かかりつけ医機能報告制度 2026年度版|無床クリニックが対応すべき定期報告の全手順

令和7年(2025年)4月1日、改正医療法に基づく「かかりつけ医機能報告制度」がスタートしました。
制度開始から1年が経過した今、令和8年度(2026年度)の定期報告の時期を迎えています。

「制度が始まったのは知っているが、何を・いつ・どうやって報告すればいいのかわからない」
そんな声をクリニック院長・事務長の方々からよく聞きます。

この記事では、無床クリニックの経営者・管理者に向けて、かかりつけ医機能報告制度の基本から2026年度の定期報告の手順までをわかりやすく解説します。


かかりつけ医機能報告制度とは——なぜ導入されたのか

かかりつけ医機能報告制度は、令和5年(2023年)の医療法改正によって創設された制度です。

背景には、日本の医療体制における2つの課題があります。

  • 患者が「かかりつけ医」を持ちにくい環境:どの医療機関が継続的な医療を担っているのか、患者が判断する情報が不足していた
  • 急性期病院への外来集中:本来は地域のクリニックで対応できる疾患も大病院に患者が集中し、病床逼迫につながっていた

この制度により、各医療機関が自院の「かかりつけ医機能」を都道府県に報告し、その情報が患者に公表される仕組みが整備されました。患者は公開情報をもとに、自分のかかりつけ医を選べるようになります。

厚生労働省は令和7年6月27日付でガイドライン(第1版)を発出し、同年11月にはG-MISの操作手順動画も公開。全国のクリニックへの周知・対応が本格化しています。


対象医療機関と「かかりつけ医機能」2つの区分

対象となる医療機関

かかりつけ医機能報告制度の対象は、病床数200床未満の有床・無床の診療所・病院です。無床クリニック(無床診療所)はほぼすべてが対象となります。

なお、200床以上の病院も一部対象になりますが、制度の主眼はかかりつけ医としての役割を担う地域の中小診療所に置かれています。

「かかりつけ医機能」は2種類ある

報告する「かかりつけ医機能」は、以下の2つの区分に分類されています。

区分 主な内容
①継続的な医療を行う機能 慢性疾患の継続管理、薬の継続処方、患者の全身状態の把握、健診・予防接種の案内など
②時間外・在宅医療の対応機能 休日・夜間の診療対応、在宅医療(往診・訪問診療)の提供、医療介護連携など

①は全ての対象医療機関が報告の対象です。②は現時点で全事業所に義務付けられるものではなく、対応している場合に報告する任意報告の要素も含まれます(詳細はガイドラインQ&Aを参照)。

重要なのは、「実際に対応している機能を正確に報告する」こと。対応していない機能を報告することは認められず、虚偽報告は行政指導の対象になる可能性があります。


G-MISを使った定期報告の手順

G-MISとは

G-MIS(医療機関等情報支援システム)は、医療機関が各種情報を国・都道府県へ報告するために使用するオンラインシステムです。かかりつけ医機能報告もこのG-MISを通じて行います。

定期報告の流れ

  1. G-MISへのログイン
    G-MIS(https://www.g-mis.mhlw.go.jp/)にアクセスし、医療機関のアカウントでログインします。未登録の場合は都道府県経由でアカウント発行を依頼してください。
  2. 報告内容の確認・更新
    「かかりつけ医機能報告」メニューから、前年度の報告内容を確認します。変更があった項目(新たに対応開始・対応終了した機能等)を更新します。
  3. 院内体制の確認
    診療時間・対応疾患・医療介護連携の状況など、報告内容と実態が一致しているか事前に確認しましょう。
  4. 報告の送信
    入力完了後、都道府県へ報告データを送信します。受付確認メールが届いたら完了です。

令和7年11月に公開されたG-MIS操作手順動画(厚生労働省公式)が非常にわかりやすく、画面操作のイメージをつかむのに役立ちます。初めて報告される場合は事前に視聴することを推奨します。

報告期限について

令和8年度(2026年度)の定期報告期限は、都道府県によって異なります。所管の都道府県担当窓口または医師会からの案内を確認してください。多くの都道府県では4月〜6月頃を報告受付期間としています。


患者への院内掲示・説明義務のポイント

かかりつけ医機能報告制度では、報告した内容を患者にも情報提供することが求められています。

院内掲示の義務

自院が提供しているかかりつけ医機能について、院内掲示(待合室・受付等の見える場所)が義務付けられています。厚生労働省から院内掲示様式(例)が提供されていますので(ガイドライン別添3)、これを参考に作成してください。

患者への説明

初診時や年1回、患者に対して自院のかかりつけ医機能を説明する義務もあります。厚生労働省の「患者説明様式(例)」(ガイドライン別添4)を活用することで、説明文書を効率的に準備できます。

説明を形式的にするのではなく、患者との信頼関係を深めるコミュニケーションの機会として活用することが、長期的なクリニック経営の安定につながります。


かかりつけ医機能を活用して「選ばれるクリニック」になるには

かかりつけ医機能報告制度を「面倒な義務」とだけ捉えるのは損です。この制度は、地域における自院の強みを可視化し、患者から選ばれる機会でもあります。

差別化のポイント

  • 対応疾患・専門領域の明確化
    糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病管理に強いクリニックであれば、そのことを報告情報として公表することで、同疾患を持つ患者が選びやすくなります。
  • 在宅医療・往診対応のアピール
    在宅医療に対応している場合、高齢者世帯からのニーズが高まる中で大きな差別化要因になります。
  • 医療介護連携の実績公表
    居宅介護支援事業所・訪問看護ステーションとの連携実績を公表することで、ケアマネジャーからの紹介が増加する可能性があります。

また、G-MISへの報告内容は定期的に見直し、実態と乖離がないかを確認することが重要です。提供機能が変化した場合は速やかに更新しましょう。


まとめ:定期報告を義務から「戦略的情報発信」へ

かかりつけ医機能報告制度のポイントを整理します。

  • 令和7年4月施行。無床クリニックを含む200床未満の医療機関が対象
  • 「継続的医療の提供機能」「時間外・在宅対応機能」の2区分を報告
  • G-MISで令和8年度の定期報告を実施(4〜6月が多くの都道府県の受付期間)
  • 院内掲示・患者説明も義務。厚労省提供の様式例を活用可能
  • 報告内容を地域での差別化・患者獲得に活用できる

かかりつけ医機能報告は、単なる行政手続きではありません。自院の強みを整理し、地域に情報を発信する絶好の機会です。事務負担を最小化しながら、戦略的に活用することを検討してみてください。

「G-MIS操作がわからない」「院内掲示の作成が追いつかない」などのお悩みをお持ちのクリニック様は、ぜひ専門家へのご相談もご検討ください。


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