令和8年度スタート直前!医療・介護・保育施設が年度末に必ずやるべき5つの手続き
本日、2026年3月31日。令和7年度の最終日です。
医療・介護・保育施設の経営者・管理者のみなさまにとって、年度末は単なる「締め日」ではありません。新年度から適用される法令・制度の変更に対応するための、重要な準備期間です。
「毎年なんとなくやっている」「気づいたら締め切りを過ぎていた」という声を、医療・介護・福祉施設の管理者から多く聞きます。
今年度は特に、2026年7月に障害者法定雇用率の引上げが予定されており、対象となる施設では今から計画的な準備が必要です。
この記事では、令和8年度スタートにあたって医療・介護・保育施設が対応すべき5つの重要手続きを、優先順位の高い順に解説します。
年度末・新年度切り替えで見落とされがちな5つの手続き
年度末から新年度にかけて、施設運営に関わる手続きは複数重なります。特に以下の5項目は、対応漏れが経営上のリスクにつながる可能性があります。
- ①介護処遇改善加算 計画届の提出(4月中)
- ②社会保険・雇用保険の新年度手続き
- ③障害者法定雇用率2.7%引上げへの準備(2026年7月施行)
- ④労働保険 年度更新の準備開始(6月1日〜7月10日申告期間)
- ⑤就業規則・育児介護休業規定の見直し
それぞれ詳しく解説します。
①介護処遇改善加算 計画届の提出(4月中)
処遇改善加算一本化後の新年度対応とは
2024年6月の介護報酬改定により、それまで別々だった「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3種類の加算が一本化されました。
新しい加算体系では、区分ごとに算定可能な職種や配分ルールが整理されており、令和8年度も引き続きこの枠組みで運用されます。
処遇改善加算を算定するためには、毎年度当初に「処遇改善計画書(計画届)」を都道府県または市町村の担当部署へ提出する必要があります。この手続きを怠ると、当該年度は加算を算定できなくなります。
計画届の提出期限と提出先
提出先・期限は都道府県・市町村によって異なりますが、多くの場合4月15日前後が期限となっています。年度が変わっても昨年度の計画書をそのまま継続できる場合と、改めて提出が必要な場合があります。必ず所管の都道府県・市町村へ確認してください。
- 提出先:施設の所在地を管轄する都道府県(居宅系・施設系によって異なる)
- 提出内容:処遇改善計画書、賃金規程(変更がある場合)、就業規則など
- ポイント:加算率・職種ごとの配分方針を明記する必要がある
加算額の試算を令和8年度の報酬単価で改めて行い、昨年度から変更がある場合は必ず計画書を更新しましょう。
②社会保険・雇用保険の新年度手続き
新入職員・退職者の資格得喪届
4月は人事異動・新規採用が集中する時期です。医療・介護・保育施設でも、新卒・中途採用者の入職に伴い健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届を日本年金機構へ提出する必要があります。
- 提出期限:資格取得日(入職日)から5日以内
- 提出先:管轄の年金事務所またはe-Gov(電子申請)
- 退職者:資格喪失届も同様に速やかに提出
3月末退職・4月1日入職が重なるこの時期、手続きが後手に回りがちです。採用内定者リストを事前に整理し、入職日から5日以内に確実に提出できる体制を整えておくことが重要です。
法人役員の社会保険加入 最新取扱い
2026年3月18日、厚生労働省から「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」という通知が発出されました。
医療法人や社会福祉法人において、法人の役員(理事長・院長等)が個人事業主としての側面も持つ場合の社会保険加入要件が明確化されています。
特に、医師が医療法人の理事長を務めながら個人でも診療を行っているケースなど、複数の立場を持つ役員については、加入要件の確認が必要です。既存の手続きに問題がないか、この機会に確認しておきましょう。
③障害者法定雇用率2.7%引上げへの準備(2026年7月1日施行)
法定雇用率が2.5%から2.7%へ
令和4年(2022年)の障害者雇用促進法改正により、民間企業の障害者法定雇用率は段階的に引き上げられることが決定しています。
- 2024年4月1日:2.3% → 2.5%(施行済み)
- 2026年7月1日:2.5% → 2.7%(施行予定)
この引上げは、常用雇用労働者が一定数以上いる全ての民間企業が対象です。医療・介護・福祉・保育施設も例外ではありません。
2.7%の雇用率が適用された場合、常用雇用者数が37.5人以上の施設では1人以上の障害者雇用が義務となります(2.7%×37.5人≒1.0125人)。さらに規模が大きい施設では計画的な採用が必要になります。
雇用計画のチェック方法
今から準備すべきことを整理します。
- 現在の雇用障害者数を確認する
毎年6月1日現在の雇用状況をハローワークへ報告(障害者雇用状況報告)しますが、今の時点で何名の障害者を雇用しているか把握しておきましょう。 - 2026年7月時点の必要雇用数を試算する
常用雇用労働者数×0.027(2.7%)で必要雇用数を計算。小数点以下は切り捨てで「1人」「2人」と整数で算出します。 - 不足する場合はハローワークに相談する
ハローワークでは障害者雇用に関する求人掲載・マッチング支援を無料で提供しています。3〜4ヶ月前からの準備が有効です。
なお、法定雇用率を下回る場合は障害者雇用納付金(1人あたり月5万円)が課される可能性があります。余裕をもって対応を進めましょう。
④労働保険 年度更新の準備開始(6月1日〜7月10日)
労働保険(労災保険・雇用保険)の年度更新は毎年6月1日〜7月10日が申告・納付期間です。「まだ2〜3ヶ月先」と思われるかもしれませんが、年度更新では前年度(令和7年度)の確定保険料と今年度(令和8年度)の概算保険料を同時に申告するため、1年分の賃金データが必要になります。
年度末のこのタイミングで、以下の準備を進めておくことを推奨します。
- 令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の賃金台帳を整理・集計
- パート・アルバイト・正職員ごとの賃金総額を区分して把握
- 退職者・中途入職者の賃金も漏れなく計上
賃金台帳が給与ソフトやクラウドシステムで管理されていれば、年度集計は比較的スムーズです。マネーフォワードクラウド給与などを活用していれば、年度集計の自動化が可能であり、担当者の負担を大幅に軽減できます。
⑤就業規則・育児介護休業規定の見直し
育児・介護休業法は近年改正が続いており、2025年〜2026年にかけて複数の改正が施行されています。主な内容は以下のとおりです。
- 育児休業の取得促進措置の強化:一定規模以上の事業者に対し、育児休業の取得状況の公表・体制整備が義務化
- 介護との両立支援の拡充:仕事と介護の両立のための措置(情報提供、相談窓口設置等)の義務拡大
これらの改正に対応するため、就業規則および育児・介護休業規程の内容が現行法令に準拠しているかを確認し、必要に応じて改訂・届出を行ってください。
就業規則の変更が生じた場合、常時10人以上を雇用する事業所は労働基準監督署への届出が義務です。また、労働者への周知(掲示・配布・閲覧可能な状態の確保)も忘れずに。
まとめ:年度末は制度変更対応の集中期間
令和8年度のスタートにあたって、医療・介護・保育施設が対応すべき5つの手続きを解説しました。
- ①処遇改善加算 計画届:4月中に提出。算定漏れは収入に直結
- ②社会保険・雇用保険:入退職者の資格得喪届は5日以内。役員の取扱い通知も確認
- ③障害者雇用率2.7%:7月1日施行。今から雇用計画を立てる
- ④労働保険 年度更新準備:6月1日申告開始に向け賃金集計を開始
- ⑤就業規則・育休規定:育児介護休業法改正への対応確認
これらの手続きは、どれひとつ対応漏れがあっても、経営上の損失や法令違反につながる可能性があります。特に処遇改善加算の計画届と障害者雇用率への対応は、早急な確認が必要です。
年度末・新年度の対応に追われる中で、「何から手をつけるべきかわからない」「担当者がいない」というお悩みをお持ちの施設様は、ぜひ専門家への相談もご検討ください。
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