきたのだ。しかし現実はどうか。ケアマネ不足は深刻化し、資格を持ちながら現場を離れる人が増えている。
この矛盾が、今回の令和8年度介護報酬臨時改定でようやく解消された。4月7日に成立した新年度予算を根拠に、6月から臨時改定が実施される。
2.1%の中身 ─ 「ケアプー」を使わないと取れない仕組みになっている
「2.1%か。少ないな」と感じた方もいるかもしれない。私もそう思った。しかし注目すべきは数字よりも取得要件の設計だ。
今回の処遇改善加算には、ケアプランデータ連携システム(通称「ケアプー」)の利用が特例要件として組み込まれた。これまでなかなか普及が進まなかったケアプーに対して、国が「取得と連動させる」というインセンティブを仕掛けたわけだ。補助金や加算と紐付けられた途端、導入を決断する事業所が急増している。
ケアプーとは、ケアプラン(介護サービス計画書)のデータを電子的に医療機関・サービス事業所間で連携するシステムのことだ。国民健康保険中央会が運営している。導入にはアカウント取得と月次費用が必要になる。
つまり、今回の2.1%を取るには:
- 処遇改善計画書(令和8年度)を作成・届出する
- ケアプランデータ連携システムを導入・運用する(特例要件)
- 加算算定後は毎年8月に実績報告書を提出する
この3ステップを踏まなければ、6月以降も「0円」のままだ。
今月中に動かないと間に合わない ─ 届出の締切と実務手順
「6月施行なら、5月末に動けばいい」と思っていないか。それが危険だ。
厚生労働省が公開した令和8年度介護報酬改定の通知では、処遇改善計画書の様式が「令和8年6月以降の加算の算定に係る様式」として提示されている。届出の受付は5月に始まる。早ければ早いほど確実だ。
うちのクライアントの介護施設では、毎年この時期に処遇改善加算の届出でバタつく。今年は改定の年だから、様式も変わる。昨年の書類をそのまま使い回すと確実に差し戻しになる。
今すぐやるべきことを整理すると:
- 処遇改善計画書(令和8年度版)のダウンロード:厚労省の令和8年度介護報酬改定ページから取得する(2,000行対応版も公開済み)
- 対象職員リストの整理:処遇改善加算の対象者・支給方法・金額を確定させる
- ケアプー導入の判断:特例要件を取るかどうか、事業所の体制と照らして決める
- 届出先の確認:管轄の都道府県・市区町村に対して書類を提出する
令和8年度の処遇改善加算についてはQ&A(第1版)も公開されている。不明点はこれを先に読んで、それでも解決しなければ管轄窓口に問い合わせることをすすめる。
28.7%に近づく日は来るのか ─ これからのケアマネ処遇を読む
「2.1%では焼け石に水だ」という声は現場から聞こえてくる。私もそう思う部分はある。しかし今回の創設には、もっと大事な意味がある。
「対象に入った」という事実が重要なのだ。
訪問介護の28.7%も、最初からその数字だったわけじゃない。数回の改定を経て積み上がった結果だ。ケアマネの処遇改善加算も、今回の2.1%がスタートラインになる。次の定期改定で積み上がるかどうかは、現場がこの加算を確実に取得して実績を積み上げるかどうかにかかっている。
国はデータを見ている。加算の取得率、賃金改善の実績、その後の離職率。これが「効果あり」と判断されれば、次の改定でさらに加算率が引き上がる。逆に取得率が低ければ、「必要性が薄い」と判断されかねない。
正直に言う。今回の2.1%は小さい。でも取らない理由にはならない。むしろ今月動かなかった事業所が、2年後に「あのとき届出しておけばよかった」と後悔する未来を、私は何件も見てきた。
ケアマネ不足に悩んでいるなら、なおさらだ。スタッフの給与が少しでも上がれば、定着率は変わる。2.1%でも、取るのと取らないのでは違う。
届出の締切は近い。今月中に動くのか、流すのか。それを決めるのはあなただ。
出典・参考情報
- 厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年4月)について(厚生労働省、確認日:2026年4月14日)
- 令和8年度介護報酬改定について(厚生労働省、確認日:2026年4月14日)
- ケアマネの処遇改善加算、6月からついに創設へ 2.1%に秘めた国の本音と施策の行方(介護ニュースJoint、2026年4月12日)
- 新年度予算が成立 介護報酬、6月から引き上げへ(介護ニュースJoint、2026年4月7日)
※ 上記リンクは掲載時点のものです。制度の詳細は必ず各省庁の公式情報をご確認ください。
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