介護施設のバックオフィスDX|経理・労務を月20時間削減する方法
「月末の給与計算と処遇改善加算の集計が重なって、毎月残業が続いている」「経理担当者が辞めてしまい、引き継ぎが追いつかない」——介護施設のバックオフィス担当者から、こうした声をよく耳にします。
2026年は介護業界にとって大きな転換点です。6月には介護報酬改定が控え、給与計算・加算管理はさらに複雑になります。一方、2024年の介護施設倒産件数は172件と過去最多水準に達し、収支差率はわずか2.4%。経営を守るには、限られた人員で生産性を上げるしかありません。
この記事では、介護施設のバックオフィス業務をクラウドDX化することで月20時間以上の業務削減を実現する方法を、具体的な手順と活用できる補助金情報とあわせて解説します。
1. 2026年、介護施設バックオフィスの限界
介護施設の経営環境は、今まさに「二重苦」の状態にあります。
一つ目は人手不足の深刻化です。厚生労働省の推計によれば、2026年度には介護人材が約25万人不足する見通しです。現場の介護職員だけでなく、事務・経理スタッフも確保が難しく、一人当たりの業務負荷が年々増加しています。
二つ目は制度対応の複雑化です。2024年の介護報酬改定では処遇改善加算が一本化・再編され、集計・申請業務が増えました。さらに2026年6月の改定では、加算要件の変更や新たな書類提出が予想されています。毎年のように変わるルールに対応しながら、日常業務もこなさなければなりません。
加えて、インボイス制度・改正電子帳簿保存法への対応も待ったなしです。紙の領収書や手書きの帳簿を使い続けている施設は、法令違反のリスクを抱えながら運営していることになります。
こうした状況で、手作業・手計算に頼るバックオフィス運営はすでに限界を迎えています。
2. DX化で変わる3つの業務ポイント
バックオフィスDXとは、これまで手作業で行っていた経理・労務・給与計算の業務をクラウドシステムで自動化・効率化することです。特に介護施設において効果が大きい3つの業務ポイントを紹介します。
① 給与計算・勤怠管理の自動化
介護施設の給与計算は、夜勤手当・早出手当・処遇改善加算の按分など、一般企業よりも計算項目が多く複雑です。クラウド勤怠管理システムを導入すると、スタッフがスマートフォンで打刻するだけで勤怠データが自動集計され、給与計算ソフトとのデータ連携でミスのない給与明細が自動生成されます。毎月10〜15時間かかっていた給与計算作業が、確認作業だけになるケースも珍しくありません。
② 経費精算・会計処理のペーパーレス化
紙の領収書を集めて手入力する経費精算は、紛失リスクや記入ミスが発生しやすい業務です。クラウド経費精算システムでは、スマートフォンでレシートを撮影するだけで自動で仕訳・計上されます。改正電子帳簿保存法に対応した電子保存も同時に実現でき、税務調査にも安心して対応できます。
③ 処遇改善加算の集計・申請管理
処遇改善加算の計画書・実績報告書の作成は、毎年4月の繁忙期に集中する重荷な作業です。給与データと加算額がシステム上で紐づいていれば、集計・計算が大幅に簡略化され、提出書類の作成時間を半分以下に短縮できます。2026年4月15日の提出期限に余裕を持って対応できるようになります。
3. 介護施設でDXが難しい理由と解決策
「DXの必要性はわかっているが、なかなか踏み出せない」という施設も多いでしょう。その理由として、よく挙げられるのが以下の3点です。
- IT知識のある担当者がいない:事務スタッフが高齢で、新しいシステムへの抵抗感がある
- 導入コストへの不安:月額費用や初期費用が読めない
- 業務の属人化:「あの人しかわからない」業務フローが多く、システム化の整理が難しい
これらの課題に対して、実際に多くの介護施設が採用している解決策が「外部専門家によるDX導入支援」です。クラウド会計・給与ソフトの導入経験が豊富な支援会社に依頼することで、業務フローの整理から初期設定、スタッフ研修まで一括でサポートを受けられます。
また、後述するIT導入補助金を活用すれば、導入コストの最大80%を補助してもらえるため、費用面での不安も大きく軽減されます。
4. マネーフォワード クラウドで実現する一元管理
バックオフィスDXのプラットフォームとして、介護施設で特に導入実績の多いのがマネーフォワード クラウドシリーズです。勤怠・給与・経費・会計の4領域をカバーし、すべてのデータが連携することで二重入力をなくせます。
- MFクラウド勤怠:スマートフォン打刻・シフト管理・残業アラート機能
- MFクラウド給与:介護施設特有の加算計算・社会保険手続きに対応
- MFクラウド経費:レシート自動読み取り・電子帳簿保存法対応
- MFクラウド会計:銀行・カードデータの自動取込・仕訳自動化
たとえば、スタッフが打刻した勤怠データは給与計算に自動反映され、確定した給与データはそのまま会計仕訳として計上されます。これまで3つのシステムと2回の手入力が必要だったフローが、1つのプラットフォームと確認作業だけに変わります。
月次の会計処理にかかる時間が「15時間から3時間になった」「給与確定日が3日早まった」といった事例も報告されています。
5. IT補助金を活用したDX導入の進め方
DX導入を後押しする補助金・助成金制度が2026年度も継続されています。代表的なものを確認しておきましょう。
IT導入補助金(経済産業省)
中小企業・小規模事業者向けのITツール導入補助金で、クラウド会計・給与ソフトも対象です。補助率は最大50%(通常枠)、セキュリティ対策や複数ソフトの組み合わせによっては補助額が拡大します。申請にはIT導入支援事業者(登録ベンダー)を通じた手続きが必要です。
介護テクノロジー導入支援事業(厚生労働省)
介護施設・事業所を対象とした補助金で、ICT機器・ソフトウェアの導入費用の最大80%を補助します。介護記録ソフトだけでなく、給与・勤怠管理システムも対象となる場合があります。都道府県を通じた申請が必要で、予算に限りがあるため早めの情報収集が重要です。
DX導入の進め方:3ステップ
- ステップ1 現状把握:どの業務に何時間かかっているか可視化する(業務棚卸し)
- ステップ2 補助金確認・申請:利用できる補助金を確認し、申請スケジュールを立てる
- ステップ3 導入・定着支援:支援事業者と連携しシステム設定・研修を実施する
重要なのは、補助金申請と導入タイミングを合わせて計画することです。補助金は事前申請が原則のため、すでにシステムを購入・契約してしまった後では申請できません。導入を検討し始めた段階で、早めに支援事業者へ相談することをおすすめします。
株式会社Reliefのサービスで、事業運営を強力サポート!
株式会社Reliefは、医療機関や介護・福祉・保育施設の運営をトータルサポートする専門企業です。
業界特化型のオンラインアシスタント「セレナ」
月一回からはじめる事務長アウトソーシング「困ったときのじむちょー君」
バックオフィスの業務改善・効率化、MoneyForwardクラウドICT・クラウドDX導入支援
経営改善の解決や業務効率化を実現し、貴社の発展を全力でサポートいたします。
