IT導入補助金は終わった?2026年度 医療・介護のDX補助金
「IT導入補助金に応募しようとしたら、名前が変わっていた」——4月に入って、そんな問い合わせが相次いでいます。
2026年度から IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更 されました。制度は継続していますが、補助対象の拡充や申請要件の変更があり、昨年と同じ感覚で進めると思わぬ落とし穴に足をすくわれます。
申請受付はすでに始まっており、第1次締切は2026年5月12日です。電子カルテや介護ソフト、AI機能付きのバックオフィスツールを検討している施設にとって、今が動くべきタイミングです。
なぜ「IT導入補助金」から名前が変わったのか
経済産業省・中小企業庁は2026年度から補助金の名称を変更しました。その理由は、公式の告知に明示されています。「ITツール導入にとどまらず、より踏み込んだデジタル化推進及びAIの活用が重要であることを広く周知するため」です。
つまり、補助金の性格そのものが変わりました。単なる「業務ソフト導入の助成」から、AIを含むデジタル化全体の推進へと射程が広がったのです。電子カルテへのAI問診機能の統合、介護記録のAI自動入力、スタッフの勤怠管理AI最適化——こうしたツールが補助対象として想定されています。
制度の枠組みは従来と同じ5種類が設けられています:
- 通常枠:最大450万円、補助率1/2(最低賃金近傍事業者は2/3)
- インボイス枠(対応類型):最大350万円、補助率2/3〜3/4
- インボイス枠(電子取引類型):最大350万円
- セキュリティ対策推進枠:5〜150万円、補助率1/2〜2/3
- 複数者連携枠:200万〜3,000万円(業界団体・商工会主導)
医療・介護・福祉・保育施設が主に活用するのは通常枠とインボイス対応の枠です。
医療・介護施設は申請できるのか——対象条件と使えるツール
「うちは医療法人だけど申請できる?」という疑問を持つ経営者は多いです。結論から言えば、申請できます。
中小企業庁が公開した公募要領によると、医療法人・社会福祉法人は「常時使用する従業員の数が300人以下」であれば対象事業者に該当します。個人開業のクリニックや診療所も申請可能です。
対象となる主なツールは以下の通りです:
- 電子カルテ・レセコン(診療報酬請求ソフト)
- 介護業務支援ソフト(ケアプラン作成・記録管理・介護請求)
- AI機能付き問診・記録入力ツール
- クラウド会計・給与計算・勤怠管理ソフト(クラウド利用料は最大2年分)
- 予約管理・患者・利用者対応システム
- サイバーセキュリティ対策ツール(セキュリティ枠)
注意点として、対象ツールは「IT導入支援事業者」として登録されたベンダーが提供するものに限られます。どのクラウドサービスでも自由に申請できるわけではなく、補助金の登録事業者経由での導入が前提です。検討中のツールがあれば、そのベンダーが登録済みかを先に確認してください。
補助額シミュレーション——電子カルテ200万円を入れると実質いくら?
電子カルテの導入費用200万円を例に試算すると、以下のようになります:
- 通常枠(補助率1/2):補助額100万円 → 施設の実質負担 100万円
- 最低賃金近傍事業者(補助率2/3):補助額133万円 → 実質負担 67万円
クラウド型電子カルテのサブスクリプション費用(年間利用料)は最大2年分が補助対象です。初期費用と合算して申請できるため、ランニングコストも含めた実質負担は想定より大幅に抑えられます。
介護ソフト(ケアマネジメント・介護記録・請求一体型)の場合も同様に申請可能です。100万円規模のシステムなら、補助後の実質負担は50万円前後に収まる計算になります。
補助率が2/3に上がる「最低賃金近傍事業者」の要件は、公式サイトで詳細を確認できます。地域別最低賃金との比較で判定されます。
申請前に絶対やること——締切までの3ステップ
5月12日の第1次締切まで5週間余りです。今すぐ動かないと間に合わない準備があります。
① gBizIDプライムの取得(最優先)
申請はすべてオンラインで行われますが、gBizID(G-ビズID)プライムアカウントがなければ申請フォームにすら入れません。法人の場合、書類郵送による審査が挟まるため、取得完了まで数週間かかることがあります。まだ取得していない施設は今日中に手続きを始めてください。個人事業主(個人クリニック等)は即時発行される「エントリー」ではなく「プライム」取得が必要です。
② SECURITY ACTIONの自己宣言
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「SECURITY ACTION」で、「一つ星」または「二つ星」の宣言を行います。ウェブ上で数分で完了する手続きですが、宣言済みでないと申請が通りません。gBizID取得と並行して進めましょう。
③ IT導入支援事業者(登録ベンダー)の選定
申請は必ず登録ベンダー経由で行います。導入したいツールのベンダーが登録済みかを確認し、申請書類の準備を一緒に進めます。ベンダー側が申請サポートを提供しているケースが多いので、早めに相談することが採択率向上につながります。
5月12日に間に合わせるためのスケジュール感
第2次以降の締切も設定される予定ですが、採択率は締切が遅くなるほど下がる傾向があります。2025年度の通常枠採択率はおよそ34〜38%まで低下しており、早期に申請した方が有利です。
目安となるスケジュールは以下の通りです:
- 4月6日〜14日:gBizIDプライム申請 + SECURITY ACTION宣言
- 4月中旬:gBizID取得完了 → 登録ベンダーに連絡・相談
- 4月下旬〜5月上旬:申請書類の準備・ベンダーと共同で提出
- 5月12日:第1次締切
- 6月18日(予定):交付決定 → この通知が届くまで発注・契約・支払い厳禁
交付決定通知を受け取る前に発注・支払いを行うと、補助金は一切受給できません。「先に契約してしまった分はどうなりますか」という問い合わせは毎年多いですが、残念ながら遡っての補助は不可です。ここだけは注意してください。
出典・参考情報
- デジタル化・AI導入補助金2026 制度概要のお知らせ(中小企業基盤整備機構、確認日:2026年4月6日)
- デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(経済産業省 中小企業庁、確認日:2026年4月6日)
- デジタル化・AI導入補助金2026 公式ポータルサイト(中小企業基盤整備機構、確認日:2026年4月6日)
- 電子カルテ導入の費用負担を大幅軽減!デジタル化・AI導入補助金2026の対象や申請手順(ユヤマ公式コラム、確認日:2026年4月6日)
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