ケアマネ・訪問看護もついに対象に!2026年介護処遇改善加算の拡大と事業所が今すべき準備
ケアマネ・訪問看護もついに対象に!2026年介護処遇改善加算の拡大と事業所が今すべき準備
2026年6月、介護報酬の臨時改定によって、処遇改善加算の対象がこれまでの介護職員から大きく広がる。訪問看護師やケアマネジャー(居宅介護支援事業所)も対象に加わり、施設・事業所の種別を問わず「賃上げ対応」が求められる局面に入った。体制届出の期限は2026年5月15日が目安とされており、今動かなければ6月からの算定開始に間に合わない。本記事では制度変更の全体像と、事業所が今すぐ着手すべき準備を整理する。
2026年6月、なぜ「臨時」の介護報酬改定が行われるのか
介護報酬は通常3年に一度の改定サイクルで見直される。前回の改定は2024年度(令和6年度)に実施されたため、本来であれば次回は2027年度のはずだ。しかし政府は2025年末、介護分野の深刻な人材不足を受けて「期中改定(臨時改定)」を決定した。
改定の主眼は介護従事者全体の賃上げである。政府の経済対策では「介護職員の賃金は他産業との格差が依然として大きく、人材確保が困難な状況」と明記されており、補助金から報酬加算への制度的な移行を急ぐ形となった。改定率は全体でプラス2.03%。国費518億円を投入し、介護費全体で約2,072億円の増加が見込まれる。
施行スケジュールは2段階だ。処遇改善に関する加算の見直しは2026年6月施行、食費の基準費用額の見直しは2026年8月施行となっている。今回の記事が焦点を当てる「処遇改善加算の対象拡大」は前者、つまり6月施行のパートに該当する。
今回の改定で何が変わる?処遇改善加算の対象拡大ポイント
これまでの介護職員等処遇改善加算(以下、処遇改善加算)は、主に介護職員を雇用するサービス種別が対象だった。訪問看護事業所や居宅介護支援(ケアマネジャー)事業所は対象外とされており、同じ介護現場で働きながら「賃上げの恩恵を受けられない職種・事業所」が存在するという問題が長年指摘されてきた。
今回の臨時改定では、この「加算の空白地帯」が解消される。具体的には以下の3サービスが新たに処遇改善加算の対象に加わる。
- 居宅介護支援・介護予防支援(ケアマネジャー事業所)
- 訪問看護・介護予防訪問看護
- 訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション
賃上げの水準は月1万円をベースとし、生産性向上に取り組む事業所はさらに月7,000円の上乗せが受けられる。定期昇給(月2,000円)も含めると、最大で月1万9,000円の賃上げが実現する計算だ。
訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援(ケアマネ)の加算率は?
新たに対象となる3サービスは、それぞれ加算率が設定される。各率は介護報酬の算定単位数に対する割合であり、事業所の規模・収益に応じて受け取れる額が変わる。
- 訪問看護・介護予防訪問看護:1.8%
- 訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション:1.5%
- 居宅介護支援・介護予防支援:2.1%
算定要件としては、現行の処遇改善加算Ⅳの取得基準に準じたキャリアパス要件(Ⅰ・Ⅱ)と職場環境等要件の整備が必要になる。ただし、申請時点では「令和8年度中に対応することの誓約」を行えば算定開始が認められる見込みであり、完全な体制整備を待たずに届出を行うことが可能とされている。
なお、既存の介護職員を対象とする加算区分も引き続き適用されるため、介護職員と看護師・ケアマネジャーが混在する事業所では、それぞれの対象区分を正確に把握した上で届出を行う必要がある。
「生産性向上」で上乗せも 加算Ⅰロ・Ⅱロとは
今回の改定では、処遇改善加算に新たな上乗せ区分(加算ⅠおよびⅡの「ロ区分」)が新設される。ベースとなる月1万円の賃上げに加え、生産性向上や多事業所間の協働化に取り組む事業者は月7,000円の追加上乗せを受けることができる。
令和8年度に限った特例要件として、以下のいずれかを満たすことが必要とされている。
- 訪問・通所系サービス等:ケアプランデータ連携システムへの加入と実績報告
- 施設系サービス等:生産性向上推進体制加算(ⅠまたはⅡ)の取得と実績報告
- 全サービス共通:社会福祉連携推進法人への所属
ICTツールの導入状況やケアプランデータ連携の対応状況によって算定できるかどうかが変わるため、加算取得方針を決める前に現状の設備・システム環境を棚卸しておくことが重要だ。上乗せ加算を取りに行くかどうかの判断は、費用対効果を踏まえて管理者レベルで早期に決定しておきたい。
事業所が今すぐ動くべき 体制届出と準備スケジュール
2026年6月から処遇改善加算を算定開始するためには、届出期限を厳守する必要がある。現時点で示されているスケジュールは以下の通りだ。
- 体制届出期限:2026年5月15日(予定)
- 処遇改善計画書の提出期限:2026年6月15日(予定)
今が3月下旬であることを踏まえると、届出まで残り約7週間となる。特に今回初めて加算対象となる訪問看護・訪問リハ・ケアマネ事業所では、制度への理解・社内周知・賃金制度の見直し・書類準備を一から進める必要があり、時間的な余裕は少ない。
優先して着手すべき準備事項は大きく3点だ。第一に、自事業所が取得できる加算区分と加算率の確認。第二に、キャリアパス要件・職場環境等要件の自己点検と不足要件の洗い出し。第三に、賃上げ財源となる加算収入の試算と給与改定方針の決定だ。算定要件の誓約提出で6月算定が可能とはいえ、職員への説明・同意なしに賃金体系を変更することはできない。管理者・経営層が主導して、今月中に方針を固めておくことが肝要だ。
まとめ
2026年6月の介護報酬臨時改定(令和8年度期中改定)は、処遇改善加算の対象を介護職員から介護従事者全体に広げる歴史的な転換点となる。訪問看護師、訪問リハスタッフ、ケアマネジャーも賃上げ加算の対象に加わることで、介護・医療福祉業界全体の職員処遇改善に向けた動きが加速する。一方で、事業所にとっては体制届出・要件整備・給与制度の見直しなど対応事項が重なる時期でもある。施行まで3ヶ月を切った今、具体的な準備を1日でも早く始めることが、加算の確実な取得と職員定着につながる。
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